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「この物語は衝撃のどんでん返しがあるからね。警告したからね!」


(前の出来事)


カジノのシャンデリアからの光が、山のように積まれたチップのある賭けテーブルを照らしている。空気にはタバコの匂いが漂い、ざわめきが響いている。その中でもひときわ目立つのは、苛立った様子で指をテーブルに叩きつける大柄な男の声だった。


マフィアのボス:「おい、お前さ、いつになったら俺に借金を返すつもりだ?」


「は〜いは〜い、ほんっとしつこいな〜。また取り立てかよ。お前口に借金取りの霊でも憑いてんのか?」


周りの子分たちから小さな笑い声が漏れたが、ボスが眉をひそめるとすぐに静まり返った。


「お前さ、あんだけ大金かけたくせに……」


「え〜?それがどうしたんですか、ボス?」


「とぼけるなよ、あの金は50万だぞ!こんなに待たせやがって。お前が俺の友達じゃなきゃ、とっくに殺してるとこだぞ!」


「いや〜、俺ギャンブルなんて初めてでさ〜。たくさんかければたくさん返ってくると思ったんだよね」


「バカかお前!?そりゃ確かにたくさんかけりゃ見返りもデカいけどよ、損もデカいんだよ!」

(ドンッ!とテーブルを叩く音)


その音に、カジノ中の視線がこちらに向いた。場の空気が一気にピリッと張り詰める。上から流れるジャズのBGMも、その緊張を和らげることはできなかった。


「わかったよ、ちゃんと金を用意して返すってば」

彼はそう言って立ち上がり、部屋を出ようと背を向けた。しかし、ボスの声が彼を引き止めた。


「待て!」


怒鳴り声が響く。子分たちがすぐさまドアの前に立ちふさがり、出口をふさいだ。


「借金をチャラにしたくないか…?」

ボスは冷たい笑みを浮かべながらゆっくりと言った。


空気がどんどん重くなる。今始まろうとしている「ゲーム」は、彼の運命を大きく左右することになるかもしれない──


バーのオレンジ色の薄暗い光が、ボスの顔を照らしていた。彼は狡猾な笑みを浮かべながらこちらを見つめている。俺は平静を装っていたが、内心では罠にはめられているような気がしてならなかった。


「もちろんチャラにしたいですよ、ボス。変な質問ですね」

俺は負けじと笑って返した。


「じゃあ、男と男の勝負で決めようじゃないか」

ボスは自信満々の笑みを浮かべて言った。


妙な空気を感じつつも、俺はあえて無視したふうに言った。

「いや〜、そんなくだらない勝負とかやめましょうよ。俺、早く帰ってアニメ見なきゃだし。それにタバコの匂い嫌いなんですよ、マジで死にそう。金はちゃんと返しますから〜」


『……こいつマジで鈍感すぎる』

ボスは眉間にしわを寄せ、俺の鼻先に指を突きつけてきた。

「こっちだってアイドルの握手会に並ばなきゃなんねぇんだよ!!」


俺はため息をついて肩をすくめた。

「はいはい、じゃあさっさと勝負して終わらせましょうか」


「いいだろう…じゃあ始めようじゃないか」


ボスは黒いレザーソファにどっかと腰を下ろした。タバコの臭いが充満していて、俺は思わず息を止めた。俺も向かいのソファに腰を下ろすと、ボスはリラックスした様子で背もたれにもたれ、銀色のリボルバーを取り出し、重厚な木のテーブルに置いた。


「で、勝負の内容は?」

俺はその銃を見ながら尋ねた。


「ロシアンルーレットで勝負だ」


『ロシアンルーレット!? これ、この前見たアニメの展開そっくりじゃん!なんでこんな時にワクワクしてんだ俺!?』


思わず唾を飲む。握った拳にじわっと汗がにじむ。ボスを見ると、彼はまるで何も気にしていないようにリラックスしながらソファにもたれていた。表情は完全に悪役のそれで、勝利を確信しているようだった。


『あのとき主人公が言ってたセリフは……』


「フッ、言葉も出ないってか?」


『クソッ、考えろ考えろ!』


『今のお前はこう思ってるだろ?「やばい、俺もうダメだ、死ぬかもしれない」ってさ!』


『あああー!全然思いつかねえ!!』


俺はカッコいいセリフを探そうとしたが、頭が真っ白だった。


ボスは勝ち誇ったように俺を見下ろし、目をキラリと光らせて言った。

「おいおい、もう汗かいてんじゃねぇか。ビビりすぎだぜ、お前」


俺は顔に出ないように必死でこらえながら拳を握りしめた。しかし、ボスはさらに身を乗り出してきた。その笑みはさっきよりもずっと危険なものだった。


「お前が震えてる間に…ルールを説明してやるよ」


『あっ、思い出した!』

俺は深く息を吸い、落ち着いた声で訊ねた。

「で?ルールって?」


「ルールはこうだ。このリボルバーには一発だけ弾が入ってる。俺たちは交互に一発ずつ引き金を引く。お前が死んだら、その借金は家族に請求する。でも俺が死んだら、その借金はチャラだ。そして、どちらが死んでも"事故"として処理する。もちろん、手袋をはめてやるぞ」


俺は小さく頷いた。心臓の鼓動はどんどん速くなっていく。

「で、何回やるの?」


「4回だ。たった4回。始める前に、遺書を書いてもらうけどな」


俺はニヤリと笑った。

「面白いじゃないですか。じゃあ…覚悟はできてますか?ボス」


『バッカじゃねぇの俺! カッコつけてる場合じゃないって! 実はこの銃、弾なんて入ってないんだよ! こんな命がけのゲーム、本気でやる奴いねーよ!俺だって死にたくねーよ!!』

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます!

最初は軽い気持ちで書き始めたこの物語ですが、こんなにも長く続けられるとは思っていませんでした。

読者の皆さんの応援が、私の原動力です!


次回作も頑張りますので、また読んでもらえたら嬉しいです。

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