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5/VSゴブリン

「まともな武器は俺達の前に挑んだだろう探索者の落とし物しかない。選んでくれ」


洞窟の中。山になった使えなさそうな武具と、使えそうな物だけ分けられた10の武具があった。

落とし物の9割はゴミだ。

アルクが暇潰しに集めたらしく、サシャが目覚めた時研いでいた剣はまだ使えそうな10の1つらしい。

剣、ハンマー、手裏剣、手裏剣、ヌンチャク、短刀、盾、斧、槍、鎖鎌。


「うーん、剣と盾を貰おうかしら。他は使ったことないようだし。貴方は何使っているの」


「拳だ」


サシャは引いた。

これらの武具集めはアルクの趣味である。


レベリング初日。




「何でゴブリンとワンマンなの!? レベル上げるんじゃないの!?」


サシャの行動はレベリングと聞いて真っ先に思い浮かぶ景色とは違った。

アルクがオークを瀕死にしてからサシャが止めを刺せばサシャのレベルは上がるのだ。

しかしアルクはこのやり方に否定的だった。


「レベルだけ上げても下層からは意味ないからな。ゴブリンは俺の敵じゃないし、回復魔法も使えるから安心しろ」


「魔法羨……ッ!? 死ぬわよ! これ!」


アルクの回復魔法は腕すら生やす。それを事前に聞いたサシャは腕を生やす前提で動いていないか戦々恐々していたが、今日疑惑は深まった。


部位は死守した。勝てなかった。死ななかった。


レベリング2日目。


負け続けている。

休憩中にいくらか負ったかすり傷をアルクが治していた。


「≪超回復≫。こっちもか、≪超回復≫」

「いつもありがとう、でもそんなに私の回復を続けたらもう魔力が少ないんじゃないの? 動けなくなったら私も死ぬんだからね?」


翻訳すると帰りたい。

サシャは飲み込みが早く戦闘センスもあった。結果比例してアルクはよりハイペースに鍛え、怪我が増え回復魔法の使用回数も増えた。


「1割も使ってないぞ?」

「嘘よ、そんなの魔族でもなきゃあり得ないでしょ」


魔族領はすぐ隣だ。サシャは数瞬黙った。

魔族の特徴は、魔力量が多い、寿命が長い、回復力が高い、魔力が見える、横暴、そして自分勝手。


「……まさか?」


「言ってなかったっけか。魔族だよ」


「そうだったのね、何で気付けなかったか不思議な位納得した。ついでと言っちゃあアレだけど何でこのダンジョンに居るか聞いて言い?」


アルクは回復を続けながらため息を吐いて眉間にシワをよせて答える。


「お父様......ンンッ、親父がここに入ると家計が助かるって言うんで入った具合だ」


「お父さんっ子なの?」


「違うが。……関係ないけど超回復って手元狂うと傷口から体が弾け飛ぶんだよね」


アルクの声は低い。


「……お料理今日も頑張っちゃうぞー!」


サシャの声は少し裏返っていた。



レベリング3日目。



「これはレベリングじゃないのではないか!」

「かもしれませんね。頑張りましょう。」


サシャの心からの叫びをアルクは適当に流す。適応していた。


「う、うおおぉぉぉ!」


やけくそ気味に叫ぶサシャも、このダンジョン生活の適応者だ。


回復が終わると10匹目のゴブリンとの戦闘が流れる様に始まる。


集団のゴブリンを一匹以外アルクが殴り飛ばし、最後の一匹の前に剣を放ると慌てて拾い、アルクを避ける様にサシャの前で剣を構える。ここまで二人が何度も繰り返した流れだった。


ゴブリンが剣を構えて突っ込む。サシャはゴブリンの攻撃を盾で受け流し、その隙に盾を突き出してバランスを崩す。背後に回って首に剣を下ろした。

ゴブリンが動かないのを確認して両手をあげる。


「やったー! ヴヴヴぁ!」


「お、レベルアップおめでと」


体全身に微弱な電流を流されるような感覚がサシャを襲う。

レベルアップの症状だ。身体能力と魔力がいくらか上がる。


「じゃあ次は……」


「待って、休憩を」


「感覚残ってる内にゴブリン10体位倒そっか」


そこからは今までが嘘のようにサシャの体はうまく動いた。そのままサシャは14体倒させられ、レベルは7になった。



レベリング7日目。


サシャはゴブリンの7匹の集団に囲まれていた。

サシャはゴブリンの攻撃を完全に見切り半身で避け反撃を1回。長剣の突きは喉を突き抜け、ゴブリンは倒れる。

1度もミスする事なく、計7回避けて倒すを繰り返した。まるで作業の様にあっさりとゴブリンを倒した。


サシャは慣れた所作で剣の血を払う。


「ゴブリンが雑魚過ぎて修行にならないわね。どうする? リーダー」


「噂は本当かもな、予想以上だ。1つ下に、中層に行こう」


「ええ!」



中層にて、オークとの戦闘が始まる。



「無理! 死ぬわよ! 死ぬわ!」


「ガンバー」


現在のサシャのレベルは13。

中層もとい、オークの攻略適正レベルは25。


そんな中サシャは避けれている。

サシャは紛れもない天才だった。


「うっひゃひー!」


アルクは回復は出来るが、死者になれば出来る事はない。

故にレベリングでの戦闘の条件は後だしじゃん拳で勝てる事。

オークが相手でもサシャの眼前に拳が迫った後から接近して倒せる確信をアルクは持っていた。


アルクのレベルは54だ。

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