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炎の騎士伝  作者: ものぐさ卿
最終節 この先も幻想は君と共に
199/325

己が最強の証明を

 帝歴403年12月14日

 

 互いの武器が交錯する。

 激しく甲高い金属音が鳴り響き、衝撃の一つ一つが全身を貫くかのようなモノ。

 身体が徐々に悲鳴をあげるのも時間の問題だろうか?


 「ほらほら、その程度ですか?

 私、まだまだ全然余裕ですよ☆」


 「黙れ!」


 反撃を仕掛けようも、容易く目の前の女はこちらの攻撃を躱してしまい降り立つように着地。

 まるで舞踏を見るかのように、こちらの動きは完全に読まれ翻弄されていた。


 「うーん、まぁ片翼の時点で出せる力はたかが知れてるんですよね。

 まぁいいです、そろそろグリモワールを回収してあなた方を処理しなければマスターに怒られてしまいますし」


 戦闘が開始し、既に幾らかの時間が過ぎていた。

 私と例のホムンクルスが交戦する中、控えているシンはほとんど動かずこちらの様子を見ているだけである。


 「貴方、いい加減に加勢しなさいよ!

 ここで死にたい訳!?」


 「それが私の定めですから」


 「何を……」 


 彼女の方からの思わぬ返答に私は戸惑う。

 しかしアクリの方は怪しい笑みを浮かべ話始めた。


 「自身の役目をしっかりと覚えていていて助かりますよ

 私が本来の力をつかえる完全体となる為にね☆」


 「完全体?

 今の実力でまだ不完全な状態だと言うのですか?」


 「あー、そっか皆さんは知らないんですよね。

 彼女の存在が一体何なのか?

 彼女は第二世代型のホムンクルス、でも彼女が造られた本当の目的は後に完成するであろう私、第四世代型ホムンクルスへグリモワール・デコイを継承する為の器として生み出された。

 デコイがホムンクルスの素体に馴染む事、更には大気中の魔素に直接触れる事を避ける為、デコイへ情報を蓄積させ最適化させる為に20年程の歳月を彼女の体内を用いたんです。

 そして遂にこの時、私は彼女の持つグリモワールを手にする事で本来の力を得る事が出来るのです!」


 彼女は得意気にそう豪語する。

 あれ程の力で未だ不完全、元段階で本気とは程遠いのは分かっていたがそれでも更に強くなると言っている。

 次元があまりに違い過ぎる。

 素直に殺されようとするあの女の方も気が狂っているとしか思えない。

 最初から敵の軍門に降りるつもり、敵に殺される事が至極当然だと受け入れていたのだ。

  

 「リノエラさん、もう大丈夫です。

 後の事は問題ありませんから」 


 「止めなさい!そんな事をしても何も解決は……!」


 私の静止に構わず、彼女は私とアクリの前に立ち目の前の存在へ告げた。


 「私を殺して下さい、アクリ。

 その代わり、彼女への手出しはやめて下さい」


 「いいですよ、大人しく殺されてくれればこちらとしても助かりますから」


 「そうですか……。

 リノエラさん……」


 シンは私の方を振り向き、ただ一言私に告げる。


 「皆さんの事をよろしくお願いします」


 僅かな微笑みを浮かべこちらへ綺麗なお辞儀をする。

 瞬間、彼女の胸が敵の刃によって貫かれた。


 目の前の光景に私は呆然と見ている事しか出来なかった。



 私の攻撃により胴体を貫かれた彼女の刃を引き抜く。

 力が抜けたように目の前の藍色の長い髪の女は膝から崩れ落ちホムンクルス特有の僅かに薄赤の潤滑剤の血液を流しながら倒れた。


 「抗わないですね、貴方は」


 「覚悟はしておりましたので……」


 「私、本当に殺しますよ貴方の事」


 「知っています、それが私達の定めですから。

 優しいんですね、貴方は」


 「………」

 

 敵を殺した心地はあまり良くない。

 分かっていたが、あまり気持ちよくないものではない。

 最初の一撃でも、私は一瞬躊躇い攻撃が遅れた。

 恐らくこの女は気付いているなだと。


 私の本心に最初から気づいている。


 「後の事はお願いします。

 私、もう長くはないので……」


 「はい、知っています。

 だからさっさと死んで下さい」


 「……そうですね。

 デコイは頭部にカプセル状に入っております。

 頭蓋を砕き、カプセルを飲み込めばデコイは貴方の体内に取り込まれる」


 「わざわざ悪趣味な事をさせるんですね。

 でもわかりました、やりますよ私」


 倒れる彼女の呟きにそんな返事を返し、私は武器を構える。

 首を落とし、その頭部からグリモワールを回収すふ為に。

 殺す事には慣れている。

 ここで生き残る為に幾度もこなした事だ。

 生き残る為に、先輩から教わった敵を倒す為の手段。

 

 目の前の彼女もこれまでと同じ。


 自分が生き残る為に、踏み台となる存在。


 だから……


 「さようなら」

 

 感傷に浸らず、何も感じぬように。

 目の前の首を落とした。

 転がる骸のソレを私は掴み、頭蓋を自らの握力で容易く砕く。

 魔力の流れが滞っている為、普通の人間よりは僅かに脆い程度。

 藍色の長い髪が伸びる頭の外皮を剥ぎ取り、砕けた頭部の内部にある脳へ手を入れる。

 臓器に触れるような手の感覚はあまり心地よいものではない、これまでで一番嫌悪感すら感じる行為だった。

 余計な思考はいらない、ただ目的のモノを取り出せばコレには用済みだ。


 そしてようやくソレは見つかる。

 彼女の血液と肉片が付いた指先でつまんだ黒いカプセル状の物体。


 グリモワール・デコイで間違いない。


 かつてノエルが研究の末に生み出した我々第四世代のホムンクルスに向けて造られた代物。


 飲み込めば力が得られる。

 私本来の力が得られる。

 

 僅かにその見た目に戸惑うも、カプセル状のソレを飲み込む。

 しばらく待っていても特に変化は見られない。

 体に何かしらの変化が起こるだろうと、事前には聞いていたが何の症状が起こるかは何も知らさせれていない。

 

 「貴様、よくも彼女を……。

 このような、このような無残な姿に!!」

 

 先程から立ち尽くしていたばかりの彼女は、私の方を睨み怒りを露わにしながら武器を構えていた。

 感情に呼応しているのか、魔力もかなり高まっている様子である。


 「まだ戦うつもりなんですか?

 勝てない事くらいあれ程やってれば、もう分かりきってると思ったんですけど……。

 彼女の言葉通り見逃してあげようって思っているのに、その命をすぐに無駄にしようとは……。

 貴方は本当に馬鹿なんですか?

 無謀もいいところですよね?

 呆れますよ……☆」


 「黙れ!!

 どんな理由や建前があろうと仲間を目の前で殺され、私だけかみおめおめと生きて帰れるとでも思っているのか!!

 貴様のやった事は、どんな理由があろうと許されない!!

 今すぐここで貴様を殺して我が名の下に断罪してくれる!!」


 「そんな権限、貴方には無いと思うんですけどね。

 本当、余計なお世話です☆

 私達の事を対して知らない癖に仲間面とか本当気持ち悪いですよ」


 「覚悟しろ、外道めがぁぁ!!」


 自身の怒りに身を任せ襲いかかる。

 感情任せも影響しているのか、動きは単調。

 威力も先程までとほとんど変わりない。

 相手をするだけ無駄だろう


 衝撃が交錯する。

 互いの武器が衝突し、両者の刃が合間見えたかに向こうには見えただろう。

 だが私は敵の剣を左の指先で受け止めているのだ。

 その様子に向こうは驚愕している様子である。


 「なっ……」


 「いい加減、諦めて下さい☆」


 指先に込めた魔力と力を引き上げ、刃を砕く。

 そして彼女の体に向けて右足で蹴り上げる。

 宙に浮いた彼女は、衝撃と痛みで成す術なく地面へとそのまま叩きつけられる。


 「全く、本当に諦めが……っ」


 不意にこれまで感じたまでで一番の吐き気のようなモノが襲いかかった。

 体中を蝕むように、何かが全身を食い荒らすかのような感覚。

 あまりの苦痛に立っていることがままならなくなり、視界が混濁していく。


 (何なのコレ……まさかさっきのカプセルが……)


 体に変化が起こる。

 そんな一言でまとめられるモノではなかった。

 説明足らずにも程がある、こんな症状が起こるのであれば始めから私はアレを飲まなかった。


 これまで生きてきた中で一番の苦痛だ。

 

 嗚咽を吐きながら、意識を保つ。

 全身が何かによって書き換えられている。

 遺伝子の構造そのものが隅々まで変わっていくかのような得体の知れない感覚だ。


 何かの記憶が自分の意識に入り込む。

 私の知らない膨大な記憶。

 恐らくアレは、あの女の記憶だ。


 ラウ、シラフ、シファ、クレシア、ルーシャ、シルビア、謎フードの女、そしてノエル。


 彼女から見てきた様々な存在との記憶。

 彼女の記憶が私の自我に入り込み、頭がオカシクなっていく……


 「ァァぁぁぁ!

 入って来るなぁぁぁ!!」


 自我が壊れていく。

 私が私でなくなる。


 私は……わたしは……、ワタシは……


 

 アルクノヴァとの話を済ませ、私は3階で交戦しているであろう二人の元へ向かっていた。

 私が一度忠告はしていたはずなので下手な行動は謹み、時間稼ぎに徹しているはずである。


 3階の入口に到着し、更にその奥へと足を踏み入れる。

 その瞬間、何かの違和感を感じた。

 踏み入れた瞬間ではなく、扉を開けたと同時に感じた大きな違和感。

 私のグリモワールが反応示したり示さずといった不安定な反応を示したのだ。

 敵が既に人工神器であるデウス・エクス・マキナを使用したのかあるいはそれ以外。

 以前、ローゼンと交戦した時とは明らかに違う反応。

 他の可能性として天人族リノエラが天臨を使用した場合を想定したがそれとも魔力の波長は一致しない。

 魔力の波長はどちらかと言えばシンに近似しているが、全く違うモノの魔力だ。


 向こうで何かが起こっているのは確かだろう。


 扉の向こう側に辿り着き、私は言葉を失った。

 片翼をもがれながらもリノエラは倒れ伏しながらも敵の存在へと剣を構えている。

 そして、敵であるアクリの姿は事前に得ていた情報の容姿とは明らかに異なっていた。

 薄焦げ茶色の髪の毛だと聞いていたが、その色は明らかに藍色。

 そしてその髪はかなり長く伸びており、その姿はシンの面影すら感じていた。

 眼は蒼く光を放ち、今にも溢れるかのような莫大な魔力を放ち威圧感を与えてくる。

 そして、この空間の何処にも姿が見当たらないシンの存在を私は目で追っていた。


 「遅いですよ、ラウ。

 あなたがもっと早くに来ていれば……」


 リノエラ敵に向かう最中に倒れ、私は彼女の元に向かう。

 瀕死の彼女を抱きかかえ私は彼女に話しかけた。

 

 「余計な手出しをしていたようだな。

 奴が例のホムンクルスで間違いないか?」


 「ええ、貴方の従者の力を取り込んであの姿に」


 「取り込んだだと……、シンは今何処に?」


 私がそう尋ねると、彼女は何処か遠くの方を指差す。

 そこにあったのは首の無い女性の遺体。

 そして頭蓋を砕かれ無残に散った藍色の髪を伸ばした女性の頭。

 原型を無くしたソレを彼女は指差し、私はその意味をようやく悟った。


 「既に遅かったか……」


 「すみません、私の力が及ばず……っ。」


 そう言い残し、リノエラは意識を失った。

 彼女から告げられたあまりの事実に私は呆然とするがすぐに思考を切り替える。

 先程からこちらを見るアクリの方へと視線を向けて対峙した。


 「随分とお優しいんですね。

 敵に情けをかけるとは流石ですよ」


 「お前がアクリ・ノワールか」


 「ええ、直接お会いするのは初めてですね」


 「シンを殺したのはお前か?」


 「はい、私が殺しましたよラウ様☆」

 

 シンと似た容姿で彼女の呼び方をされた事には僅かに苛立つ。


 「……、その呼び方は勘に障る」


 「そうですかねぇ?

 今の私は彼女の記憶も幾らか共有していますから仕方ありませんよ。

 帝国崩壊から彼女がノエルと共に歩んだ日々、貴方が生まれ、そしてシファ達と出会った事。

 学院で彼女がローゼンと戦った事。

 先輩の襲撃時に、シラフ・ラーニルと共闘した事。

 そして、貴方が彼女の末期症状に気付いてしまった事もね。

 ルーシャ王女が資料を勝手に持ち出した事は、彼女は知ってたんです。

 それでも、彼女は敢えて貴方には何も言わず今回の作戦参加を志願していた。

 全ては私という第四世代へとグリモワールを託す為に」


 「それがなんだと言うんだ?」


 「私、貴方が嫌いです☆

 何も知らずにのうのうと生きて、問題になった途端に顔色を変えるように彼女に対しての心配をしてきた。

 学院に訪れるまで、貴方は彼女に対してそこまでの反応を示さなかったというのに……。

 本当、今更過ぎますよねぇ……。

 貴方が彼女にしてきた事、私は許せませんよ☆

 同じホムンクルスとして、貴方の存在がとても憎い。

 自分勝手に動いておいて、本当に身勝手な人。

 マスターから色々と言われたのでしょうけど、私は貴方の命令に従うつもりはありませーん☆

 残念でしたーー☆」

  

 何処か軽く薄っぺらい言葉でこちらを煽る様子の彼女。

 しかし、何かの違和感を感じた。

 彼女から溢れる魔力が不安定である事だ。

 本来ならば魔力の波は一定の周期を示すがそれがあまりに不安定で揺らいでいる。

 精神の乱れ、それ以上に体に大きく加わったグリモワールの負荷に対して耐えきれていないのだと推測出来る。

 しかし、放つ言葉は本音であろう。

 自分がシンに対してほぼ無関心であった事に否定は出来ない。

 彼女の存在を無下に扱ってたのは紛れもない事実。

 しかし同時に私は怒りという感情を覚えた。


 命令を無視し積極的な交戦をした二人に対して、

 シンを殺した目の前の彼女に対して、

 シンを見殺しにした自分自身に対しての怒り


 「自分勝手か……。

 だがそれでも私はやると決めた事だ。

 お前達のマスターから託されたからな、残りのホムンクルスの可能な限りの生存を約束すると……」


 「面白い冗談ですね☆

 私達の生存ですか、これから死ぬのは貴方達です☆

 よくもそう都合のいい言葉が出てきますね☆」


 「お前が私よりも強いとでも?」


 「ええ、今の私は貴方よりも強いですよ☆

 だから負けません。

 貴方がどれだけ抵抗しようとも絶対に私には勝てない」


 「勝手に決められるのは心外だな」


 「私に勝てるとでも?」

 

 「当然だ。

 貴様程度に勝たなければ今の私に存在意義はない」

  

 「面白いですね、まぁいいです☆

 それじゃあ望み通り殺してあげますよ、ラウ様☆」


 言葉を交わす必要はない。

 今の私が成すべき事は決まっている。

 敵は恐らくグリモワール・デコイの力を制御出来ていない。

 放っておけば自我が崩壊し続け、彼女は命を落とす。

 私のやるべき事は、彼女の体内からグリモワールを摘出する事。

 そうしなければ、目の前の女もまた死ぬ。

 

 その事象だけは避けなければならない。

 アルクノヴァとの約束。

 そして、シンと交わした約束を果たす為に


 どんな理由があれ、私は目の前の存在を救う。

 

 「グリモワール起動」

 「グリモワール・デコイ起動」


 私の詠唱と同時に向こうも詠唱を開始。

 全身に新たな魔力の流れが生まれ、お互いの上皮に光の模様が浮かび上がる。

 光の色は蒼、お互いに起こる光の色は全くの同色であった。


 「対象の観測を開始する」

 「対象の観測を開始します」


 お互いの武装及び魔力の総量、骨格及び筋肉量からの攻撃範囲の予測演算の準備を開始。

 お互いに動作は問題なく行われ、視界及び思考は戦闘に対して最適化されていく。


 「対象、グリモワール・デコイと認証」

 「対象、グリモワールと認証」


 「「対象の敵性を認証、及び危険と判断。

 攻撃開始の承認及び権限レベルの変更を申請」」


 「権限レベル5を承認」

 「権限レベルCを承認」


 元段階でレベル10までの内のレベル5、序盤の様子見程度ならこの程度で問題ない。

 向こうはレベルC、それぞれの階級はA、B、C、D、Eの5段階の内の3段階目。

 お互いに使用出来る能力及び観測能力は同程度という事になるだろうか。


 権限レベルの上昇承認が完了すると同時に、互いに武器を錬成していく。

 お互いに真紅の魔法陣が目の前に出現し武器が徐々に形造られ姿を現す。


 こちらが錬成したのは黒の拳銃が2丁、

 向こうが錬成したのは黒の短剣が2本。


 武器が同時に錬成を完了したと同時にソレを手に取りお互いが間合いを取る。

 

 「これより対象の殲滅を開始する」

 「これより対象の殲滅を開始します」

 

 それぞれの詠唱を終えると同時に体が動く。

 こちらが右に持つ拳銃から放たれる青い魔弾を敵はは容易く躱す。

 その行動と同時に左の拳銃から魔弾を射出。

 黄の光を放つソレも向こうは軌道読んでいるのか躱してみせた。


 瞬間、敵の攻撃がこちらの首元に目掛け双の短剣が迫り来る。

 寸前で後ろへ体を反り回避し、再び両手の拳銃から魔弾を射出、魔弾の光は赤と白。

 至近距離からの反撃に向こうは一瞬反応を遅れるも両目の蒼い光、「グリモワールの観測」によって体を捻るように回転させ再び躱してみせたのだ。

 魔術による防護をしなかったのは追撃を既に予測されているという事で間違いないだろう。


 こちらが撃った魔弾には通常の攻撃と同時に、特定の距離を移動した後に別の魔術が発動する仕掛けがある。

 向こうが躱したのは4発。

 その全てがこちらが事前に仕掛けた魔術の発動を控えているのだから。


 赤、白、青、黄が正方形に並び魔法陣が徐々に形を成していく。

 4つの魔弾は彼女がソレを目視で確認した時既に私が定めた魔法陣の形成を終えていた段階である。


  「っ、間に合わ……」


 彼女が魔術によって防壁を形成していくが、完全に形をなす前に私は決してその瞬間を逃さない。

 刹那、激しい光が視界を覆う。

 激しい衝撃に飲み込まれ、互いの姿は光に消えた。

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