悪魔
俺は屋上から空を見上げていた。
昨日の天気予報では、雪だったはずが空には雲1つない、キレイな青空が広がっていた。
ここに来て、五分くらいそうしていた。
しかし、ここに来た理由は空を見るためではなく、呼び出されたのだ。
いまだに誰も来ない屋上で、俺はため息をついた。そして、
「呼び出しておいて相手より遅いってどういうことだよ・・・」
とつぶやいた。
そのとき屋上への扉が開いた。
そして屋上に1人の女の子が入ってきた。
「椎名さん・・・」
ふと、俺は、彼女の名前をつぶやいた。
椎名空〈しいなそら〉
それが彼女の名前だ。
おそらく、この学校でその名を知らない人はいないだろう。容姿端麗、成績優秀のマンガや小説のヒロイン的存在。それが彼女だ。
当然男子からの人気が高く、入学して1ヶ月もたたずして、100人以上の生徒から告白され、全部断った伝説は、全校生徒全員が知っているだろう。
そんな彼女が、僕を呼び出した・・・まさか告白!?
いやいや、そんなわけないか。
でも、彼女顔が赤いような・・・
「如月君・・・」
椎名さんが俺の名前を呼んだ。
如月煌〈きさらぎきら〉
それが俺の名前だ。名前の理由は知らないが、意外と気に入っている。
「えっと・・・どうしたの?」
「今日って、如月君の誕生日でしょ・・・だから、おめでとうって言いたくて・・・それで、呼んだの・・・」
真っ赤になりながら言葉を紡ぐ椎名さん。
「そっか・・・ありがとね」
告白じゃなくてもうれしい。俺は笑顔になっていた。すると椎名さんは、さらに真っ赤になり、スカートを手で握りながら
「あと・・・それだけじゃなくて・・えっと・・・私、如月君のことが・・好きです・・・」
と言った。
3秒ほど思考が停止した。
キサラギクンノコトガスキデス
30秒かかってようやく言葉の意味を理解した。
えっと夢じゃないんだよな、現実なんだよなと考えほっぺたをつねってみた。
痛くなかった・・・・・
ジリリリリリィ、ジリリリリリィ、ジリリリリ
目覚ましがなった。
外はまだ暗く、朝にはなっていないようだ。
「夢かよ!!」
俺は大声を上げた。椎名さんとは、話したことないのにおかしいと思ったけど・・・この夢、正夢になんねぇかな・・・。
「つーか今何時だよ・・・」
いつもは、6時にセットしているのだが、外が暗すぎる。故障かな?と思い、携帯を開こうとした。その時どこからか声がした。
「12時2分だぞ」
状況を理解できなかった。俺の部屋は1人部屋だ。この部屋に俺以外誰もいないはず。
今のは空耳だろう。そう思い、携帯を開いて時刻を確認した。
12時2分だった。
「怖っ!」
そう言い俺は布団をかぶった。
すると、
「どうかしたのか?」
さっきと同じ声が聞こえた。
俺は布団から出て電気をつけ、あたりを見渡した。誰もいない・・・。ベッドの下や机の下など隠れられる場所を探したが、誰もいない。
「おかしいな・・・」
ベッドの上で腕を組みながらつぶやいた。
「何がおかしいんだ?」
その声がした方を見た。そしてそこには、7センチくらいの身長に青色の羽と角が生えた人?がいた。
「疲れてるんだな・・・」
そう言い俺はベッドに入ろうとした。
「まてまて寝るな」
「お前誰なんだよ!?」
目の錯覚ではなかった。
錯覚であってほしかったが・・・
「俺の名前はブルー・キラになるかな?よろしく如月煌君」
「よろしくじゃねぇよ!お前はいったい何者
なんだよ!?」
「俺か?俺はお前に憑いている悪魔だ」
何を言っているのか分からなかった。
「悪魔・・・だと・・。ふざけんなっ!悪魔なんているわけねぇだろ!」
「悪魔はいるんですよ。あなた方の心の中に。といってもあなた方は信じたりはしませんけどね」
当たり前だ。急に悪魔がいるなんて言われて信じられるわけがない。
「お前が悪魔である証拠は?」
「今はお見せできません。明日の夜にお見せ
できるでしょうがね。」
「明日の夜だと・・・?」
なぜ明日の夜にしか証拠を見せれないのだろう?その問いをする前に自称悪魔は
「ええ。では、また明日。よい1日をお過ごしください。そして、誕生日おめでとうございます。如月煌君」
こう言い悪魔は消えた。
これも夢であることを願い、ほっぺたをつねろうとしたとき、俺の目の前は真っ暗になった。