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堕天  作者: 澤西雄二郎
3/3

堕天 3/?

「あの化け物どうなったんだろうね」

車の中でエリナさんが少し物悲しそうに言う。

「私がサンマが欲しいって言ったばっかりに、あんなことになっちゃって」

どうやら少しあの出来事に対して負い目を感じているようだ。

「………」

「そうだよね、私も関係ないとは思うんだけどね」

エリナさんはいい人だ

だが、いい人すぎる

騙されることなどなければいいのだが……






「次の国は『ドンマコー』です!」

この地図に書いてあるとおりなら、相当広い国だ

というかさっきの国、あれはなんという国なんだろうか?

この地図にも載っていない

「………?」

「あぁ、この地図はお父さんのものなんだ。旅のお土産って言ってね、確か10年以上は前のものだね」

最初はオアシスから始まったって言ってたし、10年前には発展していなかっただけか

「お父さんも行ってみたい国の1つって言ってて、国民全員が強いんだって」

ふわふわした説明だな……

お父さまがふわふわしているのか、エリナさんがふわふわしているのか……



二時間後



砂漠に青々としげる木々が目に入った。

「この先に見えるのが『ドンマコー』だね」

「………?」

しかし、目の前に国などなく、森が視界いっぱいに広がっている。

「多分この森の中に国があるんだよ」

そう言うと、森の中にある僅かに開けた場所を選び、車を進めていく。

「………」

「そうだね、不法入国とかにならなかったらいいんだけどね〜」

国の全容、姿さえ見えないので、不安になるも仕方ない

30分ほど車を走らせると、大きな木の門が現れた。

「ここだね〜」

しかし、人の気配など一向にしない

待てども待てども、前の国の入国審査官のような人は現れなかった。

「どうしよっか」

この場所に留まるか、諦めて引き返すか、エリナさんと相談していたところ

「………?」

後ろからなにか足音が聞こえる

「なんか来てる?」

エリナさんには見えていないようだが。はっきりと見える

森の中に大勢の人の群れだ

そして


コツン


車になにか当たった


コツン


また当たった

「車になにか当たってるよね?」


コツン


今のではっきり見えた

石だ

あの人の群れから石が飛んで来ている

「………!」

「やばいやばい!」

このまま引き返すかと思ったが、エリナさんは違った。

「あーーーーーーー!!!」

思いっきりアクセルを踏んで、木の門を突き破ってしまったのだ。

「………」

中には女子供しかおらず、それも、覗いているだけで、危害は加えてこない。

しかし問題は後ろだ

人の群れが、もうそこまで近づいてきている。

前に人がいると車を走らせることもできないし、どこへ向かえばいいかも分からない

「あわわ……ってちょっとジノッチ!?」

車から降りて群れと向かい合う

一か八か、試してみよう

今は両翼があるのをしっかりと感覚でつかんでいる

これを…………こう!

羽を大きく動かすのと同時に、激しい風が巻き起こるまで

砂や石も巻き込んだこの風は、人の群れの進軍を少し留まらせることができた。

次は前方に出て……


「うぉぉぉぉぉぉ!」


車の前方向にたった瞬間、僕の身長をゆうに超える男が剣を振り下ろしている。

「………!」

咄嗟に羽で剣を受け止め、足で蹴り飛ばした。

「………」

痛い…

これじゃあ羽はしばらく使えないかもしれない

まだ奥にも沢山人がいる……

「ジノッチ!」

エリナさんの声で我に返り、差し出された手を掴んだ。

「ちょっと飛ばすよ!」

車はけたたましい音を立てながら、猛スピードで前進する。

前方にいた男どもは、みな車を避けようと散り散りになって逃げる。

「こっちだ!こっち!」

すると奥にさっきの男どもとは違った男が、左を指している。

「え?左?」

ハンドルを思いっきりきり、左へと曲がった。

そしてしばらく進むと

「………」

先程見た家とは明らかに作りや外装が違う家が現れた。

「はぁ……はぁ……」

後ろからさっきの男が息を切らしながらこっちに来た。

僕とエリナさんは車から降り、男に話を聞いた。

「旅のものですね……えぇ……1回深呼吸を……………はい、我が国「ドンマコー」へようこそ、私は「シビリス国」の大使をしています「モルガンレ」と申します」

「………?」

「………?」

「あぁ、細かく説明しますね」

「ドンマコーに大使、友好の関係のために、シビリス国から遣わされた、ここまで大丈夫です?」

「まぁ、何とか?」

「そして私の名前が「モルガンレ」と申します」

「………」

「おぉわかったようですね……ややっ、血が出ているではありませんか、ささ、屋敷の中へどうぞ」

……………

なんだか胡散臭くないか?

屋敷の中はとても広くて、優しい光で満ちている。

「広いね〜」

「そうでしょう、一人ではどうしても持て余してしまうのです、今日はおふたり分の部屋ありますので、そちらでおやすみなさってください」

モルガンレは親切に2人分の部屋を用意してくれた。

「あの〜」

「どうされましたか?」

「シャワーってありますかね?」

「えぇございますよ、今晩はゆっくりおやすみなさってください」

「やった〜!」

「貴方様は少しこちらへ」

僕の肩を叩いて、少し離れた部屋に案内された。

「………」

「……………」

「……少し失礼しますね」

部屋に入ると、僕の背後にまわり羽を触ってくる。

「………」

「痛くは無いですか?」

「……………」

「痛みはないのですか……ではこれは?」

「………」

「……?この話は聞いたことありませんね……」

モルガンレが奥の本棚から、分厚い本を持ってくる。

「これはあなたのパートナーと一緒にお話する方がいいのですが、ここはあなただけにお話しますね」

「……………」

持ってきた本には、文字がびっしりと書かれている。

……しかしこの言葉、どこかで見たことある気がする

「………」

「読めますか?」

「………」

多分ここの1文は

『雲を割くは天使の現れ、大地を割るは地獄の主の現れ、海を割くは海王の現れ』

「おぉ……合ってますよ」

紙に書いて見せると、とても驚いた様子でこくりと頷く。

って言うか何だこの1文

「この本は大昔のこの国で書かれた『魔天・その代償』です」

「この本は国外で大変人気のある本出してね、理由としては大きく3つ、まずロストパーツ以前の作品でして、それはそれは大昔ですよ、文字も発達していない文明が多い中、この本はたった1年で書き上げたとされているんです。それだけこの国がどれ程の技術を持っていたが伺えますよね」

モルガンレは興奮しているのか、えらく饒舌だ

「それだけでこの本の歴史的価値が分かりますよね、2つ目は天使崇拝文化の視点から高く評価を得ており、各国の天使崇拝のある国のほとんどがこの本を元に信仰をしており、礼拝方法なども、国によって違いはありますが、大部分は一致しており、この本に書かれている礼拝方法を参考にしているからだと言われています。3つ目はその繊細すぎる描写ですね、この本は後半120ページは作者の「ア・ユー・ア」の体験した信仰の記録を記しており、この細かい描写から文学としても高い評価を受け、後世の様々な文学作品に影響を与えているんです」

一通り話し終わったのか、椅子に座りこちらを見る

「わかっていただけましたかな、この本が如何に偉大か」

「………」

「そうですか!……つい本に関すると熱くなってしまうんですよ……私の悪い癖ですね」

本を机に置き、遠くを見つめる

むしろいい事だと思うけどなぁ

「この国はかつての姿はなく、野蛮かつ凶暴なライフスタイルをとっています、当然誰も本など読まないので、こうやって本について話すのは久しぶりで………」

そういう事情があったのか

「この屋敷は1人では持て余す」と言っていたが、この国では誰1人仲良くなったやつが居ないのか

まぁ、僕達を見て襲ってくるような国民性だし……

「しかし謎です、どうしてもこれほど素晴らしい作品を残して、作中でも豊かな暮らしをしていたこの国が、どうしてこんなにも野蛮になったのか、気にならないですか?」

「………」

「気になるー!!」

ドアを勢いよく開くと、エリナさんが立っていた。

「シャワー浴びたら誰もいなくても焦ったよ〜」

「………!」

涙目で僕に抱きつく

シャワー上がりのエリナさんはポカポカしていて、髪もいい匂い………

じゃなくて!

「………」

「うーん……『作中でも豊かな〜』ってとこ?」

「ではお二人にお話しましょう」

エリナさん分の椅子を用意して、モルガンレの話しみ耳を傾ける。

「全てはあのロストパーツが原因です」

「せんせー」

「なんですか?」

「ロストパーツって結局なんなの?」

「いい質問ですね、お二人の名前聞いてませんでしたね」

「私がエリナ!」

「……………」

「ジノンですか……いい名前ですね……さて、話を戻しましょう」

「ロストパーツについてだね」

「ロストパーツ……それは文明が発達するより前に存在していた『ありえない超高度な機械』です、ロストパーツを中心に文明は発達していく傾向があります。ロストパーツは国の数だけあると思っていただいても構いません、ロストパーツの実態、どこから来たのか、どうやって作られたのか、それは一切わかっていません」

文明ができる前からあるって言ってたし、そもそも記録が残ってないのか

「歴史学ではロストパーツ以前の歴史のこともわかってきています、ジノンさんには先程話した『魔天・その代償』に書かれている時代ですね、それは『N歴』として数少ないながら歴史として記録があります、ちなみに今は『L歴』ですね」

「なんかその本見たことある」

「………?」

「お父さんがお土産で買ってきてくれたんだ、けどなんて書いてあるかわかんなくて本棚に飾ってあるまんまだったんだよねー」

「まさかインテリアとしての面でも評価されているとは……」

そこ評価せんでもええわ

話が脱線しすぎではないか?

「まぁ、気を取り直して……この国がこうなったのも、ロストパーツが原因と言いましたね、この国のロストパーツはこの国では「縺医ユ。隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺」(もりがみ)と呼ばれています」

「どうやって書くの……」

「この国の人はほとんど読み書きができません、この縺医ユ。隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺を書くのは、基本的には司祭など、権力者などの1部しか書かないですからね、私もこの国に来た当初に見せてもらったんですが、とても小さかったですね」

「どのぐらいのサイズ?」

「今エリナさんが持っているそのタオルを4等分にしたぐらいのサイズですかね」

たしかに、前の国にあった全変換機と比べると、とても小さい

あの機械もこの屋敷ぐらいあったからな

「ただこのロストパーツ、使い方がわかっていないんですよ」

「使い方?、今使ってるんじゃないんですか?」

「えぇ、実際にロストパーツはこの国に影響を与えているので、使用できていると思うかもしれません、ですが本来であれば……」

本棚の上の方から1冊の本を取り出した。

「この『ウルルのジュエル』これが本来の姿なんです」

「………?」

「この本はドンマコーのL歴100年までの歴史をまとめた本です、そのL歴1年に縺医ユ。隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺について記述がありました」

「めっちゃ古い本じゃん……」

『このジュエルは空から降ってきた訳でもなく、土の中から出てきた訳でもなく、泉のそこから浮き上がってきた訳でもなく、当たり前のようにそこにいた』

とある文章の下に星の形をしたジュエルがとても綺麗に書かれている。

「………?」

「はい、これが縺医ユ。隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺の本来の姿であると考えられています」

「モルガンレさんが見た時はどんなんだったの?」

「この周りの装飾が全てなかったんです、そこから私はこの縺医ユ。隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺は本来ロストパーツが持つべき力を失っている、もしくは暴走していると考えたのです」

「おーー」

「………」

このドンマコーの歴史書、相当な書き込み量だ。

文中の挿絵から、文字の1文字1文字まで丁寧に書かれている……

「縺医ユ。隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺は現在「長」(おさ)が所持、管理しているそうです………と」

隣を見るとエリナさんが机に突っ伏して眠ってしまっている。

「もうこんな時間ですか、それぞれお部屋に案内しますので、エリナさんもベッドでお休みする方がいいでしょう」

そっとエリナさんを起こさないように、抱き抱えて運ぶ。

「羽の傷もだいぶ良くなりましたね」

「………」

「いいんです、明日私と一緒に長のところに行きましょうか、お互い事情を知る必要はありますからね。」

「………」

「おやすみなさいませ」





「ふざけんじゃねぇ!」

早朝、男の怒号で目が覚めた。

下の階のモルガンレの部屋だ

「あ、おはようございます」

そこにはモルガンレと老人と若い男が座って話をしていた。

「てめぇだ、てめぇだな」

男は僕を見るやいなや、鼻息を荒くして胸ぐらをつかんできた。

「よさないか」

「しかし長!」

男はしっかりと胸ぐらを掴んだまま離してはくれない

「この男こそ、マズレイの刺客に間違いねぇ!」

「……!」

マズレイ……この国にも来ていたのか……

それに刺客……なんのことを言っているのだ?

「…………」

「長、この方はジノンと申しまして、訳あって声と記憶を失っているのです」

「ほう……声が出せぬのか…………」

「…………」

「では、マズレイを知っているか?」

「…………」

「なるほど……声を奪われたと……」

「…………………………」

「ありえねぇな」

男が胸ぐらから手を離す。

そして顔を殴りつけられた。

「長、やはりこいつらは処すべきです!」

「…………」

「なんでこんなやつの言うことなんか信じるんですか!」

「いっときの感情に流されるな、お前の悪い癖だ」

「しかし!」

長と呼ばれた老人が立ち上がり、僕のそばにやってきた。

「門を破ったのはお前たちか?」

「…………」

たしかに車で突き破ったのは僕たちだ

「…………」

けどあれは後ろから石が飛んで来たから……

「…………なるほどな」

長はくるりと振り返り、再び椅子に座った。

「キシヌ、出ていけ」

「……は?」

「私の言葉が聞こえなかったか?、この場から出て行けと言ったのだ」

長は語気を強めて、男、キシヌに言い放った。

「待ってくれ長!俺はこの国を守るために……!」

「頭を冷やせ、キシム」

「…………ここに」

部屋の外から男がもう1人入ってきた

「キシヌ連れて行け」

「わかりました」

「おい、キシムてめぇ!」

そうしてキシヌは別の男に連れていかれ、部屋から出て行った。

「お見苦しいところを見せてしまったな……大変申し訳ない」

長が深々と頭を下げる

「いえいえ……何かと大変ですね」

「まぁな……あいつも長になる素質はあるんだがな……」

「…………」

モルガンレが僕の分の椅子も用意してくれた。

「すまないね……改めてドンマコーの長、ヴォルだ」

「…………」

「私がここに来たのは、君たちが敵か味方か判断するためだったんだよ」

「…………」

「けどわかったよ、そこ目、敵はそんな目をしない、私の勘だがな」

「…………!」

「今日からここで何日でもいてもいい、この国での安全は私が保証する、もし君らに危害が加わるようなことがあったら、その時は私が死んだ時さ」

「…………!」

「ゆっくり羽を休むといい」

長、すごく頼れる人だな…

野蛮な人しかいないものだと思っていたが、ちゃんとした人だ……

失礼極まりないけど……

「良かったらこの国を案内しよう」

「いいのですか?お身体の方は……」

「いいんだ、早かれ遅かれ死ぬ運命、自分のしたいようにして死ぬのが本望だ」

そうして長と僕のワンツーマンでドンマコーツアーが始まった。

そこそこの時間回ったが、原初の泉は別格だった

水の透明度が他の水のそれじゃない

しかし毒性がとても強く、魚はおろか、植物すら生えてこない綺麗と危険の両方を兼ね備えたなんとも素晴らしい場所だった!

それともうひとつ良かったのが

「長!」「長、ここの河川なんだが……」「長、昨日の一件は申し訳ありません……」「長!いいリンゴだぜ〜!」

長は大変慕われている。

すれ違い人みなが長に声をかけている。

正直、僕がいることが申し訳ないほどに

「…………」

「ん?」

「…………」

「あぁ……そう言ってくれると嬉しい限りだ。なにも私が特別なことをした訳では無いんだ、みなの喜ぶ姿を思い、行動する、孤独な王は寂しいからな」

「…………」

「最後に縺医ユ。隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺をお見せしましょう」

「…………?」

「あぁ、構わんさ」

少し歩くと他の家々とは違う建物が見えてきた。

「あれが宝物庫じゃ」

宝物庫に上がると、正面の大きな動物の頭蓋骨、青色の水晶玉、目玉が3つのカエル、いい香りのする流木など様々な珍品が所狭しと並べられている。

長がそのうちの紐が2本だけのほうきを倒すと、床が抜け、したから階段が現れた

階段を降りると、先程とは明らかに違う雰囲気で、ガラスのケースの中にロストパーツ、「縺医ユ。隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺」が入っていた。

「これが我が国に伝わる秘宝、わしでもこれが何なのかは全くわからん……」

ガラスケース越しに縺医ユ。隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺を見つめる長

「他国から訪れるものは、この原始的な暮らしに苦言を呈するものや、技術を提供してくれるやつもいた、だが少なくともわしはこの暮らしは好きなんだ」

縺医ユ。隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺が少し光った気がした。

「だからこそマズレイがやってきた時はみな警戒し、やつを追い返すことができた。信仰心がなければ天使もわしらの敵では無い」

「…………」

マズレイがこの国にやってきたのか、詳細は分からないが、今のマズレイには僕の声、催眠効果のある声帯を得ている。

信仰心がゼロでも催眠にかけられ、操られることにならなければいいが……

「さて、戻りましょうか」

階段を上がり、宝物庫を出ると

目の前の景色が真っ赤に染まっていた。

「!」

左から飛んできた矢を右手で掴む。

次に左手から迫ってくる男を蹴り飛ばす。

「あぁ……こ、これは…」

「長!」

正面から頭から血を流した男が向かってくる。

「キシムさん……!これは一体……?」

「……はぁ……キシヌが……マズレイが……」

長とキシムさんを守るように宝物庫に逃げこんだ

「キシヌがマズレイに操られて……国民を扇動しています!」

「!」「マズレイが……」

思っていたより早いな……

しかもさっきいたキシヌが洗脳されてしまったか……

「なんと……あの馬鹿野郎が……」

「お、長……?」

「ジノン……旅の最中に巻き込んでしまってすまない……どうか早く逃げてくれ、キシム」

「はっ……」

「キシムを遣わせる、さらばでな」

「………!」

視界がぐわんと1面床になる

キシムさんに担がれたまま宝物庫を出る。

「!」

「………」

早く戻してくれないと長が……

肩の上で暴れてみるが、キシムさんは黙ったまま戦火の中をかけていく。

「キシムさん!ジノンさん!」

モルガンレの声がする

顔をあげるとモルガンレさんがこっちと言わんばかりに手を振っている。

キシムさんは車の近くに僕を下ろし、ぺこりと一瞥し、すぐに戦禍に向かって走り去っていった。

「ジノっち!」

「!」

車からひょっこり顔を出すエリナさん

僕を見たあとすぐに険しい表情に変わった。

「エンジンがつかないんだけど!」

またか……

しかし、技術の結晶のような国で修理してもらったのにも関わらず、また故障するなんて……

「もう!このポンコツ!」 ガンッ

「………」

「私じゃないからね!?」

車から降りるエリナさん、その手には何か箱を持っている。

「ふっふっふ……こんなこともあろうかと、さっきの国で修理キット貰ってきたんだ〜」

すごい自信満々に箱の中身を見せてくれた。

中にはペンチやレンチ、見たことないような色んな器具が入っていた。

「………?」

「うん、色々まとめてくれてたんだ」

そう言って分厚い冊子を手渡された。

これ全部車修理のマニュアルだ……

それも丁寧に全てのパターン1から62項目もある……

「だからさ!」

「……?」

「行っておいで、長のこと心配じゃないの?」

「……!」

「車が直ったら、そのまま迎えに行ってあげる!」

モルガンレさんの屋敷から飛び出して、長の元へ向かう。

翼を広げ、滑空する。

刹那、背中に強烈な一撃が入り、地面に叩きつけられてしまう。

「天使から堕ちたものが、再び空を飛ぼうなど、おこがましいにも程がありますね……」

雲を裂き、僕を見下すマズレイ

その顔はどこか愉悦に満ちていた。

「本当にこの声は便利だよ!1度たりとも落ちたことがなかったこの国があっさりとこのザマさ!!」

……1度たりとも落ちなかった国?

なんのことを言っているんだ?

「………あぁそうか、君は記憶を失っているんだったね、まっ……教える気なんてないけどね」

マズレイが手を上げる。


────死ぬ


全力で左へ避ける

コンマ1秒後、巨大な光の柱があった。

柱が消えると、そこには何も無かった。

地面も綺麗にえぐれている。

まだこいつに勝ち目は……ない

ならやることはただ1つ………

「ちぃ……逃げたか」

マズレイは……追ってきてない

このまま長のもとまで……!

さっきよりも早く国中をかけていく。


数分後……


「……!」

「ジノン!」

国の若者に守られている長を見つけた。

とりあえず周りにいる暴徒どもを全員気絶させる

「どうして……」

「………」

「……聞く気はないと………よし、改めて礼を言う、国の揉め事に付き合ってくれて感謝する」

「………」

「そうだな……あの男、キシヌを止めてほしい」

「………」

「おそらく近くに居るだろう……頼んだ」

長が僕の手をとり、ギュッと握る。

その手からは、弱くも誇り高き強さを感じた。


ドォォン……


「どうやら探す必要はなかったようだな……」

「………」

「長………殺してやる……殺してやる!!」

柄の長い槍を突き立てて、こちらに突進してくる。

スっと横に移動して、刃の部分を叩き割る。

そしてキシヌの腹に回し蹴りを食らわせる。

「……!」

しかし、僕の足は空を切る

キシヌは槍を支えにして宙に舞うように跳ね上がり、僕の真後ろに着地する。

ギリギリでナイフの突きをかわす

しかしバランスを崩して、地面に転んでしまう。

僕に馬乗りになったキシヌ

やつの攻撃をギリギリでかわし続けるが、何回かカスっているし、避け続けるのにも限界が……

「っ!」

キシヌを殴り飛ばし、ゆっくりと立ち上がる。

槍を再び手に取り、突撃してくるキシヌ

そもそも、槍と素手じゃリーチが違いすぎ

ビュッ

今も顔を掠める槍の一突

これは本気でやばい……

距離を縮めても、体術はおそらく…

いや、確実にあちらの方が上

「…!」

「………」

こっちだって身体能力だけで言ったら、普通の人よりは数段上のはずなのに

「っ!」

「まずは一人……」

脇腹にモロ食らってしまった

痛みと神経系の麻痺でその場にうずくまる。

キシヌは長の元へ1歩、1歩歩みを進める

「……!」

「長………」

キシヌの手が少し止まる。

黒くなった瞳から大粒の涙がボトボトとこぼれ落ちる。

戦っているんだ

彼の中でマズレイがかけた洗脳と自分の心が戦っているんだ

「おれ……長……」

ナイフを落とし、頭を抱える。

大きく声を荒らげながら、あたり散らすキシヌ

そんな彼に長がそっと手を差し伸べる。

その手は僕に対して差し出した手とは少し違う。

柔らかい、愛情のこもった手だ

「……キシヌよ、お前はワシの」

「はい、そこまで」

長に深々と刺さる白色の光

長の後ろに立つのはマズレイ

赤い血に染まる長に光がキシヌの前に容赦なく現れる。

「これは君がやったんだ」

マズレイはキシヌの耳元で、大きな声で言う

心に

体に

全身に、嫌という程刻みつけるように

「君を守ってくれる存在さえも殺したんだ、自分の手にかけたんだ!」

「長は君を許さないだろうなぁ、許してはくれないだろうなっ!」

天を見上げ嘲笑いながら、キシヌを地面に叩きつける。

壊れたおもちゃを、力ずくで動かそうとするように

長と目が合う

掠れた声で言う

「」




『相棒って知ってる?』

『お互いがお互いを信頼しあって、なんでも息があって、たまに喧嘩もしちゃうけど、それでも!』

『最後には二人で!』

『かっこよくキメちゃうんだよね〜!』




古代より、隕石は災いをのせてくるものとして忌み嫌われていた。僕も隕石は嫌いだ、当たったら痛いからな

しかしそれは、隕石の話

天を割いて現れたのは、赤い炎を纏った剣だった。

僕の目の前で、地面に突き刺さらず、静止している。

「なんだと……私が完全に葬ったはず!」

立ち上がり、その剣を握る。

「………!」

激しい炎が僕と剣を包む。

赤い炎は次第に剣に吸い込まれるように消えていった。

この剣に触れた時に、少しあたたかみを感じた。

炎の直接的な話とかじゃなくて、心があたたまっていく感じ

マズレイが僕目掛け飛び込んでくる。

光を剣で受け止める、剣を返し、やつの首目掛けて剣を振り下ろす

しかし光によって防がれてしまった。

「お前は………どこまで私の邪魔をすれば気が済むのだ!」

頭上から光の柱が降り注ぐ

全て間一髪で避け、マズレイに斬りかかる


ギィッン


「……… !」

横から割って入ったのはキシヌの槍

僕に刃を向けるキシヌの目には光が全く灯っていない

1度距離をとり、大きく息を吸う

これは一発で決めなければ、やつはこの剣に適応してこの攻撃の答えを見つけ出してしまう。

勝敗は一瞬……

キシヌとの間に妙な空気が流れる。

やつもわかっているはずだ、だからこその間合いと緊張感だ……


「「!」」


先に動いたのはキシヌだった

やつは槍を自分の体を軸に何回転もさせていた、コマみたいだ。

しかし見た目の面白さとは裏腹に強さは別格

その回転力から槍は大きくしなって動きが読みずらい上、体が斜めになっているせいで正面から向かった場合、絶対に抜けられない

『ここ以外ならね』

キシヌの槍の先端が宙を舞う。

地面に突き刺さると同時にキシヌも倒れ込む。

回転の隙

頭を直接殴った。

シンプルな答えだが、これが最適解だろう

気絶したコマは回転力を失い、スピードがゆっくりと落ちる

そこ瞬間に槍を切り落とす

「……」

しかしさっきの声は……

「………仕方ない」

声の主、マズレイは空中に高く飛び上がり光の柱を顕現させる。

それもさっきの比じゃない

この街全てを覆う大きさ

これが落ちる前にやつを叩く

「これで貴様らもおしまいだ!!」

家の壁を蹴って上に上に、マズレイに近づこうとするが

「………!」

光が視界を覆い尽くす。

これは……ダメだな……

「!」

なんて言ってられるか!

もうちょっと頑張ってくれよな!

剣をギュッと握る

僕の気合いか魂か、何かわからんが、強い何かと共鳴して剣が赤く、巨大になる。

切り裂いて、跳ね返してやる!

「…………!」

なるほど、そういう事か

背中から力が伝わってくる。

熱く、必死な願い

「願いや信仰心が力になる」っていうのはこういうことか

願いに呼応して剣がより大きく、光を押し返していく。

「……!」

ついに光を完全に跳ね返す。

しかし向こうにマズレイはおらず、周囲からも気配を感じない。

あ、だめだ

急に力が抜けて……

体が地面めがけて自由落下を始める。

羽も手が痺れているのと一緒で、全く言うことを聞かない。

「ジノっち〜〜〜!!」

エリナさんの可憐な声が空まで届く。

車直ったんですね……

ん?

あれってクッション?

目に映った車の上部にはクッションが括り付けられている。

え?

あれに落ちろってこと?

意外と雑というか辛辣……


ボスン


着地成功……

いや、痛いけど

「ジノっち〜〜!!」

クッションに飛び乗って僕に抱きついてくる。

それも顔をグリグリしてくるやつで

「……」

「あぁごめん……」

ちょっとエリナさんを剥がすと、すごく物悲しい顔をする。

なんでそんな顔するんですか…………

「え?いいの?」

両手を広げエリナさんのハグを受け入れる。

さっきより力強くね……

「もう…心配したんだから……」

エリナさんの顔は見えないが、きっと………

「…………」

「…………」

お互い無言のまま、時間が過ぎてく。

ボディタッチの多いエリナさんだが、未だに慣れない……

今回は特に……

「なんか…ドキドキしちゃうね」

「っ……」

顔を少し離して照れくさそうにはにかむ

こういう所、ほんとだめだと思います……

「それじゃ、行こっか」

エリナさんは立ち上がり、手を差し出してくれた。

「……」

 エリナさんから紙とペンを受け取る。

「えっ……」

エリナさんにも長の身に何が起こったか話してから村の中心に向かう。

「…………」

そこには大勢の国民が集まっていた。

「…………ジノンさん」

キシムさんさんは群衆の中にいた僕を見つけて、群衆の中心へと引っ張った。

そこには横たわる二人がいた

1人は柄の切れた槍を持った男

もう一人は

「…………」

「はい、もう死んでいます……」

淡々と話すキシムさん、しかしその声は震えている

「不甲斐ないです」

「…………」

「俺がもっと強ければ、俺が兄者みたいに強ければ……」

拳を強く、強く握りしめ泣き出すキシムさん

「……?」

「……......あ、はい……兄者は一応息はあります」

良かった

勢い余って殺してしまってないかと不安になったものだ

でも、生きていたのでOKです

辺りを見回すと皆、涙を流したり、長に向かって合掌をしたりと、この国全体が喪に服している状態だ。

部外者が色々口出しするのは違うと思うのだが、色々と首を突っ込みすぎたせいか、キシムさんさんに呼び止められ、後で宝物庫に来るよう言われた。




依然として村の中心では灯がともり、長の死を悲しむ声が所々で聞こえた。

宝物庫のドアを開けるとキシムさんとキシヌさんが立って待っていた。

「……......」

「あぁ、ほんの数十分前に目を覚ましたんだ」

「......すまねぇ」

「……......」

「俺自身もさ、弱いこと言っちまうようで悪いんだが、頭がもやもやしたままなんだ、水中にいるような、雲の中にいるような、おぼろげな中、長を手にかけた、お前にもたくさん攻撃した。」

実際に手にかけたのはマズレイだが、催眠の効果だろう。

「ごめん......今はこんだけしか言えねぇ」

「............」

頭を下げるキシヌさん、頭を上げてとキシムさんに伝える

「頭下げてちゃ、名に書いてあるか見えねぇもんな」

「兄者、そろそろ」

「あぁ、わかった」

二人はほうきを一本ずつもち、倒した

すると床が向け、階段が現れた

これどこみても糸とか、仕掛けが回ってる音が聞こえないんだけど

直でつながってるってことなのかな.........

三人は階段を降りて縺医ユ。隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺の前についた。

そしてすぐに違和感を感じた。

光っている。

なんか付いてる

花を咲かせているように、周りに幾何学模様の物体が元あった物体を中心に回っている。

「.........」

「あぁ、これを見せたかったんだ」

「いつからこうなったんだ?」

「戦いが終わってすぐに、宝物庫が一瞬光ったんだ、それで長を側近に任せてから入ったんだ」

「そしたらこうなってたと.........」

これって前にモルガンレさんに見せてもらった本にかいてあったのとそっくり.........

これが縺医ユ。隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺の本来の姿.........

「これってどうなるんだ?」

確かにこのロストパーツがどんな効果があるのかはモルガンレさんも話してなかったな

「触ってみたらどうなるかな?」

「危険だよ兄者!」

「え~ちょっとだけじゃーん」

「それは明日モルガンレさんにも来てもらって色々聞いてもらってからだね。」

「.........?」

「そ、それは.........何か知ってるかな~って」

「.........そうか、サンキューな」

そう言うとキシヌさんは僕の手をつかんで宝物庫を出ようとする。

「なんていうかよ!」

僕は勢いよく後ろに投げ飛ばされた。

目を開けると、キシヌさんとキシムさんがつばぜり合いの状態になっている。

「ちぃっ!!」

「立てるか」

「.........?」

「あいつ、キシムじゃねぇ、正確に言うと、操られてる。」

「さすが兄弟だ、誤魔化しきれなかったか」

「お前あれなんとかできる?」

「.........」

静かに首を振る

残念だけど浄化技は持ち合わせてないな.........

「ま、しゃーねーな」

「さぁ!肉親の弟を切れるのかな?」

キシムさんが剣を突き立てたまま、こっちへ向かってくる。


「できるよ」


刹那、キシムさんの体が地面におちる。

「誰だか知らねぇが、俺たちが兄弟の刃で死ぬ分けねぇんだよ」

どうやらキシムさんは気絶しているらしい

ペンと紙を取りキシヌの問いかける。

「ん?あ~それはな、さっきのお前が来た理由もそうだったが、階段だな」

「?」

「あいつ、来賓の方々に隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺を見せるときに、隠し階段の仕掛けを必ず見せて満足そうな顔するんだよ、あいつも意識してないんだろうけど顔に出てるんだよ、けどさっきのあいつはそれがなかった。それだけだよ」

す、すごいな.........

「ちょっとついてきてくれねぇか?」

キシヌの問いかけに反応する。

「あ~一応外だしとくか」

僕は腕を、キシヌさんは足をもってキシムさんを宝物庫の外に出す。

そして宝物庫の屋根に上がる。

「この国を見てどう思った?」

「.........」

「ははっ、なら良かった、そういや名前聞いてなかったな」

「.........」

「ジノンか、少し俺の話聞いてくれよ」

屋根の上に寝そべり、星を眺めながら話をする。

「この国の人間って優しいよな、だって長殺したんだよ?けど目を覚ましたら、みんな俺をみて涙をがなすんだよ。「心配した」「目を開けてよかった」っていうんだよ、だって長って国のトップなんだぜ?それをこの国でそこそこえらい奴が操られて殺すってやばいだろ?長が俺のことをどう思ってるかわからねぇが、俺が次期長にふさわしいっていう声を耳にするんだ。俺は俺よりキシムのほうが性にあってるし、長を越えられるというか、ふさわしくないんだよ」

ひとしきり話したキシヌさんは立ち上がり下で寝ているキシムさんを抱きかかえた。

「悪いな、旅の人にいろいろ言っちまって、明日モルガンレを連れてきてくれ」

そういうと町の暗闇の中に溶けて見えなくなてしまった。

キシヌさんの心内を聞いた僕は、どうしてもやるせない気持ちになりながら長の言葉を意味を探しながら歩いた。




「おかえりなさいませ」

モルガンレさんだ。

家の前で座って会釈してくれた。

よく見ると顔や服が黒い煤や汚れがついている

「.........?」

「いえ、たいしたことではないのですが...あちらです」

モルガンレさんが車の後ろのほうを指さす。

そこにはブランケットをかけて眠るエリナさんの姿があった。

「あなたと別れてから、すぐに車の修理に入ったんですよ、無理に走らせたんでしょうね」

あの時は完全に直ってなかったのか...

「「ジノっちが帰ってくるまでに終わらせるんだー!」と言ってきかなくて、あれはかわいかったですねぇ.......あ、言ってはいけないんでした」

これ絶対わざとだ

顔は煤で汚れているが、表情は健やかできれいな笑みを浮かべていた。

とりあえずエリナさんを抱きかかえ、ベッドに移す

そしてモルガンレさんさんに明日宝物庫に来るように言って眠りについた。





朝から宝物庫の中はにぎわっていた

いや、一人だけ盛り上がっていた

「これが隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺の真の姿.........あぁなんと神々しい...伝承や挿絵と瓜二つ...なんどみてもあぁ…美しい、これはどういう仕組みで浮いているのか、これはどうやって輝きをだしているのか、謎が深まるばかり.......」

「.........」

「..........」

「..........」

「..........」

僕ふくめ、エリナさん、キシムさん、キシヌさんもあきれている。

「..........?」

「それですね、すみません私としたことが気を抜いていたようで..........」

首をさすり、恥ずかしそうに告げるキシムさん

やっぱり操られていただけか

「失礼しました」

急に興奮していたモルガンレさんに冷静さが戻ってきた。

なんだこの切り替えの早さは

「このロストパーツの詳細ですよね、この隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺には『知識を奪う』能力があるんです」

「知識を」「奪う?」

「えぇ、この『白紙我骨格本』の『知識を食らう怪異』にこのような挿絵が描かれています」

モルガンレさんの指さすページになは隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺とそっくりな花が描かれている。

「さらに説明には『食らった知識を消化するために、その知識量に応じて睡眠する』とも書かれています、こっち、前の隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺そっくりですね」

「それって、前の文明の知識を全部食べちゃったってこと?」

「おそらくは、そして昨日その消化がおわり新しい知識を欲している状態でしょうね」

「つまりよ、」

「私たちの祖先は知識を喰らう化け物を代々守り抜いてきたということですか..........?」

モルガンレさんは静かにうなずいた。

それを見たキシムさんは頭を抱え、キシヌさんは口を開けたまま動かない。

まだ状況を呑み込めていないようだ

「..........?」

「それについては何も書かれていません...」

流れる沈黙

それはそうだ

二人は守ってきたものが化け物まがいのものなのだから

落胆や戸惑い、様々な感情が渦巻くのは当たり前だろう

「この知識を奪うってどうやって......どうやって奪うんだ」

キシヌさんが口を開く

「それは..........」

「兄さん..........?」

「大丈夫だ、お前の想像するようなことはしないさ」

キシヌさんは床に座り込み、隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺を見上げた。

「!」

すると隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺が急に浮かび上がった。

僕とキシヌさんはとっさに手を伸ばしたが届かず、隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺は階段を昇って行った。

「やべぇ!」

キシヌさんと僕は急いで階段を上がり、隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺を探した。

「あそこだ!」

キシヌさんが走り出した方向には、確かに隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺が宙を浮いていた。

キシヌさんが走って追いかける。

後を追うように僕も走るが、花もキシヌさんも速すぎる..........

追いついたのは町の中心部になってからだった。

長の遺体の隣で困惑した表情のキシヌさんがいた。

「..........?」

「あー...これなんだけどさ」

長のほうに目をやる。

長の遺体には隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺が刺さっていた

さっき見た隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺よりも少し輝きが増しているような..........気がする

「これって!?」

遅れてやってきたエリナさんとモルガンレさんとキシムさん

車より僕速かったの?

「それよりも長これ大丈夫なの?」

「刺さってますね..........」

「刺さってますよね..........」

長の周り5人集まって首をかしげる。

すると花が刺さった状態の長が宙に浮かびだす。

「!」

そしてそのまま動き出した。

「......」

「え?」

キシヌさんが走り出し、みんな状況を理解しそれぞれ長を追いかける。




追いかけ続けて15分後

木の柵を越えた先にある森にたどり着いた。

「......!」

「おぉ...ジノンか、見てみろよ」

キシヌさんが指さす方向には、長が横たわっていた

「花はさっきからこの木の周りをぐるぐる回っててよ、俺わからねぇよ...」

頭を抱えるキシヌさん

確かにゆっくりではあるが木の周りをぐるぐる移動している。

「これはモルガンレが来ないとわからんな」

僕は一度当たりを見まわしてから、キシヌさんの隣に座った。

「お前って、すごいよな」

「?」

「いや、洗脳下にあったとはいえお前のこと本気で殺そうとしたんだぜ?」

そういいながらメモ帳とペンを渡してくれた。

そういうところなんだよなぁ

「ん?どこがだよ」

「おい、教えろって!おい!」

キシヌさんは僕に自白させようと、おなかをくすぐってくる。

「~~!!」

奥のほうから車のエンジン音が聞こえてくる

「ちっ、時間切れか、お前全然効かないな」

助かった..........

声が出ないだけで、くすぐり自体はめちゃくちゃ効いてた。

「兄さん!..........ここは?」

「知るかよ、隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺ならあそこで飛んでるぞ」

「確かに飛んでますね」

すると隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺が落ちた。

動きが消えるというか、フッと落ちていった。

「あ、落ちる」

地面におちる寸前で、後ろから猛スピードで隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺を回収するモルガンレさん

「セーフ!!!」

見事キャッチに成功したのだ

しかし、隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺は無情にもモルガンレさんの手の中でチリになって消えていった。

「ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

モルガンレさんの悲壮的な声が森中をこだまする。

「まぁドンマイ..........」

木の前で絶望するモルガンレさん、それをなだめるキシヌさん

ふと上を見ると木に何かが生っている

僕が指をさすと、キシムさんと一緒によく見てみる。

それは薄桃色の丸みを帯びた、少しい大きな果実だった。

「モルガンレさんこれ何?」

「うわぁあぁあぁ..........え?」

泣き叫ぶモルガンレさんがゆっくり立ち上がる。

果実に近づき、恐る恐る手に取る

「これは..........」

そして本のページを忙しくめくる。

そして最後のページをめくり切り

「わかりません」

そう答えた

「こんな果実俺も見たことねぇな」

「そうですね、国の外とはいえまだ知らない果実があったんですね」

「どうすんの?食う?」

朝からトップスピードで走り回っていたキシヌさん、すこし空腹気味

「兄さん...それはさすがに..........」

「食べてみましょうか」

「ほんとですか!?」

真剣な表情でモルガンレさんがいう

「上を見てください、これに似た、というか同じ果実がたくさん実ってきています、一つ毒見や隕九贏巍峨?閼諤タラ甕麑ケ嘛※娜駢縺が関わっているということも考えて食べてみましょう」

「やりぃ!、んじゃちょっと待ってろ」

腰からナイフを取り出し、人数分に切り分ける。

「おぉ」

しかも空中で

「んじゃまず俺から、俺の身に何かあったら食うなよ」

「わかってますよ」

そして何の躊躇もなく果実を口に放り入れた。

「..........?」

「うん..........なんていうか、味は薄い...?」

ちょっと期待していた反応でなく残念だが、危険性はないようだ

キシヌさんに続いてみな果実を食べていく

たしかに果実自体はとてもみずみずしいのだが、みずみずしすぎるというか、水分が多い分果実本来の甘さというのか、味が薄れてしまっているという感じだ。

「あんまりだね」

「相変わらずエリナさんはざっくり言いますね」

「えへへ」

エリナさんが照れくさそうに頭をポリポリかく


どさっ


突如キシヌさんが倒れた

僕らに緊張感が流れる

「これってやばいやつ?」

「..........」

「皆さん急いで吐き..........」

キシヌさんに続いてキシムさんも…

「ーーー!ーーー!」

エリナさんが肩をたたいて何か言っている

しかし僕の脳みそは何も受け付けてはくれない

そのまま地面に倒れこみ、瞼が閉じそうなのを必死で耐える。

これ、本気でヤバイ......

モルガンレさん..........エリナさん..........







「これでいいのかな?」

「初めまして、未来の英傑たちよ」

「私は『クリスド.・アラン・レウンダ』、科学者をやっているものだ」

「いま私は君の脳に夢のような形で君たちに語りかけている、情報を教えるだけの一方的な形にはなってしまうが許してほしい」

「おそらく君達が食べたのは『モリガミの実』いわゆる知識の実と呼ばれるものだ」

「この実は前の宿主の知識を保存、複製し、新しい知識を携え果実に戻る」

「つまりこの実には私たちの知識が詰まっているんだ。」

「宿主が私たち人間、私たちの知識を保存、複製し、君たちに届けている」

「ここまでは理解できたかな?」

「といっても伝わらないか、」

「じゃあひとつづつ話していくね、まず『なぜ君たちのことを認識できているのか』ということからだね」

「これ実際に話しているんじゃなくて、ビデオレターのようなもんで、この情報も一方的なものなんだ」

「んで迫る厄災のため、後世のためにこの『知識』をのこしたんだ」

「どうしてわかったのか、それは未来がわかるようになったからなんだ」

「これはぼくたちの発明で、本当に未来が見えるようになったんだ」

「そしてその未来では、来年にもこの国は一度滅びる」

「そして君たちが好みの秘密を解き明かす、それを知ったからこうやって『知識』を残しているんだよね」

「厄災、これは僕たちが呼んでいるんだけどね、今我が国は戦争の真っ最中だ、同時に三か国に攻撃を仕掛けるんだなんて、トップはこの国で一番頭が悪い」

「ともかく来年には四か国目が参戦し、完膚なきまでいフルボッコにされて、一度この国は亡びるだろうね」

「僕らは科学者だ、やつら軍人や政治家は可能性の話をそうやすやすとは信じがたい」

「この四か国参戦も最近見えたわけじゃない、半年以上前だ、」

「ほんとバカだよねぇ、自分たちの都合のいい未来しか見ようとしない」

「あぁ、ごめんね、話からずれちゃった」

「この国はモリガミから生る知識の実を食べて国中の人々は全員が知能指数が高い状態からスタートします、つまり最低基準ですね、そこから上げることは可能ですよ、かくいう私も最低ラインが10だとするとおそらく18ぐらいの知能指数でしょう」

「この国が「知識の国」とよばれる所以は間違いなく知識の実を食べたからで間違いないですね」

「だから科学技術は瞬く間に発展しました、しかし人間知識だけでは動いてません」

「感情、性格というものがあります、野心が強い者、考えが姑息な者、陰湿な者、多岐にわたります」

「しかし知能レベルは同じ」

「これほどめんどくさいことはありませんでしたよ」

「そして一昨年、あるカリスマ性を持ったものが、トップになり、近くの国を攻撃し始めたのです」

「このころには科学技術も最高潮に達しており、毎週新型の兵器や、電化製品や、発明品が生まれていきました、その時に作ったのがこの未来が見える機械」

「私の最高傑作であり、最大の失敗作です」

「いま私が持っているこのタイプはバージョン8.5なのですが、トップが使用したのはバージョン2.0のおんぼろです」

「このおんぼろがいけなかった、戦争が勝利で終わる未来を映し出してしまったのです」

「国一番の頭脳が言っているのだから違いない、とそこから乱暴のまま、せっかく最高基準の頭脳をほったらかしにして、機械の言いなりになるなんて」

「とまぁ一通り話したかな?」

「まぁわからないことがあったら目が覚めてからすぐに言ってね、」

「それをこの機械が読み取って過去から知識の実を通して、何か教えるよ」

「どれ食ってもいいように歴史介入させるから!」

「んじゃ最後にこの知識の実についてだけど」

「なんにもわかんなかった!!」





「!」

地面だ

あの男はもういない

ゆっくり立ち上がり、周りを見回すと僕と同様つばの悪い顔をしたままあまたを揺さぶっている

「変な夢見ちまった..........」

「兄さんも…?」

「え?あの男がペラペラしゃべってるやつ?」

「!」

「本当にあの男の知識が流れ込んだんでしょうね」

すこし状況を整理する

あまりにも会話の内容が濃すぎて、まだ正確に処理しきれていない

「なんか気になったことある?」

「あの男が正しいのなら質問を返してくれる..........」

「試しに言おうか?」

「おう、ちょっと頼むわ」

「身長は~~~!!!」

いや、質問のチョイスよ

「!」

今のって..........

「ジノンさんも感じましたか?」

「今頭んなかになんか流れてきたな」

200㎝..........

ほんとか?

「恐らくですが、さっきの実の含まれる知識に身長が追加されたことによって、強制的に知識が刷り込まれたんでしょうね」

古代技術恐るべし

それから少しの間、再び情報を処理する時間が始まった。




キシヌさんに明日この国を出ることを伝えるために、長の宮殿に向かった

入るとキシヌさんとキシムさんが何かを話し合っていた。

「お、ジノンか、どうした?」

決して邪魔するつもりはなかったのだが、キシヌさんにはどうしても気づかれてしまう。

「..........」

「気にしないでください、こっちも行き詰っていたので」

とりあえず用件だけ済ませてさっさと出よう

「そうか...どうする?」

「最悪ですが、それしかないですね」

僕の話を聞いた二人が、なにやらお互いうなずいた後、僕の両腕をつかんで椅子に座らせた。

「..........?」

「すまねぇな、ちょっとこの国のこれからのことを話し合っててよ」

「次代長を決めるのと、この国のかじ取りの方針ですね」

それを僕に..........?

「うーん..........まぁそんなもんだ」

「ごめんなさい、僕たち二人じゃどうにも決められなくて」

「一応っていうのもなんだが、この国を救った英雄なんだ、文句は出ねぇよ」

そういう問題ではないんだが..........

「この国の行く先は大きく分けて二つ」

「このまま外部とのかかわりを絶ったままにするのか」

「それとも外部とのかかわりを増やしていくのか」

まぁその二択でしょうね

「..........?」

「かかわりを増やすのは、やっぱり俺たちだけで守り通すっていうのは無理があるなって思った。」

「それにこの国も変わっていかなければいけないっていうのは、彼の知識から伝わってきましたね」

悩ましい..........

どっちの言い分もわかるっていうか、どの選択になっても国を守るっていうのが大前提だから..........

けど..........

「..........」

「..........そうか、俺たちよりはるかに頭いいもんな」

「ちょっと意見を仰ぎましょうか」

この国の舵取りはどうすればいいのかな?


「!」


「来ましたね」

「なんか情報量多くね?」

けど、決まった

「明日のいつ頃出るんだ?」

具体的には何も聞いていなかったな..........

「ま、いっか」

「それでは兄さん」

「あぁ、明日の正午、全国民をここに集めろ」





長の屋敷の前には大衆も大衆、人で埋め尽くされている

昨日にはなかった高い塔が一本、そのてっぺんにキシヌさんとキシムさんが立っている

「にしてもすごいね~」

車の鏡越しにエリナさんが言う。

エリナさんはドンマコーの集会中に出国しようという話にまとまった。

「そろそろ行こっか」

エンジンをかけると同時に、キシヌさんの演説が始まった。

『ドンマコの民よ、私は先代長ヴォルの息子キシヌである』

『長ヴォルの死から10日と少しだ、傷がいえぬ者もいるだろう、しかしここで宣言しよう』

『俺が、お前らの新しい長になる!』

『106代長はこのキシヌだ!!!』

ウゥォォォォォォォォッォォォォ

ドンマコーの雄たけびが大気を震わし、車内の僕たちにも伝わった。

「思った以上だね」

『そして!これからは新しい時代を迎える!』

『外だ』

『これからは外界の世界に目を向ける時代!』

『昨日のマズレイの件、あの惨劇を、紅蓮に染まる木々を、』

『しかし、救ってくれたのは外界の人間、これまでの常識ではこの国はマズレイの手に堕ちていたであろう』

『これからは外との交流を増やし、再びあのような厄災に見舞われても、自分たちの力だけではなく、手を取り合い、厄災に立ち向かい、打ち倒すほどの力を!』

『反対する声も当然あるだろう』

『それをすべて聞き入れて、ともに歩んではくれないだろうか』

少しの静寂

「誰が文句なんて言うかよ!」

一つの罵声

「長がいってんだぜ!」「文句なんてねぇよ!」「外界とか楽しみ~」「わしら、この命尽きるまでお供しましょうぞ!」「できることならいくらでも言ってくれよ!」「俺たち仲間だろ!」

大きな罵声になってキシヌの胸を熱くする

「お前ら..........」

『ありがと..........ありがとよ!!!!!!』





入って(突き破って)きた門とは反対側の門

出国の手続きはあっさり終わった

「数日ですがお世話になりました」

「いえいえ、感謝したいのはこっちですよ」

モルガンレさんと向かい合ってお互いに頭を下げる。

「モルガンレさんはドンマコーに残るんですよね?」

「えぇ、ようやく使命を果たせそうです」

車に乗り、エンジンをかける

モルガンレさんに手を振り門を抜ける。

ゆっくりと門が視界から小さくなっていく。

「疲れたね」

「..........」

「はははっ、それもそうだね」

窓を開けるとからっとした風が車の中を満たす。


ドドドド


「..........?」

風に乗ってなにか音が聞こえる。


ドドドドドドド


「ん?」

エリナさんも気づいたようだ。

音も近づいてきている


ドドドドドドドドド


ドンマコーの木々の裏から人が見える。

ひとりではない、大勢いる

「..........!」

『おぉーーーーい!!』

キシヌさんが手を振りながらこっちに向かってくる

ドンマコーの人々も後ろからついてきている

「..........!」

キシヌさんは凄まじいスピードで車に追いついた。

「よ!ジノン!」

「..........!」

「見送りぐらいさせろよな~」

「キシヌさん!?」

「よっ」

後ろについてきていたドンマコーの人々も車近くにやってきている。

息は切らしてはいるが皆笑顔のままこちらに話しかけてくる。

「..........?」

「それはな、これを届けに来たんだ」

一度車から降りる。

キシヌさんの手に握られていたものを受け取る。

それは小さい木片のついたブレスレットだ、大きさの割にやけに重い。

「..........?」

「これはな、この国のお守りだ、ほれエリナにもくれてやれよ」

「はぁ...はぁ...兄さん..........速いって..........」

キシムさんが息を切らしてキシヌさんの肩をつかんだ。

「おぉ、ついてきたんだな」

「まぁ、ね.............それよりそのお守りですが、手首をつけていて下さい」

「昔から勇気ある行動をするときにこれをつけるんだ」

「..........?」

「それは.........知らん」

「科学的根拠は何もないですからね」

「そんなの言うんだったらお前」

「?」

「お前も天使なんだろ?堕ちたのか知らねぇが、奇跡の力みたいなのがあるんだから文句言うなよ」

「..........」

まぁそれもそうか...

感謝を述べ、左手首に木片のブレスレットをつけた。

「うん、似合ってる!」

「あとこれも!」

後ろから少し大きな箱をもらった

中にはあの知識の実が入っていた。

「一応と思ってな、兄さんのように洗脳を受けたとしても、この果実の知識である程度はなんとかなるのかなと」

「語彙力ねぇな」

「いいんですよ、大体伝わったら」

木箱を後ろの席に置いた。

「一通りかな、ジノン」

「?」

僕の胸にキシヌさんの右手があてられる。

「マズレイを、長の仇を頼んだぞ」

言葉に対し、深くうなずき握手をした。

それから再び車に乗り込み、再び別れを告げた。

ドンマコーの人々は車が見えなくなるまで手を振っていた。

さっきまでの乾いた風がより一層心地よく感じた。


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