交えない道
こんばんは。遅くなりすいません
「第一世代というのは、私が【神に願いを】を使用して作り出された、言わば新世代なの。
私達って最初役割分担されていたでしょ?私は【愛と無の粋竜】は、主に生物を育んだ上でどう成長するかは何があっても見守って行く管轄。原色は白の白竜。
そんな私が【神に願いを】するのなら、当然生物を新たに作って行く……育て行く能力と基盤が必要だったの。
だから、願ったのは各惑星の生命と私達原色竜の力を掛け合わせて、各惑星の生物を次々と進化していったのよ。
そうやって基盤を固めて行くうちに『もっと強く才能溢れる最高の進化を!』という意見があったの。
最初は強力過ぎる子供が生まれて来ると思って反対していたんだけど、赤竜が【星に願いを】を発動してから、その考えが無くなったの。
そして、他の原色竜とも掛け合わせて作られたのが【第一世代】なの。」
「で?だから、何で俺が第一世代なんだ?」
「第一世代は全員、髪や目の色が黒なの。
アナタが今恋焦がれているモモコも第一世代で、私とアカラの間に生まれた娘なの。」
序盤はフンフンと頷いていたのだが『私とアカラの子』と聞いてから目をヒクヒクとして一歩後退と言った感じ。
「ねぇ?モモコは私の娘だけど、別にお腹を痛めて産んだとかじゃ無いからね。」
なに勘違いしてんだコラ!?という感じのオーラを放ちながら顔は笑顔のシエルさん。
「生命の神秘とは、膣に精子を注ぐ事で新しい命が芽生えるんだぜ。」
「そんな事位知ってます!!」
「じゃあ何か?昔の絵本とかで、どっからともなく大きな栗が流れて来て、拾ってきたヤングマンがチョップで割るとオギャー!って……」
『そんな昔の絵本覚えてません!!』と包丁もって、俺の机に叩いて来よった事で絵本の話は途中で中断される。
尚もシエルは言う
「私はアカラと交わっていません!それは、第一世代のモモコとその他の二人が証明してくれるでしょう!」
「え!?お前、アオンともヤったのか……そういう趣味があったのか。」
「イヤだから!一切!全く全然!交わってないし、お腹が大きくなって無いから!」
俺は深いタメ息をついた。そして、ゆっくりと話し出す。
「あのな、受け皿にオタマジャクシを億位と流さないと生命は生まれないだぞ!」
「知ってるって!!」
シエルは話が周回したことに苛立ってはいるが『イヤ待て……約五千年もの姿を消していたから知らないか』というのに行き着く。
ゆっくりとそして、俺にも分かる様に説明しだした。
「私の【神に願いを】を聞いた?聞いたよね?
他の惑星の生命と掛け合わせて……って言ったよね?それは、生物の遺伝子と私の遺伝子を掛け合わせて作ったの。」
遺伝子と聞いて少し真顔と成ったが、ソレには気付かないシエルは更に話しが続く。
「……で、それを踏まえてアカラとアオン、そしてリョクの遺伝子と私の遺伝子を組み合わせて作られたのがモモコ達なの。
……分かった?」
「了解でーす。
早く御飯食べたいでーす。」
プルプルと怒り浸透となっているシエルが、圧し殺すように我慢している姿を見て俺の中でタメ息が出てしまった。
五千年という月日は、人を変えてしまうのか?
「で?……俺の遺伝子が欲しいから、そんなにも怒りを我慢して、更には俺をフッたことを取り返したい!って思ってんのか?」
なんだろうか。五千年前、フラレた理由は『私が白竜、でもアナタは黒竜……絶対交じることなんて許されないわ!』って言っていたのに
五千年という月日は想いさえも変えてしまうのか!?
それとも……この五千年という年月で彼女の何かが変わってしまったんだろうか?と悩む俺に、更に追い討ちが打ち込まれる。
「第一世代は全て娘なの。
だけど私の愛と無の粋竜が、もしかしたら色濃いというだけで女という選択肢しか選べないのなら、アナタの再生と破壊の暴竜はアナタが強いと思うの……だから」
「だから……こんなにも優しくしてくれて、初めて俺と手を掴み取ったあの喜びは、全て俺の遺伝子のために!俺の為に、娘さえも餌にしていたんだな!?
そうだな!?」
いつの間にか星全体が揺れている。
ダークは怒っていた。
俺の初恋の人は、もう初恋でも何でも無いと言うことを知ってしまった。
いや、それよりも!時は心を腐らせてしまうのかというヤツだ。
シエルは、ダークの揺らめきも気付かず星の揺れさえも気付かない位に、生命の神秘?イヤ!新生命体の進歩・進化について強く語っていたことが仇となってしまう。
『お前なんか大嫌いだ!』と言って、おもいっきりドアを蹴破る。
ドアもそうだが、ドアから続く壁を全て破壊する……それくらい強い衝撃そして怒りだった。
時は少し遡り
(シエル母様……いつまでも私が母役は少しキツイです。
ああ、早く帰って来てぇ。いくら髪と目の色を変えたからって、そうそう左大臣や右大臣を騙し続ける事なぞ!)
「真白様、今日はもう御疲れの様子……無理もありません。」
「……まあ。」
「あのような輩の相手なぞするものでは有りませんから……では、お疲れ様様です……気を付けて下さい。」
「……はい。皆さん、お疲れ様でした。」
明日もよろしく