22.2人で見張り番 3
明日は国立の試験ですね!私は呑気に遊んでますけど、記念受験はしてきます!
あと、次話の装填が終わってません...
「おっと、ゾンビ3だ」
探知するスキルを持つ木山さんが敵の接近を告げます。
「了解です。またボクが引き付けて、2と1に分けますか?」
「そうだな、そういこう」
これで2人で見張りを開始してから、3度目の戦闘です。
なんとボクにも戦闘許可が降りたんですよ。木山さん、ボクを戦闘から離しすぎると、暴れるんじゃないか、と心配したそうです。...ボクは戦闘狂じゃありませんけど?と目で訴えようとしましたが、折角降りた許可を却下されたら嫌なので我慢しました。ぼくえらい。
因みにこういう誓約を立てられました。
・1度に相手するゾンビは1体まで。
・危うくなったら木山さんが出張る。
・疲れたら絶対に言う。
破った場合、許可の取り止めだそうです。...絶対に破りません。闘いたいんです...!と返事をしたら、「やっぱり戦闘狂かよ」という目で見られました。心外です。
まぁいいんです。この際ボクがどう思われようと。元々女子力なんて無いようなものですから。今となってはモテるモテないは関係ありません。生きるか死ぬかが重要ですから。
「〈身体能力上昇〉を42%で起動」
いざ戦闘開始です。と言ってもボクは速攻で一撃を加えた後、撤退してからもう一撃加えるだけですけどね。簡単なお仕事です。
ゾンビ狩りもこれで5回目。初めの1、2回目こそ苦戦しましたが、それからはもう慣れたものです。最終的に42%出力が最適だと把握しました。〈身体能力上昇〉の使い方にも慣れてきまして、この出力なら何度も戦闘を行えます。それでいて安全マージンをしっかり取れるという、完璧な状態なんですよ。
まぁ、昼前の戦闘はこれが最後ですし、少し上げても良いのですが...後ろの監視官が怖いので辞めておきます。
ふらふらとデイヤマに接近するゾンビに対し、ボクはそっと近づいて殴ります。顔面目掛けてバシンッと叩きます。よろめくゾンビを見つめながら、木刀を握り直します。
ボクに気づいた奴ら、我先にとボクへと集中します。まっ、ボクったら人気者っ。その気持ちに答えたいのはやまやまですが、お触り禁止ですよ?触ろうとしたら殴りますからね?
そんなことを考えながら、ボクは後ろに下がっていきます。木山さんが待機している場所までご案内するのです。
ゾンビの足は速いとは呼べません。落ち着けば逃げることは容易いものです。
ゾンビが持つ能力は底なしの体力と人離れした怪力。真正面からの接近戦なんて、危険も危険なんです。ボクがやった時は速攻に速攻を重ね、攻撃の隙を与えないというもの。木山さんは真正面から大体一撃。故にボクらは複数のゾンビを相手取ることは、あまり宜しくない。
だからこそ。ボクらは餌で釣って後ろからドーン作戦をとることにしたんですよ。ここにボクが居ますからね。ボクに夢中なゾンビ共を木山さんは殴り放題という算段です。コイツら殴られても木山さんに襲いかからねーでやんの。おかげで木山さんは安全です。ボクは少々危険ですけどね。
と、考えていたら、気づけば2体のゾンビは動かぬ骸と化していました。木山さん、仕事早いです。残る1体はボクのですから、木山さんも手出しはしてません。約束守ってくれる人は好感持てますよね。
「えいやっ」
掛け声一つ出してゾンビに突きを繰り出します。
デコに吸い込まれるように木刀が命中。42%ならギリギリ貫通できるんです。確かな手応え。グリグリと頭に木刀が入っていきます。この肉を断つような感触は、まだ慣れませんね。
崩れ落ちるゾンビを尻目に、額に浮かぶ汗を拭います。
「お疲れさん」
慣れたようにゾンビの焼却を始めている木山さんから労いの言葉をいただきました。
「んっ!......ふっふっふ。お疲れ様です」
「どうしたんだ?壊れたか?」
「ひ、酷いです!レベルが上がったんですよ!」
確かに変な声出してしまいましたけど!ちょっと可笑しなことを言ってましたけど!女の子に対して酷い発言じゃないですか!?
という目線を向けてもどうせ受け流されるので辞めておきます。
それよりもレベルアップですよ。これで2回目となるレベルアップ。予想通りにあれから3体目のゾンビ討伐で上がりましたね。
さぁさぁ。早くスキルを選ばせてください。
《現在貴女は以下のスキルを獲得可能です》
〈剣術:起〉
〈飢餓耐性:小〉
...なるほど。ボクには毎回2択しか与えられないのですね。分かりましたよ。1択よりマシですからね。受け入れますよ。ボクが選んだ『超ハードモード』ですからね。
さて、2択しかありませんが、これはこれで悩みますね。次のレベルアップは何時になるか分かりませんし、ここは慎重に選びませんと。
〈剣術:起〉がどこまで優秀なものなのか分かりませんね。〈飢餓耐性:小〉についても、どれほど抑えられるか分かりませんね。
という問答は無駄だと理解しているので、ボクは決めていた〈剣術:起〉にします。優柔不断なんで、悩むと決められなくなってしまうので。スパンと決めた方がいいのです。それに、デイヤマには腐りそうな食糧がゴロゴロしてますからね。まだまだ飢えを耐える必要はありません。あれらは食べないといけませんから。
「〈剣術〉を取得」
《〈剣術:起〉を獲得しました》
「ちぇー、魔法はまだ先ですか」
「......」
「......叩きますよ?」
「まだ何も言ってねーじゃねーか」




