4.ターボコブラ
恥ずかしさに耐えながらも、なんとか家を手に入れることができた。
二階建ての和風建築で、庭園を造ればなんとも絵になる佇まいだと感じるその家は、まだまだスマートフォンの肥やしだろう。
だからこそ、私達には優先して獲得しなくてはならないものを認識させられた。それは――。
「さっむ。ねぇ、エアコン効いてなくない?」
「おかしいわね。暖房はエンジンの熱を利用するから、効かないはずはないんだけど」
「エアコンって、そんな単純なものとちゃうんやない?」
車に対して知識のない私達には、もはや新車を手に入れるしかなかったのである。修理に出すのも勿体ないし。
そうして、私の次の仕事の現場に向かいつつ、やってきたのは荒れ果てた大地。雰囲気漂う丸まった草が風に煽られ、目を塞ぎたくなるほど砂が舞っている。
「ここに車をドロップするモンスターがいるの?」
「そや。ターボコブラといって、でっかいコブラ。詳しくは知らんけど、SUVていういい車がドロップするんやて」
「スーパーウルトラバリエーションに富んだ車?」
「どんな略やねんっ!」
そんなモンスターと、いざ対戦。
見た目だ巨大なコブラで、その背丈は三階建ての建物に迫る勢いだ。コブラ特有の頭の部分を攻撃に利用しており、ハンマーのように振り下ろしたり、斧のように振るったり。
たまに、鞭のように尻尾が振るわれるのを気を付けておけば、結構パターンを把握しやすいモンスターだろうか。
「頭の攻撃を避けて、しばらく攻撃をしたら尻尾の攻撃が飛んでくる感じね。大縄跳びみたいな要領で躱せそうよ」
「じゃあ、誰かが尻尾に意識を集中させておいて、その人の掛け声で跳んでみよう」
「そんなコントの導入みたいな案、誰がするん?」
命懸け――とはいかないまでも、そんなコントなんてするつもりもないのだけど。なんて、しょんぼりしながらも気持ちを切り替えて、自分だけの判断になるように、掛け声を発してみることにした。
頭部がハンマーのように振るわれる。
それを躱してて、各々が好きに選んだ獲物を振るって攻撃を与える。
頭が持ち上がったのが、合図だろうか。
「尻尾がくるっ!」
来なかった。
というか、どうしたことだろう。ターボコブラは地に伏したまま動かない。……まさか、武器を持ち替えて攻撃をしたら、魅了が効いちゃった?
「尻尾を気にする前に、あなたは自分の能力を常に気にしなさい。ほら、掛け声をする前にやることがあるでしょ」
こんな寂しいウィンクをするのは、私は多分、初めてのことだった。




