2/臨時パーティー結成
荷物や抜き身の武器まで放ってあるぐちゃついた洞窟に魔物の声が響く。
声を気にも止めずに剣の手入れをする切れ長の目をした男はサシャの目覚めにより目を細める。
「誰よあんた」
「命の恩人だが?」
男の言葉にサシャは怪訝そうな顔をして自身の体を見ると、傷が完全に治っていた。見た限り古傷も含めてだ。
親指を立てて男は洞窟の外を指差した。
その先からはモンスターの声が聞こえるてくる。
「出てけ」と男が言いきる前にサシャは勢い良く頭を下げた。
「出口に連れていって下さい! ダンジョンから出たいです!」
「……ん? このダンジョンはクリアしないと出れないはずだろ?」
「……えっ?」
頬がひきつる。とっさに上がった頭をより深く下げた。
「仲間にして下さい! 死にます!」
「やだよ。これから下層に行くんだ」
「まぁ待って。これでも地上じゃあ才能が眠ってるってもっぱらの噂だったのよ?」
「それはすごいな。ほら、この剣やるから頑張ってな」
「待って待って待ってって!!!」
男は見ず知らずの女を助けてなにも求めない様子。
しかし死ぬと言ってる女をダンジョンに置いてく。
サシャはとにかく必死で会話を引き延ばそうとして辺りを見渡すと、近くの鍋の中につたない料理を発見した。
「あれよ、私、料理出来るわよ!」
「えっ、採用」
「えっ、よろしく」
あっさりと仲間になった。