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監査さんのタメに!  作者: ふ~ん
2/17

風を浴びてエネルギーをチャージ

こんばんは

 『どこだったか?』そうやって言葉を出して思い出しているとポヤヤーンと思い出してきた。


「思い出したぞ!たしか奴等は大森林に住んでいたはず。

 たしか……ココよりずっと東へ行き、山を二つ越え川を三つ跨ぎ海を越えて再度山を越えた先にあったと思うな。」


 我ながら完璧に脳内に焼き付いている。

 それは、三千年前とほぼ同等の映像が俺の脳内を駆け巡った事により確信へと変わっていく。


 だがしかし!ソレに意見が有ったようだ。


「……違う」


 そう!占い師の婆さんである。

 だが!俺は下がることは無いだろう。だって三千年以上も生きた竜なのだ……間違っているはずが無かろう。


「いや!正解しているハズだ。」


「コレ、見ろ。

 ホラ、ココより西へ海を越えると大森林のエルフの郷だ。」


 棒状の占い道具を出して、世界地図をチョイチョイと指し示す所はマジで【エルフの郷】だった。

 にわかに信じられない俺は『ちょっと貸して』と世界地図をマジマジと見る。

 そして、確かめて発覚するや否や『ハワワワ』とたじろく俺を見るなりオババは笑みを見せた。


「西が近い」


「……ふん!俺が本気出したら東からの方が早いんだよ!」


「じゃあ、本気出したら西の方がもっと近い」


 そうだろうな。

 いくら三千年以上生きた俺でも、今の世界がどんな事になっているのか分からない。だから現状は、オババに負けを認めるなんて事はせずに、先の事を見据えて話し出した。


「ところで……」


「西」


「……次の監査さんが来られる日程は、いつなのかな?」


「西」


 こいつは、年寄り特有の頑固者か!?

 そう思った矢先、オババが懐に手を入れて一枚の大きな紙を出して俺に提示してきた。


 『ん?』と渡された紙を手に持ち読んでみる。


【大占い師のオババの約束】

 基本、占い師は只では占いはしない。しかし、勝手ではあるが命を助けた事に一つの貸しが発生すると、発言者の願いを受け止め勝手に占いをします。

 勝手に占いをしたことで、本人が求める答えは聞きたい時は聞けない時があるので御了承ください。


(成る程。あの時、助けた対価が[エルフの郷]という支払いという名の占いなのか。)


 では、もっと大きい代償ならばソレにあった占いが反って来るというわけだな。


「婆さんが言った西へ向かう。そのためにはココから出ないといけない……だから、オババも一緒に出るかい?」


 声は出さずともわかっているさ。婆さんは笑みを出し『折れたな』とボソッと言った。

 いや!声は出さずとも婆さんの笑顔は俺には伝わっているって、心の奥底から言い聞かせた。


「よし!行くぞ!!くらえぃ……」


「あー!!?」


「!?」


「見ーちゃった見ーちゃった!こんな城底で爆発を起こすドラゴン見ーちゃった!

 これは、早くに魔王様に報告しなきゃね。」


 『キャハハ』と笑うヤツは、邪魔なので消えて頂こう。

 さっきまで手に力を込め、黒いボールのエネルギーを彼女もろとも打ち放とうとした時!


「待て……コイツは監査絡みで重要」


 オババが勝手に占いをして、俺に『監査』という重要な言葉を残す。


 なので


「はじめまして!私は自称天才科学者のアキってぇの!……コウ見えて、プリプリの若い乙女だけどよろしくね!

 それと、プリプリだからって手を出したらダメよ」


「それは無い」


 キッパリと言ってやる。

 その後も彼女は『嘘よ!嘘嘘』とプリプリな乙女をアピールしているのだが、俺の隣の婆さん発言で彼女の喋りは一旦止まる。


 占い師の『……無い』という言葉で一旦止まったものの、かなりの強いハートの持ち主なのかその後も話しは続く。

 話しの内容は、なぜ私がココに来たか?である。


「やっぱり私の計算が間違って無かったわ。オリオン計算によると『地下に新たな発見が!』と、導き出したのよ!まさに大正解だったわ。

 いやーまさか、魔王様に『占い師の言葉を間違って受け取って無いッスか?……というか、生き物はいつかは死にますよ』って言ったら私もゴミ箱行きだった事にマジでラッキーだったわ。」


 こんな感じで『よろしくね』と言って来た。

 今は、ドラゴン姿じゃ目立つと言われ人間の姿に変化して、占い師オババを背に背負って隣で自称天才科学者アキのマシンガントークにアキアキしている。


 あれ?本気で行ったら直ぐなんじ無いの!?と思うだろう。

 それには、色々と理由があり、話し合いにも発展した。


……

「じゃあ!壁を破壊したら、本気で飛ばして行こうぜ!」


「ちょっと待った!そのナリで飛んで行くのは反対だな。

 そのナリは目立ち過ぎる。人の姿に成れるのなら、人の姿で私達を運んでくれたまえ。」


「え?……なんで人の姿なの??」


「聞いていたかい?君の姿は目立ち過ぎるんだよ。理由は君の姿さ!……黒の竜なんて見たことが無い!」


 そんなこと言ったって、俺だってポリシーがあるんだい!


「俺はな……体に風を浴びて空を飛ぶのが絶対的なポリシーなんだよ!」


「全くもって不効率極まりないよ!そんな大きな体で飛べば風の抵抗だって巨大なハズだ。」


「風の抵抗こそ、俺に新たなエネルギーをもたらすんだよ!

 風が強ければ強い程に、俺の飛ぶ力は増していくのさ!」


 『嘘つけ』と呆れ顔に対し、真面目に俺は叫ぶ声は天才様には届かない。

 結局、今はどれぐらい早く飛ぶかで討論している。


「だから!こうビュンって速さで飛ぶんだよ!」


「その手の速さだと、時速八十二キロ程だが?因みに帝国の最速飛空挺は時速三百は出るぞ。」


 話しをすればするほどに、人との関わりを拒んで来ただけあってバカな発言を繰り出す一匹の黒竜を見てニヤリと笑う人物はただひとり!


(成る程、これが神に最も近いと言われたエンシェントドラゴンの原色種達の中の一種……ダークドラゴンか。

 コイツはバカだけど面白さ満載ね。それに、彼は三千年もの間寝ていたと言うけど、世界が急に発展し出したのも約三千年前なのよね)

「ハイハイ早いのは分かったけど、そんなに早いと私達が乗ると火傷しちゃうんじゃない?

 私が乗らないとしても、御婆さんが乗らない訳にもいかないでしょ?」


……

 というのが有り、御婆さんを背負いなるべく早く動いている所だ。

明日は休みます。ご愛読ありがとうございました。

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