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祖母の退院
祖母が胃がんで入院して一年
手術は無事、成功した
手術が終わってからも少し入院生活は続いたが
ようやく家に帰れるぐらいに体調も良くなり
祖母の退院日がやって来る
その日、長男、春樹も次男、伸樹も椿樹も
祖母の帰りを今か今かと家の外で待っていた
家の前にタクシーが止まり祖父に手を引かれ
祖母がタクシーから降りてきた
そして笑顔で両手を広げ3人に「心配かけたね。おいで」と祖母が促すと
3人は泣きながら大好きな祖母の胸の中に飛び込んだ
祖母の鼓動が体温が生きている事を3人に証付ける
そんな孫3人を祖父は一人ずつ頭を撫でてなだめた
「おかえりなさい!!!」
「ただいま…」
ようやく幸せな生活が戻ってきたと3人はその時、思っただろう
だが祖母が病気になり子供だけの生活や今後の生活を案じたのか
親戚達が「子供達を児童養護施設に入れたらどうか」
という話を持ち掛けてくるのだった