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1/指定A級ダンジョンに捨てられる

「あうぐっ!」


少女は投げ飛ばされると両腕が手枷で拘束されていたためろくに受け身も取れずに転がった。


少女はサシャ。奴隷だった。首には魔術の込められた首輪がされており、16の時に人拐いにあって奴隷になった。2ヶ月が経って、豚みたいな貴族に魔力の多さに期待され買われ、4ヶ月で見切りをつけられる。


戦闘奴隷として期待されていたため今や自慢の赤髪はボサボサで、体や顔にはいくつもの傷があった。


転がり、転がり、動きが止まるとそのままガバリと上体を起こして前を睨んだ。


「痛いわね、こっちはレディよ?」


目線の先には鎧姿の男二人を付き従え、全身を貴金属で反射させたが恰幅の良い豚の親戚のような男が立ってため息を吐いていた。


「黙れ奴隷風情が。レベル5の雑魚で魔法も使えない奴買った僕のが可哀想だろうに。そのせいでわざわざこんな場所に捨てに来ることになったんだ」


ここは舗装などされていない山道を延々馬で移動した先にある場所。

魔族領との辺境に位置する指定A級ダンジョンの前。

少女の直ぐ後ろにはポッカリと穴が空いており、入ればダンジョンに住む魔物達に襲われて骨も残らないだろう。

彼のような貴族が秘密裏に奴隷を処分するにはもってこいの場所だった。


「まぁお前はこれからダンジョンで死ぬし同情してやらんでもないがな」


ニヤニヤと笑っている。入り口と男。二つに挟まれる形になっている首輪をつけた赤髪の女。サシャは怯える様に傷だらけで震えていた。


「うるさい豚。豚うるさい」


「チッ、目障りだな。もう早く入れ、部下に手伝わせてやろうか?」


豚と呼ばれた貴族の男、豚貴族が合図すると、部下と呼ばれる鎧姿の男が前に出て剣の柄に手をかける。


しかし、サシャの目線は剣ではなく男の首に向いていた。

彼の首にはサシャと同じく首輪がはまっており彼もまた奴隷であった。

一度目を強くつむり、豚貴族を睨む。


「結構よ。あんた後で殴るから」


「ここで死にたいらしいなぁ!?」


顔を真っ赤にした怒る豚貴族を尻目にサシャは半ば転がりながらバックステップでダンジョンに入った。


「……もう無理」


そこが限界だったか、サシャは直ぐに意識を失った。



ダンジョン一層。入り口前。

ダンジョンは石造りの部屋が無数の通路で繋がる構造上、先住民は異物の侵入に敏感だった。


「グギャギャギャ!!」


倒れ伏すサシャ。それに緑の人形(ひとがた)、ゴブリンが馬鹿笑いをしながら近付き錆びた剣を振りかぶる。

すると、気づかぬうちにサシャの横に男が立っていた。


「えい」

「ブベッ!」


男の繰り出した剣より速い拳がゴブリンの頭に突き刺さり、ゴブリンは倒れる。


「何だこいつ?」


錆びた剣をキャッチした男はサシャを眺め、10秒ほど考えて肩に担ぎ隠れ家の方角へと足を向けた。

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