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ボクだけ"超ハードモード"な世界の終末  作者: めぇりぃう
デイヤマ戦線
17/47

17.見張り番

み、短い...勘弁。

 それからボクは、デイヤマの自動扉を手動で開けて外に出ます。外には木山さんがモンスターの警戒をしていました。店内から椅子を持ち出し、そこに座って辺りを見渡しています。足元には缶コーヒーが3個程あり、しっかりと全部飲んでいるようです。


「木山さん、おはようございます」


「...あぁ、稲井ちゃん、おはよう」


 少し、いえ、かなり眠そうな表情で木山さんは返事をします。


「...もしかして、不寝番をしてました?」


「いや...まぁ、結局そうなったんだけどな。昨晩、またゴブリンが何匹か来やがって...それを対処してから、取り敢えず誰か起きるまで見張っていたんだよ」


「...すみません、ありがとうございました」


 そうか。ボクは気づかなかったけれど、木山さんは《探知系》のスキルを恐らく取得している。嫌でもモンスターの接近に気付いたのだろう。


「木山さんは少し寝て来てください。見張りの続きはボクが受け持ちますから」


「いや...うーん...そうだな。頼むよ。暫く寝てくるわ」


 寝不足のまま戦闘になっても危険なだけだと理解したのか、木山さんはすんなりと引いてくれました。昨晩言ったボクの決意を覚えていたから、という理由でもあってほしいです。


「はい、おやすみなさい」


「あぁ、おやすみ...ふあぁ」


 木山さんは欠伸を噛み殺しつつ、ふらふらとデイヤマに戻って行きました。ボクはその背中を見送ったあと、周囲の警戒に意識を向けます。


「...お布団の件、聞き忘れました」


 まぁ、木山さんが起きてからで良いでしょう。木山さんが同行しないと、ここからボロアパートまでの道すら、谷に掛かる吊り橋を渡る感覚になりますからね。



 さて、周りにゾンビやゴブリンは見えません。


 そうすると。


 朝の空気をめいっぱいに吸い込み、吐き出し、身体を解して温めます。準備体操をしっかりと行わないと、どこを痛めるか分かりませんからね。入念に行いますよ。


 次に、我が愛刀、"キョウト之木刀"を手にして、正眼に構えます。まぁ、握り方から構え方まで、ボクのテキトウなものですけどね。次に取る予定の〈剣術〉で、これがどれほど改善されるのか、そこにも期待しておきましょう。まぁ、今はこれでいいのです。


 ゆっくりと、足を動かしながら、木刀を振っていきます。〈身体能力上昇〉により軽くなった身体に順応するように、ボクは少しずつ素振りを速めていくのでした。



 ふぁぁ...疲れました。久々ですね、これ程動いたのは。あれから小1時間、休まず動き続けましたよ。あ、でも安心してください。ちゃんと周囲の警戒はしていましたよ。と言うか、相手に気づかれたらボクの方へと襲い掛かるので、ボクが無事ということは、つまりそういう事です。襲撃はありませんでした。


 一度デイヤマへと戻り、ボクのリュックからカロリーメイクとお茶を取り出します。パキュッ、という軽い音を立ててペットボトルのキャップを開け、ごくごくと半分ほど飲みます。凄く喉が乾いていたんですよ。汗も沢山かきましたし、水分補給は大切です。温いですけど、お茶美味しい。


 カロリーメイクを一本口に入れて、ペットボトルを持って外に出ます。警戒任務の続きです。


 因みに木山さんはダンボール布団でしっかりと寝ていました。ボクが陣取るスペースの少し離れたところで寝ています。木山さんの休憩の為にも、ボクがしっかりと警戒を行わなければ。


 ボクはやる気を高めて周囲の警戒に勤しみました。

「す、凄いです...!オタクなのにこれ程動けるなんて、ボクには才能があったんですよ...!」

※数分後ぶっ倒れます

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