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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第91話、魔王、目が覚めたからこそ、無自覚に過保護な自身を自覚する



マイダンジョン……『異世界への寂蒔』ならば、失敗を数多く繰り返すことが前提で。

どうも俺は他のダンジョンに関しても同じような感覚でいたようだ。


実際のところ、我らがダンジョン外で『復活蘇生リヴァ』を使ってみて。

うまく作動したわけだけど。

もしも万が一『リヴァ』の薬を切らしていてダンジョン攻略を失敗してしまったのならばもう一度という訳にはいかなさそうなのは確かで。



ユウキの言う通り、『リヴァ』の薬を使わないのならばそれに越したことはないのだろう。

そもそもが、あえなくやられてしまったけど。

逆再生みたいに戻っていく様なんか目にしたくなないだろうし。


……などと言いつつも。

使わないように縛り、立ち回るのはあくまでも俺だけだけどね。


つまるところ、みんなにこっそり『リヴァ』の薬(もちろん『祝福息吹ブレスネス』付加済みなので一つで2~3回は復活できるはず)を、二つほど手持ちアイテム欄に忍ばせていることは言わない方がいいのかもしれないな。



なんて事を考えつつも。

これから潜るまだ見ぬダンジョンに対して、いきなり本格的な探索を始めないのは、まあ正解ではあるのだろう。

気を抜けばすぐさま即死トラップが発動して、『リヴァ』の薬がオート発動してしまうような、難関ダンジョンであるとも限らないのだ。


あるいは、今のところまでお目にかかったことはないが、『セシード(内場脱出)』のスキルが使えないダンジョンもあるかもしれない。

まぁ、それを言い出したらキリがない、とは分かってはいるのだけど。





「……うん。それじゃあ改めて明日の朝に向かってみようか。チューさんにはこれを渡しておこう」

「む? これはまたきれいな装丁の本じゃな。どのような効果があるのかの?」

「地味に初出の『引寄誘引プルニーア』のブックさ。カードならば落としたり奪われたりしたアイテムを引き寄せられるんだけど、本はもっと効果範囲が手広くて、はぐれた仲間たちを引き寄せることができるんだ」

「へえ。そう言えばいっつも使ってすぐ消えちゃうからまじまじジエンのスキル見るの初めてだな。どれどれ……って、この書かれてる字、読めないかぁ」

「ああ、使うと決めて読めるようになったら発動しちゃうからな。まぁ、そもそも俺専用っぽいんだけど、チューさんなら大丈夫だろ」


カード系や装備品タイプであるのならば持っているだけで発動できたりするものもあるが。

勝手に発動してしまったのならばおしくらまんじゅう的な天国地獄な光景が目に浮かぶので。

特に効果範囲が広くて強い本には、そういった一種のストッパーめいたものがついているんだろう。

なんて思いつつ、チューさんに使用権限を移す意味で『プルニーア』の本を一撫でしてから改めてチューさんに預けつつ。

それでは各自明日に向けて準備に入ってくれ、それじゃあ解散、なんて宣言するよりも早く。

人型に進化したばかりでみんなの話し合いから一歩引いて控えていたエルヴァとアオイがここにきてようやっとわたくしたちのターン、とばかりに口を開いた。



「ご主人様。わたくしはどういたしましょう。いつものようにご主人様の足となって同行してもよろしいのでしょうか」

「ボク、今度こそふところマスコットになりたい!」

「うーん。二人はレベルアップしたばっかりだしなぁ。俺としてはホーム、マイダンジョンでしばらく鍛えておいて欲しいかなって思うんだけど。今回は様子見でもあるから、そう時間かけずに帰ってくるつもりだしね」

「えー、せっかくチューさんがいない間にふところマスコットになれるのにー」

「わたくしも、せめてダンジョンの入口までは、と思っておりましたが……そうですね。ただでさえお姉様達には色々と離されていますし、ご主人様のダンジョンで力をまず付けるべきなのかもしれません」

「うー、うん。じゃあ、ほんとの時はボクがふところマスコットだからね」

「うむ、ならばしばらくわしは枕係となろうかの」

「でしたらわたくしはお背中をお流ししますね」

「それ「わ、分かった! 本格的に挑戦する時は……まあダンジョンにもよるが、そのつもりでふところ開けておくよ。ただし、ふところに入れるスライム形態でよろしく!」



みんなの人型が、幻夢の類などではなく。

進化した結果であることを突きつけられて改めて思い起こされる今の今までのチューさんのふところマスコット。

俺が目を逸していただけで、チューさんを抱え抱きしめていた事実は、それこそ恥ずかしくて気絶しそうではあって。

(とはいえ実際は獣型……テンジクネズミになってくれていたんだろうけれど、なってくれていたんだよね?)



そんな俺をからかうチューさん、エルヴァに続き、本当に自分を省みてはくれないユウキが何か言い出しそうだったから。

慌てて俺はそんな言葉を遮るようにして、もちふわなアオイをふところへしまっちゃうといった、ころばぬ先の杖にしかならなそうな約束をしてしまったことに遅ればせながら戦々恐々としつつも。



明日の準備、そのほとんどが心の準備になりそうだなぁ、なんてひとりごちつつ。

明日の為に一度解散、と相成って……。



     (第92話につづく)








次回は、1月7日更新予定です。

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