動物は好き
こんばんは
監査様が座っている周辺では、何やら騒がしいのがわかる。
そりゃそうだろう、天文学的な数値の現象が連チャンで起きたんだから、この船には悪霊が取り付いているのでは無いだろうかと考えたりするのだろう。
かと言って船全体がそうか?と言われればそうでは無いといえる。
おそらく、船全体となるとパニックとなり安全運転どころでは無いハズだ。
「前、騒がしいな。」
「フゥ。小異空間が連続で発生すればパニックに陥るのは確定だからな。
まあ、金持ちや上司の筋肉野郎達なら上位のパワードスーツを着用しているだろうから、さほど慌てはしないだろうな。
……慌てるのは、パイロットや後方の伝達係などの下っぱだろう。」
アキの類い稀なる良い説明で、だいたいの全体図が理解したところ。
「で、オババ?これから俺は監査さんの警備役として付いて行くけど、オババ達はどうするの?」
なんてこと無い、特に何を狙ったワケでもないのだが『ステーションを着いたら襲われる……』と突然、オババからの占いを聞かされた。
調子に乗った俺は『直ぐに片付けてやるぜ!』と意気込むも、オババから待ったの声がかかる。
なにやら、オババには良いさんだんが用意されているかのように淡々と説明されて行き、俺はオババ言うことを守る事で『次のステップへと駒を進めれる』と言い聞かされた。
(襲われるのか……とりあえずは無抵抗で連行され、牢へと入れられるんだな!
そして俺とオババ達が、ババーン!と一気に解決する事で俺達の株が上がるというわけか。)
そして
「オイ!ステーションへ着くぞ!整列しろ!!」
『了解であります』と俺を含む警備員が一斉に出入口と後方へ固る。
準備万端な状態となり、プシューとドアが開かれたその時!
「大国のご息女、モモコ様ですね?
おっと!動いたら……こいつでズドンだ。」
(あ。コレね。)
何人かは正確には分からなかったが、とりあえずは六人が急ぎ足で船内に駆け込んで来た。
その他の人達は驚き、そして警備の人達は『しまったぁ!』と嘆いている。
俺はというと、別に驚きはしない!何故ならばオババの占い道理なのだからな!
既にリーダー格の奴が、俺の憧れの彼女をグワシッ!と抱きついて笑っいる。
意外にも俺は冷静に見守っていた。
何故ならば、オババの占いではモモコさんは死なないというのは既に調べてもらったからな。
冷静に見守っていたからか、他の動きがよくわかるのは理解出来るだろうか?そう!筋肉バカが横に摺り足をして移動しているのを見逃さなかった。
筋肉上司は、『たぁっ!』という繰り出された手刀は、誰かの早押しクイズのボタン押しより遅い。
残念な事に、ムチムチな筋肉が邪魔で強そうな筋肉上司の手刀は無残にも回避されてしまう。
「ダメだったなぁ。このXOジャンマグナムの餌食にしてくれるわ。」
突然!ギャオゥンと砲口が鳴った!
打ち終わったXOジャンマグナムを見上げ『今日もナイスなズドンだぜ』と惚れ惚れしている姿は、なんかバカみたいに見える。
上司を気使って『大丈夫ですか!?』と駆け寄る者もあり、誰もが動きを止めて誰もが息を潜むといった様子である。
「大丈夫だ。筋肉が壁となり急所を逸れたようだ。ゴホッ!」
「オラオラ!この監査様に穴が空くぜ!」
そう言って、銃口をモモコさんの腹辺りにグリグリと押し付けたその時!!俺はゆっくりと歩を進めていた。
発射されてから間も無い銃口は熱いのか、赤く染まっているのが理解出来るし、モモコ様の『クッ!』という我慢される顔を見るとザワザワとし、ゆっくりと近付いてしまう。
そして
「オイ!生命の神秘とも言える子宮に、ナニをグリグリと熱いモノを押し付けてんだコラァ!!」
俺は怒鳴り!相手にファイティングポーズをとった。
それは、動物の格好を真似、鶴の構えを取ったんだ!
「誰だお前はぁぁぁ!?」
プルプルとXOジャンマグナムを俺に向けて、怖がっていらっしゃる名も知らない悪人。
こんなにもビビるのには理由が幾つかある。
まず一目、モモコさんに警備の人とバレない様に身長を四メートルへと変貌し体重をそのままにしてガリガリを強調させた。
二つ目、更にバレたらイケナイと感じたので左腕を顔の前へと持って来て目を隠した。
三つ目、右手は鶴の求愛の様にイキイキとしてやった。
「ギャオゥン!」
俺は打たれた……といっても全然大丈夫。
そんなことより、俺の頭の中では断片的に思い出されたのは、『無抵抗で!』というオババの教えてだけが色濃く思い出させた。
たからか、打たれ後ゆっくりと折れ込み地面に伏した。
地の匂いを嗅いでいる途中で、再びゆっくりと思い出して来た!
(あ!!……寝てても、牢へ行かないと意味無いじゃん!)
耳を済ませば誰の姿も居なかった。
とりあえず……
起きたら元の人サイズに戻ってから、モモコさんの席を座ってリクライニングを堪能。
そのあと、背もたれを全開まで倒して反対に寝転がる!……こうすると、少しだけどモモコさんの暖かさが感じられた。
まあ、ぶっちゃけ俺のリクライニングした時の暖かさだけどな。
(よし!次は床ぁ!
床から見上げる監査さんの想像も、なんか燃えてくるな。……ん?)
これは、一体?俺と同じ発想の持ち主が存在したとは!?
俺は、床をクルクルクルと回って奴の元へと寄って見た。
目をパッチリと開け、今にも下に落ちたスロットメダルを探しているかのようで筋肉部分が多いオジサンが冷たく横たわっていた。
それもそうだろう……あんなにも風穴を空けられたら急所外しても死に至ることは知っていた。
(死ぬ最後は見て無いが……)
せめてもの上司の償いとして、俺は口笛を吹きアル奴を呼んだ。
アル奴とは、死者を乗せて運ぶ奴である。
が!?……来ない。
誰も居ない船内をキョロキョロと探していると、何処からともなく『コンコン』と音がする。
どこだろうかと見つけたのは、座席の外の景色が見える小窓だった。
「何してんだよ?」
小窓の向こう側には、フードを被った死者を送る人である。
「私の仕事上、船は船に入らないのが主義でして……その死体をコチラまで運んで下さい。
お願いします。」
「……しょうがないな。
……ほら、よ。」
「……他の方達はどちらへ?」
「多分、あそこらへんじゃ無いかな?生命反応が強いからアソコだろ。」
「ボス?……ちょっといいですか?」
「何?」
「いつになったら、再生と破壊を繰り返すんで?」
「今、色々と見て体験し目利きしているんだよ!何を再生し何を破壊するかな。
お前こそ、俺が殺した奴じゃなくとも御前達の仕事は沢山あるだろ?」
「……まあ。」
「……ふふん!俺は天才だろう。
よくもまあ、死者にも行き場を与えようって気付いたもんだ。
更にまだ呼んだこと無いけど、天馬も呼び出して無いんだぜ!って言っても、天馬呼び出しても特にする事無いからなぁ……あと、面倒だし。」
(自分で作っといて、めんどくさいからな。)
上司死体を乗せ、キィキィと漕ぎ出した奴に手を振ってお別れする。
別れ間際に『コレは良かったのでしょうか?』という質問があったので『さあ?知らない。でも、なんか雰囲気ダメな感じがするな?』という疑問を疑問で返した時点で爆発した。
「おお!?爆発したな。」
「冷静ッスね。……まあ、こっちの死体は焼き骨に成りましたがね。」
「なんで、爆発したんだろか?
同じ船の形式に、半分を吹き飛ばして死体を楽々に運べたのにな。」
「あんな爆発でも、死者は無しでしたよ。」
まあ、なんにせよ……またね……と手を振ってサヨナラした。
……
時は少し遡り、ある牢での出来事。
「もしや!あなたは青天星大予言者、オオババ様では!?
それに……そちらの方は緑桜花星で最短で天才の名を欲しいままにした、アキュラ様では?!」
そう言ったとたん、モモコの口が塞がれた。
何も言えないモモコが、両者をキョロキョロする目玉の動きを見て先にアキが笑みがこぼれ次いでオババも笑い出した。
「何を笑っ……」
「まあまあ……落ち着きなされ。」
『大声は死を急ぐぞ?』と声をかけてモモコは黙る。
シーと静かにするよう声をかけるのはオババ……これには理由があった。
牢にはオババとアキとモモコのみで、その他は全て寝返ったか元からの主犯核等である。
その数、ざっと三十!
オババの静かにするように仕向けたのには理由があった。
それはやはりと言うべきか、牢には牢前をウロウロする二人がウロ付いていた。
「ワシの占いを言うから聞いてくれ……今から爆発が起こる。
そのあと、毒ガスがまかれる。……だから、お主の聖なる無の力でワシ等を助けてくれんか?」
「爆発!?わぁぁ!!」
直ぐに、ダークが船を半壊させた爆発の振動と余波が来た。
「な!?……」
「大変だぞ!俺達の船が何者かに爆破されたぞ」
サイレンが鳴り響く『安全なる消化を開始します』という警報が鳴り響いた。
更に『不審な船の確認!不審な船の確認!』というアラームも鳴り響いたことにより、一層牢の前にいた人達が慌てていた。
「こんなの聞いてねぇよ!娘と人質で大金持ちじゃ無かったのか!?
……俺は降りるからな!」
「そりゃ、大変だ。だったら、ズドンにまかしとけよぉ」
降りると言った奴は、『ギャオゥン』が聞こえた時には腹に風穴が出来ていた。
俺のターン……フードを見送った矢先、後ろに何かイルと分かったので振り返ると、何も居なかった。
特に何も居ないので、俺はテクテクと歩き出す。
「ちょっと待ってぇぇぇ!!ボス待ってよぉぉ」
「ああ、転生組の天使じゃないか。
言っておくけど、俺は呼び出してないぞ……帰れ。」
振り返ると天馬に乗り、羽が付いているほぼ半裸がいた。
そう!今さっきまで、めんどくさいと言っていた部分だ。
「帰れ!!」
「えー。そんな怒らなくてもぉ。
せめて、呼び出し方変えませんか?……というか、覚えてますか?」
「忘れるわけ無いだろうが!
たしか、手の甲と甲で二回パチパチと叩くだろ?」
「それ、普通でもしないですよねぇ??」
「しないから良いんだろうが!」
「イヤでも!口笛とコレの差って……酷く無いっスか!?」
帰らない天馬は可愛いから、半裸の奴だけ下ろして何処かへ投げ飛ばす。
うるさい奴は何処かへ行った。
爆発は大した事は無いにしろ、次の大変な事と言えば騒がしいアラームだ。
今さっきから『消化!只今消化中!……有毒ガス発生!』とかって永遠と鳴っている。
「よし。これで大丈夫だ。」
「ブルルルン」
「そうか。そりゃ良かったなぁ」
天馬に高音と低音を遮断するバリアを張った。
更に付け加えて、毒ガスが来ても普通の空気へと変換するバリアだ。
「ヒヒン。……!!」
「ん?どうしたんだい?……これ?」
何やら床を蹄で蹴って何かをしたい様子だ。
俺は天馬が蹴っている蓋をパカッと開けて『これで、どうかな?』と天馬に訪ねると続けてこう言った。
「ブルルルン。ヒヒン。ヒヒヒヒヒン。ピーユルルル。!!……ブフン!ブフン!!」
「オッケー!了解だ!」
と言うわけで、物知りな天馬さんが排気口に何らかの攻撃しろ!伝えて来たので了解と伝えた。
感じたぜ!絶え間ない熱意が俺にビンビンと伝わって来たぁ!
そして大きく息を吸い、スキル【臭い息】を発動し排気口へと流した。
明日もよろしく