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ボクだけ"超ハードモード"な世界の終末  作者: めぇりぃう
寝ている間に世界は終末してました
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3.フクさん

 へぇ、ほぉ。あくまで無言を貫きますか?良いでしょう。なら、ボクは先に折れますよ。


 さて、そろそろ居留守は辞めようっと。


 いやね、ほら、ずっと無視していましたけど、ずーーーーーーっと、激しいノック音がしている訳ですよ。先ほどのアナウンスさーんとの会話(?)中も、休むことなくBGMとなってくれていました。お疲れ様です。


 多分アレですよね?さっきの変なアナウンスがあって、同じ内容を受けた隣人さんがボクの心配をしてきている。ということですよね?


 にしても慌てすぎじゃないですか。この御時世、ノックなんて古いぜ。チャイム押そうぜ。そしたら叩く手も痛くないでしょうに。


 ダンダンダンダンッ!


 あらあら、激しくなっちゃって。そーんなに叩くとお手手が痛くなちっちゃいますよ。可哀想に。


 仕方ないので出てやりましょう。でも、なーんか怖いので一応ドアに付いている除き穴からじろりっと。


 そこにはなーんと──隣人さんが!


 いや、予想通りじゃん。逆に予想外?こういう時って、このノックしている人が"敵対生命体"とかいうオチが...。いや、失礼か。


 んーでもなんか様子が可笑しいんですよね。アレですかね?アナウンスを聞いて、「これは幻聴!?もうすぐ俺も死ぬのか!?」みたいに焦ってるのでしょうか?


 因みに因みに。隣人さんとはボクが住むボロアパート(2階建て)のお隣さん。頭頂部が寂しくなり始めている、30代後半のサラリーマンの福本さん。通称フクさん。男性ですよ。マン、と言いましたもんね。んで、高校生で一人暮らしをしているボクの事を、結構気遣ってくれる優しいおじさま的存在です。まぁ、半分以上は余計なお世話何ですけど、恐らく親切心から頂いているものですから、感謝の限りですよ。


 さて、一応ドアチェーンを付けて、ガチャりと鍵を解錠しました。


 するとけたたましく鳴らされているドアノックが止みました。気づいてくれてありがとうございます。そのノック音と先の難易度云々のせいで病みそうでしたから。


 まぁそっとドアを開けます。


「どしました?」


 チェーンが付いているので少ししか開きませんが、これでも要件は済ませられるでしょう。


「おぉっ!良かった!無事だったかね!?」


「えぇ、まぁ。いつも通りに無事ですよ」


「また夜更かししていたのかね?若い内は早寝早起きを心掛けなさいと...いや、今はそれどころじゃない。外の様子は見たかね?」


 ボクの寝ぼけ顔とか寝巻きとかを見てなのか、夜更かし→今起床のコンボを見破られました。そうなんです。この人、ボクの保護者みたいに小言を言うんですよね。まぁ、窘めてくれる人の存在は有難いものですが...ゲームには触れて欲しくはありませんね。それはボクの生き甲斐ですから。


 そんなことより、フクさんの言葉、なーんか嫌な予感がしてくるんですよね。


 ボク、これでもオタクでして。異世界ものの小説とか大好物なんですよね。主に主人公最強の無双系。知識チートや内政チートも良いんですけど、やっぱり武力チートこそ至高。敵を簡単になぎ倒し、いとも容易く行われるえげつない行為とかしてくれると、ボクはもうクフクフグフフと読んじゃいます。あんまりグロいのは嫌いですけどねぇ。あー、あとですね、主人公最強ものでよくあるハーレムなんですが、こう、個々との関わりがハッキリしているものは好きです。新しい女性と付き合い始める時、他のハーレムメンバーを「その他大勢」みたいな扱いは好きじゃありません。男なら、惚れた女にゃ最後まで付き合え!ボクは一夫多妻でも良いけど、正当なる愛がなきゃダメだと思います!政略結婚とか吐き気です!...ま、そんなのボクには円も縁もない話ですけどね。


 おっと、かなり脱線しましたね。


 ボクが読んできている小説の中に、突然頭に変な声が聞こえる→世界終末、という決まりパターンがあるんですよね。なんか、今それが頭に過ぎりました。気の所為だと信じます。


 さて今は「外の様子」を見るべきらしいんです。とりあえず、ドアを閉めて、チェーンを解除。もう一度ドアを開けます。...あっ、包丁。まぁ後ろ手に隠しとけば良いでしょう。


「おはようございます。外の様子って、何のことです?」


「あぁ、お()ようだけどね。外の様子ってのは、ほら、見えるだろ?」


 うーん、と言うか何この臭い。なんかが腐った、ゲロ以下の臭いがぷんぷんするぜー!みたいな感じです。いや、今日生ゴミの日でしたっけ?


 まぁ、とにかく外を見ます。ボクの部屋はボロアパートの2階の端っこでして、あまり高くはないですけどそれなりに外を見れるんですよね。


 さてさて、フクさんが慌てる原因は何かなー?



 はい、あちこちから黒い煙が上がってますねぇ。たぶん焚き火でもしてるんでしょう。


 はい、人がふらふらと歩いてますねぇ。たぶんみーんな酔っ払いでしょう。


 はい、何かが空を飛んでますねぇ。たぶんおっきい鳥でしょう。


 はい、何か、緑ぃ小さい何かが少し離れた所に見えますねぇ。たぶん子供が仮装パーティーでもしてるんでしょう。


 はい、何か、緑ぃ大きい何かがかなり離れた所に見えますねぇ。たぶん大人も仮装パーティーやってんでしょう。



 現実逃避終了。いや、現実的に有り得ない事象から目を逸らしているので、非現実逃避?まぁ、とにかく今は直視しなければいけないようですので。


「なにボクが寝てる間に世界終末してんですか」


 ギリギリでボクはその言葉を捻り出したのであった。

「なにボクが寝てる間に世界終末してんですか。せめて起きてからにしてくれませんか?...寝てるお前が悪い、ですか」

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