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ボクだけ"超ハードモード"な世界の終末  作者: めぇりぃう
デイヤマ戦線
18/47

18.ソロ戦闘デビュー

 カクンッ...カクンッ...ハッ!寝ていませんよ。寝てなんか、いません。見張り中に寝る愚か者、居るわけないじゃないですか。辞めてくださいよ、そういう疑いの目を向けるのは。


 ボクは誰かに対しての言い訳をしながら、椅子から立ち上がり体を解します。そして、パンッ、と両頬を叩き、無理矢理眠気を吹き飛ばします。


 ボクだけ、何もなしえてないですから、サボるなんて御法度です。


 木山さんは言うまでもなく、戦闘面において多大な貢献を。


 フクさんと松田さんは、現在デイヤマの電気や水道周りについていじっているようです。上手く行けば、電気が使えるようになるやも知れません。


 お荷物は嫌だ、そう言ったのは自分です。有言実行しなくてどうするんですか。



 と、少し反省していたボクへ、挽回のチャンスかのやうに、ゾンビがふらふらと近づいてきました。


「ふぅ、よし...集中...」


 数は一体。何時も木山さんが余裕を持って相手しているゾンビですが、ボクにとっては危険も危険。初戦闘時は木山さんが殆どやってくれたようなものですから、これが本当の意味での初戦闘。緊張してきました。


 ゾンビはこちらに気付いている訳ではなさそうです。単純に、ふらふらとぶらついて来ただけなのでしょう。


「〈身体能力上昇〉を起動」


 ボクは小声で呟きます。


 元々、〈身体能力上昇〉は受動(パッシブ)スキルなのですが、どうにも奥があるようで。更に意識を〈身体能力上昇〉に向け、起動させるとあら不思議。出力の調整が出来るのです。


 最大出力で発動させると、数回の呼吸で力尽きます。ボクが。これは、何かSP(スタミナ)MP(マナ)みたいなものを消費しているみたいなのです。ボクにはそれらが多くないので、直ぐにバテてしまう、と。


 ですから今の出力は20%ほど。何も意識しないと10%程ですから、単純に2倍の効果で発動させています。


 木刀を構えていざ、参る。


「やっ!」


 横、ゾンビの死界から木刀を叩き込んでやりました。手応えは鉄を殴ったみたいな感じです。凄く、硬い。弾かれはしたものの、ゾンビもよろけていますから、まぁ上場といったところですね。


「ハァッ!」


 足をしっかりと固定して、腰から捻るようにフルスイングしてやります。ボクの武器である木刀は打撃系の武器ですから、これが一番効果的、だと思います。


 よろけていたゾンビの顔面に追撃を加え、ゾンビを後ろへと下げさせます。痛みは感じていないようですが、衝撃は伝わっていますよね。ダメージも、それなりに入ったと思いますよ。


「りゃっ!」


 隙を見逃す程、ボクも甘くはありません。そも、反撃されたらお終いですから、その間を与えない、というだけですけどね。


 腹と顔に一撃ずつ突きを入れ、まだ倒れないことに内心で舌打ちをします。木山さんなら、多くて2 回で殴り倒していたというのに。


「ふーっ、出力30%(さんじっぱー)


 出し惜しみをしているつもりはありませんでした。この〈身体能力上昇〉の出力増加は、中々燃費がよくありませんから、長期戦闘に向かないのです。ですから、様子見は20%が妥当なのです。


 燃費が悪い、ということについて、まだ慣れていないことも要因の一つですが、何よりボクの素の身体能力が雑魚ですから。それを底上げするために必要な対価は、多大な疲労。


 20%でも、10分そこらが活動限界です。30%の場合、5分と言ったところでしょうか。それ以上にすると、1分、10秒と減っていきます。100%はまだほんの数瞬。ここから10秒、1分、ゆくゆくは1時間と時を止め...ではなく、身体強化していきたいですね。


 さて、冗談はそこらで早く決着(けり)を付けなければ。


「うりゃぁっ!」


 体勢を立て直し、こちらに近づいてきたゾンビの頭に、会心の一撃を打ち込みます。先の攻撃よりも力強い一撃をくれてやりました。手がすごく痺れます。痛い、痛いです。ボクの木刀は特別製なんかじゃ、ありませんからね。衝撃吸収とか、してくれたら有難いのですが。


 と、打ち付けたゾンビを見ますが──まだ駄目ですか。仕方ない。ボクは2、3歩ゾンビから離れ、息を整えて木刀を構えます。


「くらいなさい...50%(ごじっぱーっ)!!」


 一瞬だけ50%まで解放して、ゾンビの顔面目掛けて突きを放ちます。今までとは比べ物にならないくらいに、速く、鋭く、力強い一撃。ゾンビは反応することすら出来ず、吸い込まれるように顔面へと木刀を突き立てます。今度は、あの鉄のような硬度を貫き、脳漿を炸裂させることに成功──


「うぉぇぇぇ」


 ──させてしまい、間近で気持ち悪いものを見てしまいました。うげぇ。


 「けっほけっほ......ふぅっ、勝ちました」


 誰に、ということではありませんが、とにかく勝利宣言をします。残念ながらレベルは上がりませんでしたが、これは予想の内です。『超ハードモード』ですから、必要経験値は多いに決まってます。5倍と明記されてましたからね。あと2、3体は必要になってくるでしょう。あぁ、早くレベル上げたいですねぇ。


 ゾンビの死骸をどうするか迷い、結局放置することに決めました。あとで木山さんに燃やしてもらいましょう。


 最後の50%が効いたのか、結構疲れが出ています。たかがゾンビ一体にここまで疲弊するのですから、頼りないと判断されることに反論出来ませんね。これは、鍛錬が必要そうです。


「さて、暫く休憩...ですかね」


 今はとにかく休息、と定位置へとふらふら歩いて行きました。


 監視席となっている椅子に座り、カロリーメイクをもぐもぐしながら、お茶で喉を潤します。食事を摂る事でこの疲労感は回復するんですよね。不思議なものです。と言っても、このカロリーメイク一本くらいでは、体力全体の10%くらいしか回復出来ません。お茶は精神的な回復のみですね。


 まぁ、休めば治るので、このまま警戒を続けておきましょう。

「閉じろ10%(ジッパーッ)!」

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