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「この物語は衝撃のどんでん返しがあるからね。警告したからね!」


「見たでしょう?誰一人として喜んでなんかいない。上司さえも、だ。」


主人公はじっと立ち尽くし、スクリーンを見つめる。その目には光が宿っていたが、それは光の反射ではなく、涙だった。彼は静かに言った。


「だって、あいつは俺の友達なんだ…」


謎の男はニヤリと笑った。「ええ、感動的ですね。友達が目の前で死ぬなんて。」


主人公は目をぐるりと回し、ため息をついた。「お前、共感ってもんがないのかよ…」


「さて、そろそろ本題に入りましょうか。えーと…本当はですね、最初にあなたと出会った時に言うべきだったセリフがあったんですよ…なんというか…異世界の言葉で言えば、“保険の勧誘”みたいな感じですかね。まあ、そういう台詞を用意してたんです。」


主人公は腕を組み、眉を上げた。「それで、どうしたっていうんだ?」


「ですから、出会い直したってことにしましょう。僕の準備したセリフをちゃんと言えるように。」


「3…」


「2…」


「1!」


謎の男は胸を張り、大声で宣言した。「死後の世界へようこそ!あなたは、天界の新しいキャンペーンで選ばれた最初のラッキーな魂です!スペシャルなオファーを受ける最初の魂なんですよ!」


主人公は眉をひそめた。「最初の魂?どういう意味だ?」


「つまりですね、天界が前代未聞のキャンペーンを開催することを決めて、あなたがその第一号というわけです!」


「えっ?本当かよ?」


「本当です。キャンペーン立ち上げて、即選出です。」


「“即選出”じゃなくて“選出即”だろ!」


白く輝く大広間の中、まるで柔らかな月明かりに包まれているような空間。大理石の床は静かに光を反射していた。周囲には壁もなく、果てしない虚空が広がっている。空気中には淡い金色の光が漂い、ときおり粉雪のようにキラキラと舞っていた。


「あなた、面白い人ですね。この仕事を何十年もしてきましたけど、楽しいと思ったのは今日が初めてですよ。」


サングラスをかけた謎の男は空中に足を組んで座っていた。死後の世界の神や裁判官には見えず、むしろ退屈しのぎに話しかけてくる会社員のようだった。


「床に座ってもいいか?」と主人公が聞いた。


「どうぞどうぞ、僕も座るつもりでしたしね。」サングラス男は笑いながら指を鳴らすと、大理石の床が柔らかいクッションのように変わった。


主人公は快適そうに座り、サングラス男を見た。「それで、その特別なキャンペーンってやつ、なんなんだ?」


「おっと、そうでした!特別なのはですね…」彼は間を取り、サングラスを押し上げてニッコリと笑った。「あなたには、異世界で転生する際に“アイテムや特殊能力を3つ”選ぶ権利があります!」


「えっ?何言ってんだ、お前。俺に勇者でもやらせる気か?」


「違います違います。これはですね、天界がこのキャンペーンを始めたのは…地獄の神様が退屈しているからなんですよ。」


「退屈?」


「ええ、理解できますよ。だって、天界の神と戦って勝利してからというもの、地獄の神様はもう何千年も天界を支配してるんですから。」


その瞬間、辺りの雰囲気が一変し、漂っていた光すらも静止したかのように感じられた。


「それでどうなんだよ―」


「今、地獄の神様は、天界を引き継ぐにふさわしい者を探しているんですよ。」


主人公は目を細め、ゆっくりとうなずいた。「なるほどな…。だからチートな能力とか選べるってわけか。つまり、俺に神を倒させようってことだな?」


「正解!さすがの洞察力!」サングラス男は耳元で囁きながら親指を立てた。「まあ、洞察というより、直感ですけどね。」


「それで、俺だけがこの能力をもらえるのか?」


「いえいえ、違います。これからさらに10人のラッキーな魂が、あなたと同じく能力を選べるんです。他の魂たちは、能力なしで普通に転生することになります。」


主人公はうなずきながら考え込んだ。


『何を選ぶべきか…3つか…。神剣か?強力な仲間か?…待てよ!天界を支配するってことだろ!よし、決めたぞ!』


サングラス男はその顔の興奮を察し、静かに笑った。「その顔、悪役みたいですね。もう決まりましたか?」


「もちろんさ!俺の能力は、“3つの願いを叶える能力”だ!」


サングラス男は一瞬黙り込んだが、やがて微笑んだ。「それでいいんですか?かっこいい剣と、あと2つの願いっていう選択肢もありますけど?」


「いらないさ。これで完璧だ。」主人公は世界を支配するかのような笑みを浮かべた。


サングラス男は少し伸びをして立ち上がった。「それではこちらへどうぞ。」


主人公も立ち上がり、後に続く。周囲の空間が変化し、床には黄金の魔法陣が浮かび上がる。複雑で美しい模様が静かに回転していた。


「ここに立ってください。魔法陣が発動したら、あなたは新しい世界に生まれ変わります。」


「えっ?で、俺の能力は?」


「その“願いの能力”ですか?僕、否定しませんでしたよね?」


転移の光の中で体が徐々に薄れていく中、主人公は叫んだ。「じゃあ、俺の記憶は!?」


サングラス男はクスクスと笑いながら言った。「記憶もそのままですよ!」


そして最後に、サングラス男は叫んだ。「あ、そうそう!僕の名前はLulor Morsルロール・モルスです!」


それを聞いた主人公は鼻で笑った。『ふん、名前ないかと思ってたぜ』


そう思うと、彼も叫んだ。「俺の名前は!Dante Flintダンテ・フリントだぞ、黒豆野郎!」


叫び声が響いた直後、彼の姿は魔法陣の光と共に消えた。残されたのは光の残滓が舞いながら、静かに空気に溶けていった…。


ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます!

最初は軽い気持ちで書き始めたこの物語ですが、こんなにも長く続けられるとは思っていませんでした。

読者の皆さんの応援が、私の原動力です!


次回作も頑張りますので、また読んでもらえたら嬉しいです。

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