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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第98話、ダンジョンマスター、邪念の出すぎでやっぱり蚊帳の外





「おかえりなさいませ、ご主人様」

「ますたーやっと帰ってきた、ごはんにしようよ~」


皆の中心にいること、気取られぬよう地の文に徹していたことなどお構いなしに声をかけてくるエルヴァとアオイ。

結局みんなお迎えに来てもらって申し訳ないが、取り敢えずのところは第二ホームへ舞い戻って改めて此度のダンジョン探索の成果を発表することにする。




「さて、それでは今回のダンジョン探索についての報告をしたいと思います」


ダンジョンを攻め、楽しみ堪能するのならば。

次にいつ食べられるから分からないからとばかりにエルヴァたちが用意してくれた大量のお昼ご飯をいただいて。

早速とばかりに、今後の展望もかねてまずは探索報告を済ませてしまうことにする。



「ふむ。何か得るものはあったのかの?」

「……ッ! そうでした。自らの力を示すのに浮かれきってしまって、そもそも戦利品を回収することすら失念していました」

「だいじょうぶだよお。ぜんぶじゃないけど、げっとできたよ~。ええと、桃色くらげのゼリーと、ミイラさんの包帯とー、さびっさびの剣!」

「めぼしいものがなかったのは、そもそもがマスターのバフ魔法が強すぎたのよ。だってディーが三回も攻撃しないうちにモンスター、ほとんど跡形もなかったもの」

「実はそれ、わたしたちも同じだった。特にスーイの新魔法が使われると、灰しか残らない」

「……しょうがないじゃない。まともな探索、初めてだったんだから」


それ以前に、実質5階も回ってないのだから、はじめから取得アイテムなどには期待できないだろうとは思っていたけれど。

未管理(途中までは)のダンジョンであるからして、まだ見ぬお宝を手に入れたかったという気持ちも分からなくはなくて。



「まぁ、元々深くもぐるつもりはなかったからなぁ。目的にしていたダンジョンに繋がってしまってなければ改めて潜り直す所だけど、他の探索者もいなかったし、恐らく本来の入口とは別のところから入り込んだんだろう。『ユキアート』のダンジョンのように、ここのダンジョンにもルール……探索許可が必要かも知れないからってことで一旦戻ってきたってわけ」



戦利品があるとするならば。

やはりみんなの頼もしさがよくよく知れたことだろう。



『異世界への寂蒔』は、パーティーでの攻略は中々にむつかしい仕様になっている。

(例えば、1階に降りたその瞬間、初期装備扱いのものと同じ扱いのふところマスコットチューさん以外はばらばらにされてしまったりする)


だが、今回の目的地であるピラミッド型のダンジョンはフルメンバーで行動できるかもしれない。

一応、俺の能力限界として、テイム出来た魔物たちは、最大10人まで連れて行けるので、

もしそれでもいいなら本番はみんなで一緒にダンジョンに挑戦するのもありだろう。


……そのついでに、みんなでレベルアップしちゃおうか、などと。

性懲りもなく邪念を抱いてしまったのがまずかったようで。




「それじゃ、改めてこれからリィアラさんの友達のダンジョンに向かうんでしょ? またメンバー決めしないとね」

「第二ホームの維持管理も必要じゃしのう。こちらのモンスターはともかく、ダンジョンと間違われるというかダンジョンではあるんじゃが、知らぬ者たちがいたずらに足を踏み入れんとするのもしゃくじゃしの」

「うん。次こそはって思うけど、のん、ダンジョンの様子はどうだった?」

「ここのダンジョン? おねえちゃんなら大活躍できると思うよ~。あんでっとさんばかりだったし、かいふく魔法むそー!」

「ああ、そう言えばそうだったな。それは確かに見てみたいと言うか、フェアリは今回必須かな」

「……よっし」



それはいいことを聞いたね、と。

たおやかに微笑むフェアリ。

彼女は種族的に成長しやすく、素の攻撃力だけとっても侮れないが。

やはりなんと言っても回復魔法。

あらゆる意味合いをもって、際限なしに使えるというそれは。

アンデット、ゴースト系のモンスターに覿面。

回復する量だけダメージを受ける形となるので、回数も範囲も最大級ならばこそ、フェアリの無双っぷりが目に浮かぶようであったが。



「なれば私めは待機となりますね。フェアリ殿のさわりとなるわけにはいきませんし」

「……あっ、ううん。大丈夫だよディー。ディーに影響がないように範囲指定すればいいんだし」

「む、そうなのですか? これは早とちりを」


そう、元よりディーはリビングアーマー、ゴースト系の魔物である。

回復魔法はダメージとなり、自己再生のような能力もないため、ディーの回復担当は俺になるんだろう。


故にさっきまでもほとんど暇していたことであるし、特段問題はないと。

みんなで俺を囲んでもらって、行軍しても構いませんよと口を開くよりも早く。



というか、行くのが確定している俺自身はお話し合いのメンバーには含まれてはいないらしい。


そんな俺の口を塞ぐように。

次は私の番だとばかりに。

真っ白もふもふを全面に押し出してきたのは、シラユキで……。



    (第99話につづく)








次回は、2月25日更新予定です。

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