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ボクだけ"超ハードモード"な世界の終末  作者: めぇりぃう
寝ている間に世界は終末してました
4/47

4.やつ

※私は異常な程に虫が嫌いです

「事態を納得出来たのかね?」


 そうボクに尋ねるフクさん。この事態、ふらふら歩く人──多分ゾンビや、緑ぃ小さい何か──恐らくゴブリンとかのことでしょう。緑ぃ大きい何かとおっきい鳥は無視といきましょう。考えたくないです。


「いやぁ、納得...できたと言えるのでしょうか?でも、こういう終末を小説で読んだことがありますから」


「まったく、最近の若者は凄いね。私なんてこの状況に対して小一時間は頭を痛めたと言うのに」


「はぁ」


 少しフクさんから話を伺うと、このボロアパートに住む2階の人達(ボク、フクさん、その他2人)は無事を確認出来たらしい。ボクの部屋を一番に確認してきてくれたのだが、その時は反応が無く、他の2人の方へと向かい、その後にボクの所へまたやって来たフクさんらしい。よく動けますよね。ボクなんて引っ込み思案ですから、そういうの無理です。


 それで、他の2人さん(実はボク名前すら知りません)は1階の様子を見に行ったようです。生存確認ですかね。


「とにかく、持てる荷物を持って来るんだ。近くの学校や市民会館に避難しよう」


「分かりました」


 フクさんの提案が最善かどうかは分かりませんが、此処で居座っているよりは良いと思います。家にはそこまでの食糧なんてありませんし、何よりあれらのモンスター怖いですし。ボクの住むこのアパート、めちゃくちゃボロくてですねぇ。あの、緑ぃ大っきい何かに叩かれると、直ぐに崩壊しそうなくらいに。まぁ、ここが安全圏でないことは確かです。


 ボクは直ぐに部屋へと戻り、リュックサックを用意します。登山用の容量多くて丈夫なやつです。このリュックサックにお茶500ミリリットルのペットボトルを2本、カロリーメイク(チョコレート味)を5箱、板チョコレート4枚、カップラーメン3個、着替え2日分をぎゅうぎゅうに詰めていきます。まだ、余裕はありますね。懐中電灯に電池、カセットコンロは...無理ですかね?まぁ、保留ということで。あとは、今日の朝食となる予定であった、あまーい菓子パン2個。次に冷蔵庫を確認したのですが、電気が止まっているらしく、少し温かったです。その中からお目当てのエナジードリンク、人星(マンスター)をぷしゅっ。ぐびぐびぷはーっ。美味い。寝ぼけた頭がスーッと覚醒していきます。


 マンスター片手に他の荷物を選んでいると、懐かしいものを見つけました。


「京都で買った木刀だ」


 その場のノリで買わされた木刀です。打撃武器にはなるでしょうか。一応持っていきましょう。それと、防災用のヘルメットを装着。目を保護するゴーグルも装着。これで良し。


 包丁はタオルで包んでポッケにでも入れときましょうか。危ないですかね?まぁ、良いでしょう。


 最後に玄関で靴を選びます。


 1.何時もの運動靴

 2.学校指定のローファー

 3.長靴


 うーん、足元はそこまで悪くなさそうなので、逃げることを考えると運動靴ですかね、やっぱり。


 よしよし、忘れ物はありませんよね?無いですよね?そう言えば、こういう系の終末ではよくスキルなる超常の力を有する筈ですが、ボクには無いみたいですね。『超ハードモード』とは何のことだったのでしょうか?


 ...そう言えば、アナウンスさんの言葉では、「"敵対生命体"が貴女に敵意を」とか言っていましたが...あれは、いったい?


 少し背中に寒気がしたので、リビングへと戻り、締め切っていたカーテンを開けます。


 シャッ、とカーテン開けると、部屋の中に陽の光が入ってきます。暗かった部屋が少し明るくなり、反射的にボクは目線を下に落とします。陽の光から避けるために。


 その時ボクは、アナウンスさんのことを強く怨みました。あと、その言葉を思い出したついさっきのボクの事を。


 ベランダには見たくもないものが居たんです。



 ──G(黒光りの悪魔)をおっきくしたヤツが。



「ふぎゃあぁぁぁぁっっ!!?」


 ボクは変な叫び声をあげながら、台所へと駆けます。そこには常備してあるG(ストレス生産機)用の殺虫スプレーがあるんです。それを手にし、サッと奴を見据えます。


 ヤツの大きさは大体人の頭の大きさほど。馬鹿でかい、という訳では無いでしょうが、十分でかいと言える大きさです。ガラス越しとはいえ伝わるこの嫌悪憎悪。奴は危険だ、とボクの全細胞が訴えます。


 ヤツはどうやら、ボクに気づいてはいないようです。ヤツから決して目を離さないように、ボクは台所から玄関へと歩みます。ゆっくりと。


 そのまま運動靴を履いて、外へと逃げ出しました!扉を直ぐに閉めます。


「ハァハァハァハァ...あんなのがうじゃうじゃ居るの?...ここは地獄だ」


 G(益虫という名の害悪虫)は、1匹見つけたら30匹はいると思え、なんてよく言いますよね。つまり、あの大きさのG(真夜中に潜むトラウマ)もそれくらいこの近くに居る、と。


 ゾワゾワッ、と背筋に冷たい汗が流れます。ボク、G(人類の敵)だけはちょっと『拒絶』なんですよね。殺ろうと思えば丸めた雑誌でパスカンと出来ますが、出来る限り触れたくない存在な訳です。


 スプレー缶を左手に、木刀を右手にボクはフクさんの元へと向かいます。その足取りはかなり遅めです。右左右左と顔を振りながら、何もいないことを十分に確認して進みます。主にG(無駄な生命力持ち)とかG(隙間から侵入する糞)とかG(共通認識 嫌われ者)とか居ませんよねー?と。


「大丈夫かい!?さっき叫び声が聞こえたが...」


 と、フクさんが心配そうに声を掛けてくれます。このボロアパート、ボロアパートなだけに防音の"ぼ"の字もない壁でして、ボクが発した絶叫が届いていたのでしょう。


「えぇ、大丈夫です。ちょっと大きめなG(足の速い黒い虫)が居たもので、叫んでしまいました。虫が巨大化してるんですね」


「そうだったか...襲われたりしていないかい?」


「はい。窓越しに見ただけですから」


「それはよかった。しかし、そうか。虫の化物にも気をつけねばな...」


「それより、他のお2人は?1階の方々はどうでしたか?」


「2人は避難準備をして、階段の所で待機しているよ。1階の人達は既に...避難していたようだ」


 なるほど。まぁ、ボクみたいな呑気に爆睡している人なんて居ませんよね。とりあえずこのボロアパートには用済みですね。


 1年程でしたがお世話になりました。と、ボクは自分の部屋のある方向へとお辞儀をしたあと、フクさんの後を追って他のお2人の待つ階段へと向かいます。と言うか、もうあんな化物が居る我が家に戻りたくぁありません。アナウンスさんもG(神も慄く生物兵器)は積極的殲滅対象だったようですね。

不倶戴天ともにてんはいただけねぇです」

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