7.おかずはどうした?
「お疲れさまでした~」
この日の撮影も終わり、海岸線を鮮やかな夕日が染め上げていた。寒さに震えていたのは最初だけであり、魔法で防寒ができることを思い出してからは、まさに水を得た魚状態。
波打ち際という動きにくい場所でも、滑らかに剣を振るうことができたのは、きっと、義務教育で得た宝物だろう。
データを纏めるというカメラマンと別れ、私は着替えを済ませてからユートと合流をする。
「お疲れ。とりあえず、ご飯にする? お昼はおにぎりだけだったと思うけど」
「海で食べるおにぎりも美味しかったけど、貝の誘惑に抗うのは大変だったなぁ」
あまりにもドロップしない貝に腹を立てもしたが、最終的には様々な種類の貝をドロップしたため、収入以上に得るものがあったと思う。
その成果は、私一人で消費するのはとてもじゃないが勿体ない。アンミィと、サナティスと共に楽しむまで取っておこうか。
とくれば、別の貝を楽しむしかない。
私がユートに連れられてやってきたのは、海鮮が自慢だというレストランだった。
席に案内されて、メニューを一通り確認する。刺身からはじまり、焼き魚に煮魚。寿司や炊き込みご飯も様々な種類があって、今の季節には鍋を食べて温まるのもいいだろう。
「ユートさんは何食べる?」
「ビール」
食べられるもんなら食べてみろよ。
「冗談はさておき。オーソドックスに海鮮丼にしようかな。あとは、アジフライがお薦めらしい」
「へぇ。じゃあ、私も丼とかいきたいなぁ。……あ、いくら丼とかいいかも」
お昼に貰ったおにぎりの中身がいくらで、もう少し食べたいと思っていたんだよね。
でも、それだけだと少し味気ないと言うか、口の中がこってりしそうというか。なにか変化を味わいたいと思ってしまう。
「ハーフサイズもあるから、海鮮丼といくら丼のハーフ。なんて頼み方をできるね」
「あー、ハーフサイズってありがたい文化。えっと、ピザやサンドイッチもハーフサイズに出来るのか。……あ、みてみて。黒はんぺんのフライだって。珍しー」
「こうしたサイドメニューも、ハーフサイズに出来るみたいだね」
では、お寿司のハーフはどんなものだろう。
なんて疑問に思ったけれど、それは単に通常は二貫のところを一貫だけ、って感じらしい。
「ねぇ、ユートさん。この世にハーフサイズにできないものなんてあるのかな?」
「愛情」
とある魚の缶詰より臭い。
「じゃあ、ハーフサイズにしたらがっかりとしてしまう料理は?」
「鯛焼き」
……あぁ、頭側から食べたい私に、尻尾側半分を渡されてら、醜い争いになってしまう。
「あと、たこ焼き一粒」
……あぁ、醍醐味であるタコの行方によって、醜い争いが起きてしまう。
「ついでにホットケーキ」
せめてバターが溶けてから半分こに!
「てか、どうせなら魚関係に統一してよ」
「あ、やっぱりホットケーキは唐突だった?」
思えば鯛焼きがギリギリだよね。そう指摘したところで、メニュー選びに戻る。私が選んだラインナップはこれだ。
「いくら丼と、しらすとチーズのピザ、アサリのスパゲッティにアジフライサンド。全部ハーフで」
「おかずも食べなさい」
野菜って言わない優しさ。




