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炎の騎士伝  作者: ものぐさ卿
第二章 炎の覚醒編 序節

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第三十五話 再会を願って

 リンの告げたシラフのもう一人の幼馴染の存在。

 彼女が一体何者なのか、目の前の小さな妖精はその子についての顛末を何処か懐かしみながら語り始めた。


 「シラフとその子とはシファ姉の屋敷に来る前からの関係だったかな………。

 前の家に数ヶ月くらい居候していた一家の一人娘でね。

 当時、よく遊んでいた外国の女の子がいたんだ。

 身体はあまり丈夫じゃなかったから、その子の過ごしている部屋に押し掛けてよく一緒に本を読んだり絵を描いたりしてたっけ………」


 「へえ、シラフにそんな子が……。

 そんな事、シラフからは今まで聞いた事ないね」


 「まぁ、そうだろうね。

 でも、昔のシラフはその子とはすごく仲が良かったんだよ。

 毎日のように一緒に遊んでて、本当に仲が良かったくらいだしお互い相応の家柄だから許嫁にもなり得たかもしれなかったくらいだから。

 でも、あの日の数ヶ月くらい前だったかな。

 あの子の家族は国を出て引っ越してしまったんだ。

 元々、両親の仕事の都合で数ヶ月程シラフの生家に居候してたって事だからしょうがないんだけどね。

 シラフったらその子との別れの日は凄い泣いてさ、向こうも同じくらい泣いてて、泣き止むまでほんと大変だったなぁ。

 でもね、また会えるって、信じて別れたんだよ。

 それ以降は例の火災があって一度も会っていないし、連絡も取れて無いんだけどね」


 「その子は今どうしているの?」


 「うーん、分からないし今はどうしてるんだろう?

 その子の名前とか生まれとか、私も正直細かいところは忘れちゃったからね。

 そもそも、シラフだってあの日以前の記憶はすごく曖昧なくらいだからさ。

 でももしかしたら、まだシラフはその子の事が好きなのかもしれないよ……。

 まあ、それも私の推測でしかないけど……。

 ほんとはそれ以外の子なのかもしれないし?

 うーん、私の見立てだと侍女だったアノラともいい雰囲気だったからその子なのかもなぁ………」


 「屋敷の侍女さんといい感じだったの?」


 「うん。

 お屋敷暮らしの際はほとんど毎朝一緒に朝食の用意をしてたからね。

 私やシファ姉が後から起きるのもあるけど。

 でも、年も近いし割と話も合ってたみたいだからお似合いなのかもね」


 「あー、そうなんだ………」


 リンの言葉に私は返答に悩んだ。

 本当ならつまり、シラフはその人と既に……


 「うーん、アノラはほら?

 親の命令でこっちに来たみたいだからね?

 元々シラフ狙いみたいだけど、本人にその気は無かったみたいだし……。

 まぁでも、家の事情次第で政略結婚する可能性は無くはないのかなぁ?

 ほら、向こうはローゼスティアの家だからさ?

 五大名家の一つだし、やっぱり更に名を上げるならシラフの存在はかなり重要なんだと思うよ」


 「ローゼスティア家のお嬢様………。

 そんな人が侍女としてわざわざお屋敷に?」


 ローゼスティア家と聞き、その人物とは何度か顔合せがあったことを思い出した。

 私より二つ上のとても綺麗で優しい印象の人物であり、小さい頃のシルビアも彼女には心開いていた程であった程。

 彼女程の人なら確かに彼に相応しいかもしれないと思い、競争相手の強さに緊張が高まりつつあった。


 「うん。

 まぁ、他のとこも同じ目論見があるんだろうけど。

 少なくとも今はまだ大丈夫じゃないかな?

 結婚云々よりも、あの子ったら目の前の十剣関連の方が大事みたいでむしろ焦ってるくらいだし。

 私としても、今の時期は本人の意向を尊重したいからなぁ、あの子本人から言わない限りは縁談は適当に断ってるもの。

 剣の腕は良くなったけど、今のシラフはそういう所は未熟で疎い面があるからなぁ……」


 「それは確かに………」


 「そうそう、だからまぁ今は大丈夫だと思う。

 まぁでも、何かしらのアプローチくらいはしたらいいんじゃないかな?

 私はそこら辺は別に構わないけどさ」


 「そうですね……。

 ありがとうリン、シファ様……。

 色々とお話してくれて」


 「別にいいよ、ルーシャも頑張ってね。

 一応私も応援してるから……」


 「うん、ありがとう………」


 そんな話をしていると、シラフの方に向かっていたはずのクレシアが私達の所に戻ってきた。


 「ルーシャ達は何の話しているの?」


 「クレシア、まぁちょっと色々とね?」


 「色々って?」


 それに対しシファが答える、


 「シラフの好きな人についてだよ。

 あの子、どんな子が好みなのかなぁってさ」


 「シラフの好きな人。

 なんか面白そうな話題だね。

 結局ら誰の意見の推測に至ったの?」


 「ええと……。

 リンの言ってた私より前の幼なじみかな?」


 「えっ?!

 ルーシャより前にも幼なじみがいるの?!」  


 「うん、どうやらそうらしいんだよね。

 でも随分昔だったから名前も忘れたらしいけど。

 でもリンちゃん曰く、恐らくそうかもしれないんだろうって……」


 「なるほど……、シラフが今もその子をねぇ………。

 でも、ルーシャとシラフの関係もかなり運命的じゃないかな?」


 「運命的って、私も同じく幼なじみなんだけど……。

 別にそんなことは無いと思うよ。」


 「でも、ルーシャはシラフの事が好きなんでしょ?」


 「まあ、そうなんだけど……。

 あまり大きい声で言わないでよ恥ずかしいし。

 あいつに聞かれたらどうするの……!」 


 「ねえ、クレシアさんは幼なじみとかいるの?」


 リンがそんな事を彼女に尋ねると、曖昧な反応を示した。


 「あー、幼なじみか……。

 えーと、一応居たっぽいのかな……?

 随分昔の事なんだけどね………

 その、それがコレ……なんだけどさ。」


 そう言うとクレシアは服の下に隠していた首飾りを取り出す。

 首飾りは簡素な造り、とても高価そうには見えない手作り感の漂うものだが、一つの赤い石が非常に目を引くとても綺麗な一品だった。


 「子供の頃に誰からか貰った物なんだ。

 誰かは分からないんだけど……。

 多分、男の子だとは思うよ………」


 「それじゃあ、クレシアは今もその人に会えるかなって待っているのか……。

 今もその子から貰ったソレを肌身離さずに……?」


 「多分そうなのかもね……。

 ずっと持ってればいずれ会えるかなって。

 子供っぽい事だけどさ………。

 ある意味、おまじないみたいな物なのかな?」


 「そんなことは無いと思うよ

 クレシアもあるんだね……そういうの……。

 私も初めて知ったよ」


 「ルーシャには言って無かったよね。

 でも、ルーシャみたいにずっと関わってたみたいな話では無いからね。

 このまま持ってるだけじゃ結局会えないのがオチだろうからさ………。

 でも、会えたらいいな程度だと思ってる。」


 「いいなぁ、そういうの…………。

 ちなみに会えたらどうしたい?」


 「えっ?!

 いや、その………うーん。

 再開してもせいぜい軽く会話を交わす程度なのかも。

 だって今さらあってもお互いあまり覚えてないみたいなものだろうし、現に私も相手の名前すら分からないんだよ……。

 だからその、昔会ってたとしても初対面の人と話すのは私その………苦手だから……」


 「まあ、クレシアは結構な人見知りだからね。

 その割にはシラフとは珍しくよく話せてるよね?」


 「確かにそうなのかも?

 なんとなくルーシャと雰囲気が少し似てるのもあるからなのかな?」


 「え、私とシラフってそんなに似てる?!」


 「えーと、なんというかさ?

 ほら、周りの注目を集めがちだったりちょっと負けず嫌いなところとか?」


 「確かに、姉様とシラフさんは似てるのかもしれませんね?」


 「シルビアまで何を言ってるのよ!

 別に私はそこまで目立ったり負けず嫌いって訳じゃないし……。

 それより今はクレシアの方の話!」


 「あはは……、でもやっぱりいつかは会いたいよ。

 ちゃんと私はこれを持ち続けてるんだからさ……。

 だから、いつか必ず私を見つけて欲しいの」


  それを聞くとシファは微笑みクレシアに


 「叶うといいね、みんなの願いがさ……。

 ルーシャもシラフも、クレシアさんもね」


 「ええ、そうですね………」


 クレシアはそう返事を返し、今も剣を振るうシラフに視線を向けた。


 その瞬間、自分の胸に針のようなモノが刺さるような違和感を覚える。

 本当に痛い訳ではないが、先程までの話で何かの違和感を感じたのが正しいだろう。


 しかし、リンから聞いた話とクレシアから聞いた話の何処にもおかしいところはないはずなのだ。


 ただ、お互いに昔惹かれていた人がいたってだけ。


 なのに、私は何かを感じた。


 僅かに過ぎった違和感を振り払い、私は鍛錬を続けるシラフの姿を目で追い続けた。


 この違和感の正体は一体何なのだろう?

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