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ボクだけ"超ハードモード"な世界の終末  作者: めぇりぃう
寝ている間に世界は終末してました
2/47

2.難易度を選ぼう

今日はここまで、です

 さて、二度寝をかまそうかゲームを再開しようかの二択で悩んでいた時です。朝ご飯は食べないことに決まっていました。だってあと少しでお昼だもんね。


 ドンドンドンドンッ!


 というけたたましい騒音が聞こえてきます。どうやらボクの家のドアを叩いているようですね。まったく、先にチャイム押せぇや。見えへんのかい?


 ボクがそんな文句をオフトゥンの中へと更に潜り込みながら考えていると


《警告 "敵対生命体"が貴女に攻撃の意を持ちました》


 とか言う幻聴も聞こえてくるんですよね。あっはっは、実はまだ夢の中かな〜?と思って頬抓ってるんですけど、あら痛い。夢じゃないんですね。


《直ちに"敵対生命体"の排除を行ってください》


 なーんか、スマホとかゲームの電源入ってて、その音かなーとか考えたんですけど、どうもこの幻聴、耳で聞くというか...頭に流れてくる感じ?ボクも言ってみて分かりません。因みに内容は更にもっと分かりませんねぇ。なんでしょう、"敵対生命体"て。虫かな?


 ところで、ボクって虫全般が嫌いなんですよね。見たら...こう...潰したくなるくらいに。虫嫌いにも、2パターンあると思うんですよ。見たくない触れたくないの『拒絶型』。見つけたら殺すの『嫌悪型』。ボクは後者ですねぇ。


 あ、でも積極的には潰しませんよ?ただ、ボクに向かってくる愚か者には、こう、とにかくその行為を後悔してもらいたいと思いまして...。


 それはさておき。この幻聴とやら、虫がこの辺にいるから、キミ駆除して来てちょーだい、ってことですかね?人をなんだと思ってんですか?駆除人とでも?どーせやる事と言ったら、足で踏みつけグリグリーっ、とか丸めた雑誌でパンッ、とかスプレーぷしゅーっ、という普遍的なものだと思うのですが...どーしてもボクにやって欲しい、と?


《貴女には選択肢が与えられます》


 ははぁ。選択肢?やるorやらない?そりゃー、ボクに迷惑かけてないなら『やらない』ですよ。あくまでボクに対して害を成したヤツのみを後悔させてやりたいので。ふふん、ボク偉い。


《以下の難易度から選択してください》


 と、いうアナウンスと共に、ボクの脳内には3つの選択肢が浮かび上がりました。



 1.イージーモード

 2.ノーマルモード

 3.ハードモード



 は?なんこれ。ボクはゲームでもやるのでしょうか?意味が分かんないなぁ。



『イージーモード』

 "プレイヤー"は"敵対生命体"にとって下位の優先度となる。

 "プレイヤー"は負傷を午前0時にリセットすることが出来る。

 "プレイヤー"は必要な経験値が0.5倍となる。

 "プレイヤー"は受け取れる恩恵値が0.5倍となる。

 クエスト報酬ランク:〔下位〕

 獲得可能スキル:〈普通級(コモン)〉〜〈希少級(レア)


『ノーマルモード』

 "プレイヤー"は"敵対生命体"にとって中位の優先度となる。

 "プレイヤー"は骨折以下の負傷を午前0時にリセットすることが出来る。

 "プレイヤー"は必要な経験値が等倍となる。

 "プレイヤー"は受け取れる恩恵値が等倍となる。

 クエスト報酬ランク:〔中位〕

 獲得可能スキル:〈普通級(コモン)〉〜〈伝説級(レジェンド)


『ハードモード』

 "プレイヤー"は"敵対生命体"にとって上位の優先度となる。

 "プレイヤー"は擦り傷以下の負傷を午前0時にリセットすることが出来る。

 "プレイヤー"は必要な経験値が2倍となる。

 "プレイヤー"は受け取れる恩恵値が1.5倍となる。

 クエスト報酬ランク:〔上位〕

 獲得可能スキル:〈普通(コモン)〉〜〈神話級(ゴッズ)



 いんや、そういう説明されても、ね?訳わかんない。意味わかんない。誰かこれ説明してくださいよ。


《以下の難易度から選んでください》


 ボクの嘆きに答えるかとのように、再度同じ文句に同じ選択肢が羅列されます。


 仕方ないので考えてみますか。ボクは寝ている時に外れたメガネを装着し、顎に手を添えて考えます。


 『イージーモード』は名の通りに簡単(イージー)なのでしょう。日にち跨ぐと負傷を全快とか、親切設計これでもかですね。神仕様間違いないです。また、必要経験値半減も中々の親切。その下の"恩恵値"はちょっと意味が分かりませんが、恐らくはレベルアップ時の上昇値の事でしょう。ですから、もしこれのレベル上限が99の場合、『ノーマルモード』でレベル99になった人と比べると、半分くらいのステータスしかないよ、みたいな事です。たぶん。あとはクエスト報酬ランクと獲得可能スキルですが...これは妥当と言えば妥当なのですかね?楽をする分、貰えるものも少ないと言われれば、そりゃそうだと答えられますが、これは酷すぎるのでは?...まぁ、チュートリアル的にやる分なら問題ないかなぁ、くらいですかね。


 さて『ノーマルモード』は基本的なモードと考えて宜しいですかね。色々と等倍ですから、そう考えて良さそうですね。ま、どれほどが等倍なのかも分かりませんが。クエスト報酬ランクの〔中位〕も、獲得可能スキルの〈伝説級(レジェンド)〉も、何がなにやら分かりませんよね。ま、〈伝説級(レジェンド)〉というネームにはゲーマーとして惹かれますね。かなり。どんなスキルがあるのか気になるところですね。


 そして最後に『ハードモード』。正直にぱっと見何が厳しめ(ハード)か分かりませんよね。どちらかと言うと、強くなりたい人向け、という印象があります。実は隠れ設定でこういうものが〜〜、とかある気もしますが、それはそれ。今考えても鬼に笑われます。...ちと意味が違いますか。ととっ、話が逸れちまいましたね。脱線はボクの生来の美点です。何つって。『ハードモード』の最高スキルランクである、〈神話級(ゴッズ)〉と言うものに、ボクは憧れしかありませんよね。何が出来るのか、想像しただけで、もう...。「どれ、手始めにこの一帯を地図から消してやろう」とか、「貴様の勝機は既に途絶えた。神の御業を思い知れぇ!」とかほざけるんですよ。ウハウハですね。言うつもりないですけど。あと..."神器"なる武器にも期待大、ってとこですね。

 


 さて、これらから一つ選ぶわけですが...ボクは決めました。ゲーマー若しくはオタクなら、誰もがこれを選ぶに決まっています!ド、ド、ド定番中のド定番!


()()の選択肢。『超ハードモード』、だ!」


 ......暫しの沈黙。うん、言ってみたかっただけだもん。リアクトされるなんて思ってなかったもん。


 さーてさて、どうしますかね。ボクならやはり、『イージーモード』でしょうか。簡単なら簡単なだけ楽でいいですし。元々ゲーム大好きですけど、下から順当にやるコツコツタイプですから。下積み大事。マジ命。ヌルゲー大好き、無双ゲーかもーんなボクですから。


「んじゃ、『イージーモード』で」


 ボクはアナウンスさんがいると想像する、天井の角っこを見つめながら答えました。


《難易度の変更は出来ません》


 すると、アナウンスさんから思いもよらない返しが...


「...はい?」


《難易度の変更は出来ません》


「いや、あ、あのぉ...あぁ、『イージーモード』になってるんですよね?」


 ボクは焦って尋ねます。そして思い返します。あれ、何か選択してたっけ、と。『ノーマルモード』?『ハードモード』?思わず口していたかも知れません。もしくは、喋らずとも『ハードモード』良いねぇ、とかいう思考から選択されちゃっていたのかも。もしくは、時間制限が設けられており、それを過ぎたゆえにランダムで選ばれてますよ、とかですよね。ですよね?


 期待の眼差しで天井の角っこを見つめます。


《現在の貴女の難易度は『超ハードモード』となっています》


「...ちょーはーどもーど...」


 ボクがふざけて口した番外の難易度である。元々存在していなかったものであり、ボクはあまり──いや凄く選びたくないモード。ボクね、難しいの嫌いなの。楽に逃げたい人間なの。だからね、『超ハードモード』なんて冗談、聞きたくないんです。で、『超ハードモード』って何なんです?



『超ハードモード』

 "プレイヤー"は"敵対生命体"にとって最上位の優先度となる。

 "プレイヤー"は空腹になり易くなる。

 "プレイヤー"は必要な経験値が5倍となる。

 "プレイヤー"は受け取れる恩恵値が2倍となる。

 クエスト報酬ランク:〔最下位〕

 獲得可能スキル:〈普通(コモン)



 ............んて、はい?


 ちょ、ちょい待ち。ちょいと待ってくださいよ。『超ハードモード』?本当に本当に存在してるんですか?ボクの冗談を実現しなくてよろしいですよ?


 本当の本当?


《現在の貴女の難易度は『超ハードモード』と───》


 もう分かったよ!寝る!


 メガネを外してオフトゥンの中へと潜ります。


 ボクは二度寝を選択しました。

 

 ............

 .........

 ......


「ステータスオープン!」


 ......反応はありません。虚しいです。


 気になっちゃったんですよ。寝れませんって。だって難易度を選ばされたんですよ?そしたらステータスも付随してくるものでしょう?


 ボクはのそのそとオフトゥンの呪縛から抜け出し、椅子に腰掛けます。ついでにメガネをカチャリ。チャキチャキ。


「えっと...アナウンスさーん。ボクのステータスってどーなってますかー? 」


 ......へんじがない ただのしかばねのようだ


 じゃ、なくてさ!?お願いですから、現状を!もっと現状を把握させてください!ボクは何をやればいいのですか!?


 ボクはすっかり目が覚めてしまったので、とにかく『超ハードモード』とかいうおぞましい難易度に対して恐怖を抱いているのです。その不安を拭う為に何をすればいいのでしょうか!?


《"敵対生命体"の排除を推奨します》


 また、また"敵対生命体"!?だからそれは何なんですか!?ゴブリン?スライム?そーいうファンタジックなモンスターでも居るんですか?ボクを舐めとるんですか!?


 ボクは訳が分からず、頭痛に苛まれながらも、一応念のためにと台所から包丁(切れ味イマイチ)を持ってきます。家にある中で最強の武器です。たぶん。


 "敵対生命体"という言葉からして、明らかにボクの敵なのでしょう。その言い回しから人間でないことを伺えるが、逆に人間でないなら何なのだろうか。狂犬でも出ましたか?と言うか、やっぱり難易度ってなんなんです?


 その質問に対する回答はありませんでした。


 

「ははは、3択ろーすに騙された...」


《実は第5の選択肢が...》


「えぇっ!?な、なんです?」


《『スーパー難しいモード』です》


「...そうですか」

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