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9.強敵出現

 サナティスが置いていった荷物を確認すると、かなりの量の野菜が納められていた。クーラーボックスには肉など、冷やしておいたほうがいいもの。余ってもスマートフォンに収納してしまえば、腐る心配はしなくていい。


「えっと、調味料のことを考えると、中華を作ればそれっぽくなるかも」


 調味料のラインナップを確認して、そう判断をする。売店では、自慢の味というポップが印象的な回鍋肉の素を購入した。


 うまく行けば、自力で作ったと思われるかも?


 ともあれ、そのためには上手に野菜や肉を切ることから始めよう。えっと、まな板と、包丁と……。いや、それより先に火を起こしたほうがいいのかな?


 荷物を漁ると、カセットコンロが顔をのぞかせた。


「えっと、ボンベをつければいいんだよね? あ、その前にコンロを置く台とか必要なのか」


 流石に、地面に置いて使用するのは色々と危険だろう。折りたたみ式のテーブルを組み立てて、その上にコンロを置いた。


 そして、ボンベを装着。説明書を読みながらしっかりと。ちゃんと火が付くかを確認してみると、文明の利器に感謝をする。


「自力で火を起こさなきゃならないとなったら、たぶん二人が帰ってくるまで格闘していたかもなぁ」


 魔法ではダメージを与えられても着火は出来ないし、ファンタジーなのに便利ではないのが、ちょっと納得いかない。


 ファンタジーと言えば便利。便利と言えばファンタジー。私の認識はそんなものなのに。


 止めどない愚痴を吐き出しながら、私は次の作業に取り掛かる。使う材料は、とりあえずキャベツと豚肉だけでいいだろう。あ、ご飯も炊いたほうがいいのかな?


「……あ、食パンがある。回鍋肉サンドイッチとか、斬新でいいかも」


 キャンプというのは、こういうノリも許してくれるものだと私は思う。


「うーん、でもパンに挟むとしたら、キャベツの切り方も変えたほうが面白いかな? 回鍋肉ってざく切りって感じだけど、それでは食べるときに落ちていくかもしれないし」


 カツサンドなんかは、千切りキャベツを使っている。それなら、千切りキャベツで回鍋肉を作ってみたらどうだろう。肉も、それに合わせて細切りに……。


「これは、ある意味で青椒肉絲?」


 ピーマンを入れたらそれっぽくなる予感。


 なんとか具材を切り終え、さっそく炒めの工程にはいる。フライパンに油を適量入れて、肉を炒めて、シャキシャキ感を残すためにキャベツは後。最後にレトルトのソースを入れて炒めれば……。


「キャベツがすっごくしんなりしている」


 これ、食パンに乗せたら、ギリギリお好み焼きにも見えなくもない?


「リル、お疲れー。昼メシは出来たかー」


 戻ってきた二人の反応は、とてもシンプルなものだった。


「パンよりご飯のほうがよかった」

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