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ボクだけ"超ハードモード"な世界の終末  作者: めぇりぃう
デイヤマ戦線
19/47

19.解雇通告...?

国立入試まで残り1週間...。他人事ですみません

「うわぁっ、馬鹿でかいゾンビだー!」


「逃げろーっ!」


 目前に迫るは、体躯が普通のゾンビの10倍近くある巨人ゾンビ。ソイツがゆっくりと、しかし大きく1歩ずつ近づいてきます。


 相対するは、木刀を構えた1人の少女。学校指定の制服に身を包み、頭にはヘルメット、目にゴーグルを掛け、迫ってくる巨人ゾンビを睨め付けます。


「ボクが仕留めてあげましょう」


 木刀を逆手に持ち替え、頭の横、やや後ろに持っていきます。そのまま全身のバネを使い、木刀をやり投げの要領で巨人ゾンビに向けて放り投げました。


 ダァァァァンッ!


 少女が投げた木刀は、巨人ゾンビの脳天に突き刺さり、皮膚を穿ち、脳漿を炸裂させました。


『あ"あ"あぁぁぁぁ』


 という断末魔を上げて、巨人ゾンビは後ろに倒れていきます。


 パンパカパーンッ♪レベルが上がりました♪


 という音が5回ほど鳴り響きます。


「ふっ、これで木山さんに追いついきましたね」


「いや、俺なんかより稲井ちゃんの方が凄い!」


「さてさて、なんのスキルを取りましょうかね」


 意気揚々とスキル取得しようとゴーグルを首元に下ろします。すると、木山さんが少女の両肩を掴みました。


「稲井ちゃん!」


「えっ、ふぇっ、なんです、なんですか?」


「稲井ちゃん!」


「あっ、やっ、顔、顔が近いですって」


 息が掛かるくらいの距離。少女は後ろに下がりますが、木山さんはそれに合わせて近づきます。逃げられません。


「稲井ちゃん!」


「あうぅっ」


「稲井ちゃん!」







「ひゃいぃいっ!」


「お、やっと起きた」


「えっ......」


 辺りを見渡します。巨人ゾンビの死骸は...無いですね。逃げ惑う人々も居ません。横には、ボクの右肩を掴む木山さんが、少し呆れ顔で立っていました。


 夢、オチ...だと...!?ボクのレベルアップボーナス×5は...!?無しか、無しなのか...!?


 まぁ、確かに、ボクなんかが巨大なゾンビを一撃でのすとか、到底有り得ない事ですもんね。普通のゾンビでさえ、あれほど苦戦した訳ですから。夢の中でほざいていた、木山さんに追いつく、なんて当分訪れないでしょうね。若しくは、一生追いつけないかも知れません。


 と、そんなことよりも、かなり疲れていたとはいえ、また警備中に寝てしまうとは。これでは監視役失格です。


「す、すみません、でした」


「いや、大丈夫大丈夫。寝てても余裕なくらい、平和だったんだろ?」


「あうぅぅっ」


 恥ずかしい、恥ずかしいですっ。もしかしなくとも阿呆みたいな寝顔を晒したわけですよねっ。うぅ、穴があったら入りたい衝動です。


「...稲井ちゃんに警備役は無理、と...」


 ボソリ、と木山さんは呟きます。皮肉の混じったその言葉は、ボクの耳にギリギリ聞こえる程度の音量。嫌味がこれでもかと詰まっています。


「ひゃぁぁっ!ご、ごめんなさい!」


「ん〜?どうかしたのか〜?」


 ボクが叫べば、木山さんは惚けた顔で答えます。それ程怒っているのでしょうか?...怒っているのでしょうね。


「反省してます、反省してますからっ!除け者にはしないでくださいっ!」


 土下座でもしようかという勢いでボクはそうまくし立てます。今ここで誠心誠意の謝罪を見せなければ、本当に解雇されかねません。


「俺はな、こんな危険地帯で寝ていられる稲井ちゃんに、見張り役は任せられないと思うんだが」


「そ、それについてはですね...あの、ゾンビとの戦闘がありまして、大技を使ったら疲れてしまいまして」


「ゾンビが来たのか!?怪我は?どこも怪我していないか!?」


「えっ、は、はい。安全に気をつけて闘いましたから」


 ボクがゾンビの出現情報を言い訳として出せば、木山さんはボクの肩を掴みます。心配してくれているのは分かるのですが、少し痛いです。


 ボクが大丈夫だと返せば、ようやく離してくれました。


「そりゃ良かった...けど、そうか。ちゃんと警備はしたんだな」


「そ、そうです!そうですよ!警備はしっかり行っていました!しかし、ゾンビとの戦闘で想像以上に疲弊してしまいまして。えぇ、仕方なかったのです」


 これは渡りに船と、ボクはその言い訳でこの場を乗り切ろうとします。ボクは少しでもレベルを上げたいので、安全圏でぬくぬくするのは嫌なんです。...本当はグータラしたいんですけどね。しかしそれでは、余命を短くするだけでしょうから。今は力が欲しいのです。


「まぁ、それとこれとは話が別だが、な」


「そ、そんなぁ...」


 く、くそぅ...。


 ボクの言い訳は通用せず、悲しくも木山さんにそう切られてしまいました。木山さんめ、中々手強いです。


「大体なぁ、疲れたんならフクさんあたりに頼むなり何なりあるだろう」


「い、いやぁ...フクさんも松田さんも、何やら忙しそうにしてたじゃないですか。ボクだけ、ほら、何もやっていないので、それで...」


「はぁぁ...そんなふうに考える必要はないと思うけどな」


 木山さんは大きくため息をこぼします。


 木山さんの言いたいこと、よく分かります。大人に頼れ、という事でしょう。しかし、しかしです。この場も危険地帯となり、ボク1人になるかもしれません。自衛の力を手にしとかなければ、助かる場面も助かれません。


 まぁ、木山さんが言いたいことは、無理はするなということなんでしょうけど。それは木山さんに言いたい事ですから、言われたくないですよ、ほんと。


「考えてしまうから、仕方ないじゃないですか」


「ははは、なら、行動で示そうな」


「うぅっ、そう言われると、何も言い返せません...」


 口論でも勝てそうにありませんね。

「さてさて、なんのスキルを取りましょうかね」



勇者の剣(ゆうしゃのつるぎ)

名刀・夜桜(めいとう・よざくら)

打撃耐性(だげきたいせい)

ヨガのポーズ(よがのぽーず)

()系:Ⅴ〉



「5個ピッタリしかありませんねぇ」

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