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ボクだけ"超ハードモード"な世界の終末  作者: めぇりぃう
デイヤマ戦線
21/47

21.2人で見張り番 2

「はい。あ、でも、冗談ではなく〈雷系〉は有用だと思いますよ?フクさんと松田さんが頑張ってはいますけど、電気はやはり通らないと思うので、〈雷系〉を使えばどうにかなるかも知れません」


「あっ...なるほど!確かにそうだなぁ。やっぱりこの時期は夜と朝が寒いし、暖房を使えたら良いよなぁ」


 ボクの建前的な理由に、木山さんも納得します。そう簡単にいくとは思いませんが、出来たら御の字、と考えてみれば良いのです。普通に〈雷系〉は戦闘で役立ちそうですから。...木山さんの武器(バール)とは相性悪いかも知れませんが。逆に通りやすくて良い、とか?うーむ、こういうことを言うと、木山さんが躊躇いそうなので黙っておきましょう。取った後に話します。


「はい。まぁ、出来るかどうかは分かりかねますが」


「やってみる価値はありそうだな。うし、なら〈雷系〉を選択」


 木山さんは割とあっさりスキルを選択しました。まぁ、まだまだレベルは上がりやすいでしょうから、深く考え過ぎるまでもないでしょう。ボクの場合は、上がりにくいので考えなければいけなそうですけどね。木山さんの10倍掛かりますからねぇ。必要経験値。レベルカンストとか、途方も無さそうです。


「うしうし、使ってみるか。稲井ちゃんは離れておけよ」


「はい、了解です」


 ボクが木山さんから少し距離を取るように移動します。大体10メートルくらい離れておく。なにせ雷です。どこまで効果範囲があるか分かりませんから。


「よーし、〈雷系〉の1番っと」


 という木山さんの詠唱の下、手に小さな稲妻が走ります。青白い雷電が木山さんの掌の上で踊ります。木山さんが握ったり閉じたりと、色々な確認をし終えたあと、バチバチバチバチィと音を立てて弾け、木山さんの両手から霧散しました。


「おー、小さな雷でしたね」


 木山さんが雷を消したことを確認したので、駆け足で近づきます。


「そうだな...うーん、火や水よりは攻撃に使えそうか?」


 そうですね。スタンガンのように痺らせることくらいならできそうです。まぁ、素手でゾンビには触れたくないですけど。...ゴブリンにも触れたくないですね。あ、でも、木山さんなら軍手付けていますし、いけるかも、ですね。


 と、ボクは考えながらうんうん頷きました。


「あの、バールに纏わせたり、できませんか?」


 そこで、かねてより考えていた案をボクは提示します。よくある付与(エンチャント)です。バールに纏わせる紫色の雷電。カックイイですね。流石にそこまではできないかもしれませんが、その形に近い技をやって見せて欲しいですね。


「ふむ...やってみるか」


 木山さんが側に置いておいたバールを手に持ちます。ボクは言われる前に避難しました。何が起こるか分かりませんもんね。


「〈雷系〉の1番」


 詠唱文句を呟くと、先程と同じく小さな雷が発生します。その雷は木山さんの手からバールへと移り、まさしくボクが考えていた通りの状態となりした。


「おおおおぉっ!!そうです、それです!」


 と、ボクが歓声を上げるや否や、バールから雷が消えていきました。さっきは30秒近く続けていたのにどうしたのでしょうか?


「どうしたのですか?」


「はぁはぁ...無理だ、これ。維持するのにかなり力を使う」


 あぁ、なるほど。消費する魔力(的なにか)が多いというわけですか。息切れしてますもんね。ボクも同じ症状に陥ったことがありますから分かります。


「戦闘には使えなそうですか?」


「あぁ、そうだな。手に纏わせるくらいなら暫く持つ。が、物に纏わせるとなると、ほんの一瞬しか維持できない。どちらかと言うと使えないな」


「そうですか...申し訳ありません。無駄なものを取ってしまいましたね」


「ん?いや、戦闘には使えないと分かったが、俺の当初の目的は電力としての利用だからな。そっちを試さないと」


 少し俯き気味に答えたボクに、木山さんはそう返してくれました。確かに、木山さんがそのスキルを選んだ理由は電力として使えそうだから、でしたもんね。ボクとしては戦闘面に役立ってほしいものですが、流石は大人の木山さん。今後の生活を考える方が先でしたね。


「そう言えばそうでしたね。忘れてました」


「あーけど無駄に疲れた」


 どうやら木山さんがもう一つ椅子を用意してきていたらしく、そこにどっかりと座りました。しっかり飲み物も用意していますね。あの「や〜いお茶」ですね。ボクはお茶なら「真名茶(まなちゃ)」ですね。よく振ってから飲むんですよ。


「では、ボクが見張りしてますんで、寝ていてくださってもいいですよ?」


 ボクも木山さんの隣に椅子を運び、そこに座ります。


「安心して寝れねーっての」


「子守唄歌いましょうか?」


「...ははっ」


「えっ、今笑うとこありました?」


 木山さんの休息も兼ねて、くだらない会話に花を咲かせていきました。

「ねんねーんころりーよおころーりーよー」


「お、懐かしいな」


「坊やは良い子だ。ねんねしな」


「......なんかの台詞か?」


「人を撃つ前の台詞ですよね」

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