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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第96話、魔王、やっぱりどちらかというと探索者より思考




アンデット系が中心であった、モンスター達を一掃したことで露わになった6階への階段に向かっていったディーとピプルは。

しかしそのままの勢いで入っていくことはなく、何やら覗き込むような仕草を二人してみせた後、行きと変わらない速度で舞い戻ってくる。


 


「主殿っ! 多数の魔物が犇めく気配がいたします!」

「たぶん、上から落っこちてきたの、みんな集まってる」

「ふうん。この階層にあったモンスターパレードより規模が大きいのかしら」

「うん、たくさんいる。倍くらい?」

「なるほど。特に消耗していないし向かってもいいんだけど……あ、そうだ。さっき自然のものから明らかに切り替わってたよな。ここがリィアラさんの言っていたお友達のダンジョンだとしたら、他の探索者のはいそうかな?」



マップはフロアごとの表示なので。

今のところ5階には俺たちしかいない事しか分からない。

それでもここに留まっていれば、新たなモンスターも湧いてくるだろう。



1階から3階の天然っぽかったダンジョンはともかくとして。

今までのダンジョンと比べても人の気配がしないのは、少々疑問ではあった。

この世界へ来たばかりのマイダンジョンのように、魔王が独り占めでもしていたりするのだろうか。



「のんが飛んでみてくるー?」

「ああ、うん。ここのダンジョン、階段下ったら戻れなくなる感じもなさそうだし、ちょっとお願いしようかな」

「それならあたしもついていくわ。ヴァーレストの魔法を使えば飛べることがわかったし」

「うん、スーイちゃんいっしょにいこー!」

「いつの間にやらレベルアップしてるんだもんなあ」

「ふふん。当然よ。さっきも言ったけど、カムラルの魔法だって覚えたんだから。ガイゼルの魔法以外でも、使おうと思えば使えるわよ」


厳密なこと言ってしまうと、スーイが元々扱えていたものはどっちかと言うとスキルで魔法ではないはずなのだけど。

その辺りは突っ込むのも野暮ってやつなんだろう。



「よし、改めて二人に偵察をお願いするよ。……そうだな、15分経っても戻ってこられないようなら、俺たちも続くから」

「は~い!」

「わかったわ。それじゃあ行ってくるわ。……【ヴァーレスト】よ!」



モンスターが多くいると言うのならば。

4階にあったような、フロア全面落とし穴、なんて理不尽なトラップは流石にないだろう。

そんな風に思い込んで、同じようなトラップにかかってしまうことは。

ゲームとして楽しんでいた頃のテイムモンスターならばよくよくありえることだったかもしれない。


だけど、当然のごとく彼女たちは違う。

トラップを発動させてしまうことの少ない中空移動を選んでいる時点で安心して任せられるというものだろう。

まあ、マイダンジョン……『異世界への寂蒔』だと、そう言った意思、心があるからこそ失敗につながるなんて場合もあったりするので。

安心はしつつもいざとなったら呼び戻す準備はしていたわけだけど。



「すみません、主殿。まだ見ぬダンジョンを発見したと思ったのですが、ここは元より目的としていたダンジョンなのでしょうか」

「いや、うん。1階から3階まではディーの言うように未発見のダンジョンだったんじゃないかな。恐らく、その天然のダンジョンに、このピラミッド型のダンジョンが繋げられたんだと思う。

ダンジョンマスターのダンジョンを拡張するスキルでね」

「成る程。であるのならばある程度この先の状況が把握できましたら、一度お戻りになられるのですか?」

「このまま進むと、みんなずるいって文句言う」

「そうだなあ。『ユキアート』のダンジョンみたいに潜るのにも許可が要るかもしれないし、他の探索者がいてもいなくても、正規のルートがあるのならばそちらから入った方がいいかもしれないな」


例えば、マイダンジョンならば誰でも入れはするけど。

ひとたび潜ったのならば15階に到達しなければ脱出できないとか。

着の身着のまま(基本扱いの装備は持ち込みオーケー)レベル1から始まる、といったルールがある。


魔王的に言えばそんなルールだなんてって思うかもしれないけれど。

ルールを守って挑戦した方が、心身ともに楽しめるのは確かだったから。


ここは予定通り一旦戻ろうかな、なんて思っていると。

15分経つよりも早く、ヴェノンとスーイが戻ってくるのが見えた。




「ごしゅじんさま~。ぞんびーさん、まみーさんたくさんいたよー!」

「やっぱりここ、アンデット系が種の、ピラミッドタイプのダンジョンで間違いなさそうね」

「他の探索者さんは、いたかい?」

「んー、死んじゃったひとはいたかも」

「そうね。ゾンビやゴースト達が着ていた服は、探索者らしかったわ。やっぱり他の魔物たちや罠にかかってアンデッドになってしまったんでしょう。とはいえ、少なくとも生きている探索者の姿は見当たらなかったわね」

「ふうむ。確かに階段を抜けた来る人も全然見なかったし、探索休止中なのかな。あるいは本当に魔王が独り占めしているのかも。実際、『ユキアート』はどこのダンジョンにも人がいないってことはなかったしなあ」


どこぞの、つい最近までダンジョンを独占していた魔王のとこのダンジョンでさえ。

今となっては上層ではあるが探索者のみんなに解放するようになったのだ。



ここがそもそも人の少ない下層である可能性も考えて。

やはり正規のルートがあるとするのならばそこから潜った方がいいんだろう、なんて判断して……。



     (第97話につづく)








次回は、2月13日更新予定です。

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