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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第93話、ダンジョンマスター、一番重要で危険なポジションにいることをすっかり忘れる



「あっ、ぴんくのくらげさん!」

「前方……この腐臭はアンデット系統ですか、会敵します!」

 

いきなり大分天井が高くなって。

感覚的には地上に出てしまうのでは、といった高さに鍾乳石らしき連なりがさかしまに多く見える。

その感覚のズレは、正にダンジョンヘ足を踏み入れた証左で。


そんな上空からわらわらと集まってくるのは、一見するとフェアリの親戚のようにも見えるが。

そんな事言ったら失礼極まりないくらいには、リカバースライムが暖かい炎の色であるのに対して、そのくらげは死肉の色をまとっていて。



「『ヘッド・スクイーズ』に……『ガイ・ゾンビ』か!」


人型の者の頭上へ取り付き、穴という穴から色々と搾り取ろうとする、厄介で嫌なイメージしかないモンスター。

ゼリー状の体躯が死肉色をしているのは、緩慢な動きで同じく地上からこちらへ向かってくるガイ・ゾンビたちから搾り取っているからなのだろう。


ガイ・ゾンビは生前の強さによって個体差が異なってくるのではっきりとしたことは言えないが。

ヘッド・スクイーズが仮にテイムできたのならば、その先制攻撃の強みと、進化先があることもあって、けっこう有用なモンスターではあるのだが。


実力、人気とともに至高であるリカバー・スライムと違って目鼻口はないし、その食べたものが体表に出てきてしまうせいで印象はあまりよろしくなくて。

テイムするなら当然我がレギオン、みんなに相談する必要があるのだろう。

……なんて考えているうちに、またしても俺のターンは過ぎ去ってしまったようで。



「いっくよ~!」


可愛らしくも勇ましい掛け声とともに、背中正しくコウモリの翼を生じさせたヴェノンは。

迫り来ていたヘッド・スクイーズたちを迎え撃つように飛び上がり、怪しく赤く輝く手のひら……爪を一閃。

その瞬間、そのレンジで近接攻撃などとは嘘だろうと思えるくらいには中空の視界を塞ぐ程には大きい赤黒い刃が出現し、5~6体はいたであろうヘッド・スクイーズ足と胴体を分け隔て、薄桃色の粉を大いに散らしていく。



「では地上は私が。……サンテツ」


一方のディーは。

そう静かに呟いた後、全身鎧の腰に下げていた刀、ガイゼルの大太刀+11の鯉口を切る。

鋭く澄んだ金属の音とともに、居合いによって繰り出されるは、ダンジョンマスで言えば3マスぶんはあるであろう銀光が、まったくもって成す術なく(それでも先頭の一体は構えを取りかけたが)ガイ・ゾンビたちに炸裂。

それに触れたが最後、3つの肉塊となって。

そのままダンジョンに吸収されるようにして消えていく……。



「ちょっと! あたしたちの分も残しておきなさいよ!」

「そうだそうだ~」


ぞくっとして振り返れば。

紅の電撃迸らせたスーイと、それまで眠そうだった大きに過ぎる瞳をつぶらに見開いて。

今まさに瞳術を繰り出さんとしているピプルがそこにいた。



「いえ、まだですっ。途切れなく来ますよ!」

「ずっとずっと上のほうにいるくらげさんは、よろしくね~」


回復、支援に専念すると言っておきながら、それすらあまり必要なさそうで。

応援どころか棒立ちしていたのも悪かったのだろう。


今更テイムしたいからとどめは俺に任せてくれ、などとも言えず。

基本的に1匹いれば10匹はいるというヘッド・スクイーズが全滅する気配はなさそうだったから。

(ガイ・ゾンビの方は一旦打ち止めのようだ)

ディーやヴェノンたちも含めて、彼女たちの腕試し、お披露目の機会とするのだった……。





                     ※




まだ見ぬダンジョンを発見したと聞いた時。

元々の目的であるリィアラさんの友人コアのダンジョンの一部じゃあなかろうかと予測してはいたが。

そんな兆候もなく天然としたら結構深くて現在3F。


ピラミッド系のダンジョンよろしく、ゾンビやゴースト、スケルトンなども現れてはいるのだが。

基本的にはこの世界の魔王のいないダンジョンに多いという、『フード・ゴブリン』(単純な魔法を扱うゴブリン)や、『グラスホッパー』(巨大なバッタのモンスターで、ジャンプが得意)とヘッド・スクイーズといった、マイダンジョンには基本出てこないモンスターばかりであったが。


結局のところ、みんなと言うより俺自身がテイムに乗り気ではなかったのかもしれない。

なんて言うか、こりゃあなんとしてもゲットしなくてはと思うことは、会敵した瞬間分かるものだったからだ。


故に俺は、『ヴェロシアップ(倍速行動)』や『サブスティート(能力向上)』、『フィルドアップ(守護防壁)』などをみんなに使いつつ。

ごく希にガルゲ・ボウ(モンスターのテイムを補助してくれる武器)を使える機会があっても、テイムする前に倒してしまったりして。


こりゃあもう凛々しくも可愛く頼もしいみんなを相変わらず眺める作業に専念しながらも。

フーゴブのフードと杖とか、大バッタの腱とか(ヘッド・スクイーズは何も残さないのも残念な点よね)を集め拾っていると。


ようやっとと言うにはみんなを眺めているお仕事が存外楽しく。

何となく空気感が変わりそうが気がしなくもない、4Fへ向かえるであろう階段を発見して……。




     (第94話につづく)








次回は、1月20日更新予定です。

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