絶滅したクジラの再生
こんばんは
開けた宇宙空間は、宇宙ステーションがあった場所では無いみたいだ。
だが普通の宇宙空間には、塵など湧いて有るほどに漂っている。
しかしココには、ゴミの塵すらも見当たらないという事で、ココはかつての宇宙ステーションの場所だと暫定的に理解出来る。
一通り見渡したあとで、手の甲と甲をパチパチと叩いてヤツを出現させる。
コレは、俺が勝手に再生・転生という行いをすると向こうで手違いが起こってしまいパニックになるそうな。
だから、わざわざ確認してもらい『○○が転生』というのを本部で引き継いで貰う為に呼び出したんだ。
「あー、愛しのポニー太!」
「丁寧に磨いた体に飛び付くとは!不届き千万!!手を洗って出直してもらおうか。」
『じゃ帰ります』と言い『おいでポニー太』と呼ぶのだが全く動こうとしなかった。
そこでハッ!と何かに気付いた様で俺を睨む。
「僕の大事なポニー太に何をしたぁぁぁ!!」
「何もして無いと言うのは、嘘になるかも知れない……いや何、その子が馬の鳴き声で話してくれるもんだから進化してやったんだ。
あとついでに言うと、お前はオスとしてのイメージで作った……ということは、馬はメスということとなる。
ポニー太と言うのか?仕事パートナーの所へ行きなさい。」
「私の名前はポニー太ではありません!
ダーク様!彼は一人で帰って貰うよう言って下さい!天馬である私が一人で、初のダーク様の仕事の引き継ぎをやらして下さい!
そうすれば、仕事効率は二倍となるでしょう」
「それ良いな!ナイスだ。」
横には、天馬から女性へと変化した天使が立っていた。
女天使の言うことは全く正しく的を得ていると思われる為『よし!お前帰れ』と言って消えて頂いた。
「ところで、この世に何を生き返えさせるのでしょうか?」
よくぞ聞いてくれた!それは出してからのお楽しみだ!と言わんばかりに、さっさと目の前に出した。
「ほー。宇宙クジラでしたか。」
「お前は知らないから教えてやるぞ。
宇宙クジラは、宇宙のゴミを食べて宇宙をキレイにしてくれるだけで無く、排泄物は栄養の宝庫!その栄養は、新しい星を作る上で重要となってくるのだ!」
『更に!』と言ったそばで、『この一匹……』という言葉を聞いてダークは気付いたようだ。
「そうだった!メスを作るのを忘れてた。
あと、宇宙クジラはオス一匹をリーダーとし多くのメスを引き連れるもんだ。」
「はい。
でも一匹目のクジラ、大き過ぎませんか?」
目の前には、崩壊した宇宙ステーション程の大きなクジラさん。
「……例え大き過ぎたとしても、コイツは頭が良いからな。
もう一度言うが、宇宙の塵やゴミを食べるんだ。宇宙にとって良い生物だろ!?」
『ですが……大き過ぎると、基準となる塵は……』という言葉を聞いて『仕事ご苦労様です』と言って帰らせた。
今はもう、宇宙クジラに頭の上に乗ってオババの反応を追っている。
数々の船を横切ったろうか、数々の宇宙警察の包囲網を突破したろうか。
「ソレほどに、このオババの無事を確めたかったと言いたいのだな?」
既にゼントファブリ星へと勝手に侵入して、秘密裏でオババに会いに来ていた。
時を同じく
「未確認の物質が星へ接近!……打ち落とします。
……打ち落としました。
残骸!記念公園に落ちます。直ぐに回収班を!」
「いえ。私が取りに行きます。」
通信機や色々な機械がある中で、いつもは機械音しか聞こえないところで、『行く』と言った彼女を引き止める叫び声がこだましていた。
……
ゼントファブリ星は懐かしい。
オババは昔と同じ場所にいた。
その場所とは、昔懐かしく思うあの噴水や緑の草原、生い茂る木々と別々にならない歩道……つまり公園。
「オヌシはいつも私の占いを外してくれるのぉ。
して、監査殿に会いにきたのか?」
無言でオババの顔を見つめ『そうでは無い』ような雰囲気を出す。
タメ息を深く付いたあと、ゆっくりと口を開ける。
「ここは、俺の嫌いな場所なんだ……だからモモコさんがこの星を出て行ったら気持ちを伝えようと思ってる。」
「そんなに嫌いですか?」
音も無く、スッと現れたのは
「シエル……かわらないな。」
ダークの初恋のひとだった。
「アナタは変わりましたね。」
(昔だったら、顔を見ずに逃げてたでしょうから……)
これには神様から頂いたスキル【大好きな女性耐性(小)】が、苦しくも効果を発揮していた。
明日もよろしく