帝国ガンナー
こんばんわ
ガンナー帝国は、エルフの郷から距離でいうと近い。
しかし、それは地図上で見ればの話してある。
数々の交通集団を遮断する山が連なっている。
その山の主成分が、ほぼ岩で構成されているため角度が鋭く、まさに断崖絶壁の山々が連なっている。
そんな、山々の中心部には都市が存在する。
一番の高さを誇る山の頂きにそびえる国は、初代当主ガンナー・セリオンの名を取って付けられたと言われていた。
「フフフ何を隠そう!実は俺の住みかだったのだ。中央の中腹に、ぽっかりと穴が見えるハズだ!そこが俺のマイハウスなんだぜ。」
只今。ガンナー帝国へ向かっている途中なのだが、何とも交通手段が皆無な為、しかたなくアキとオババと一緒に空中散歩魔法と洒落込んでいる。
空中散歩魔法の名称を【ダークウイング】とは、相手の背に翼を生やし自力で風を予測して空を飛ぼうとする魔法。
この魔法、最初の飛ぶのがキモとなっている。
「アキ!もっと風を読め。そうしないとオババの様に飛べないぞ!?……びびってんのか。」
(そうでなくとも、デストルネードからのジャンプを俺が押してやった意味がなかろうが。)
「私は、生まれた時から自力で飛ぶなんて非科学的な事はしないの!それに、体力でどうこうするとか一番非効率って分からないの?」
「じゃあ、お前だけ歩いて山民族に手伝って貰って登ったらどうだ?
まあ、そっちの方が体力は使うと思うが?」
「それは無い!山民族は時代の背景に馴染めず消滅して行ったわ。」
風を中々とらえる事が難しいのか、下にアキを見つつアキの説明をにわかに信じ込まない俺がいた。
次第に進むにつれて岩山の乾いた大地へと差し掛かった時である。
「な!?……」
かつての岩山の頂きはもう存在しない。
存在するのは、途方もない鋭利で尖った要塞で見るものを驚かすがソレよりも大きな驚きが突如として出て来た。
轟音を撒き散らしながら飛ぶモノは、天を突き破るかの如く飛んで行く。
そのモノが飛んで行ったあとには、白煙が風に潰されずにモクモクと質量が有るみたいに存在している。
おもわず!言葉が出てしまう。
「あいつらが宇宙へいくのか!?」
(そんなにも進歩していたのか!?)
「今は殆どの星が、生命体が住んでいて宇宙全体で言えば人口は数百兆を越える……」
開いた口が塞がらなかったが、直ぐにその異変に気付いた。
何故俺が、わざわざ体力を使わせる様な魔法を推薦したのか?何故もっと楽で早い魔法が有るにも関わらずダークウイングという魔法をやったのか!?
それは、今現在に起きても良い状態なのだが全く存在すらしない生物……すなわち鳥である。
「石つばめが飛んで無い……」
【石燕】
とても厳しい環境で巣を作る為、空を飛んでいるのは石つぱめのみで、他と鳥は生息していない。
なので、空を飛んでいると仲間と思い一緒に飛べてとても楽しいとダークは思っている。
因みに石燕は、ガンナー山にしか生息していない。
どんどんと帝国が近付くにつれて、石燕が飛んで居ないと理由が目に見えた時……全てを理解した。
そう!中腹にあった帝国の城が、すっぽりと山を覆う感じと成っていた。
ギラギラと太陽に反射するその城は、まるで無機物の要塞で難攻不落という文字に合うだろう。
口が開いたままの俺を気にし、オババが滑空して近付いて来た。
「今はもう、昔の頃の事は出来なく成っている。
それは、エルフの郷でも見て分かったように、木ノ上で住んで居ないというのも驚いただろう?
なにより、エルフの代表と言うべき魔法や弓は一切と見てないだろう?
皆……変わったんだよ。」
神が言っていたのはコノ事だったのか!?
ああ、三千年という月日は長いものだったのか。
「占って貰っているからオババには楽しい事を体験して貰おうと思ったのに……こんなハズじゃ無かったんだ。
こんなハズじゃ無かった。」
……悔やんでも悔やみ切れないのか、知らないうちに口が動いて一緒に付き合ってくれたオババ達に謝罪していた。
「いや!この体験は十分に楽しい。
科学的な機械では無く、自力で風をつかみ・体に受けて急下降や急上昇は機械には出来ぬよ。
十二分に楽しかったぞクロ。」
「そんなぁ。喜んでくれて良かったよ。
……?なにか飛んで来るな??」
「ソコの未確認飛行物体につぐ!直ちに帝国空域から離脱しなさい!それより近付く場合は追撃する!……繰り返す!」
一瞬にして和やかな大空の散歩も、帝国の城の全体図が見えて来た所で帝国から出撃してきたモノにやかましく言われた。
オババの冷静な判断……俺の手を下に引っ張る行動で『地に降りよう』と言っているのが理解した。
もう、ココは帝国ガンナーの下町。
後ろには、そびえ立つ高く鋭利な山の面影があるが、全て帝国の城で覆いかぶさった岩山が幻影に映り、又も少し俺は悔やんでしまったのは言うまでもない。
明日もよろしくです