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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第89話、ダンジョンマスター、ひとりだけホーム着を着させてもらえず





「なになに、またジエンがエッチなジエンに変身しちゃったって!?」

「ふむ。わしのないすばでぃにあてられてしまったかの」

「くっ、暑いですっ。これは一張羅をパージせずにはいられません、すいませんっ!」

「……おぉう。どこからツッコんだらいいものか。取り敢えず俺はオールクリアの正常だけども」



ディーのヘルプを聞きつけて初めにやってきたのは。

近くにいたらしいチューさんとユウキであった。


急いでいたのもあるのだろうが、舞い戻ってきたディーが言うように温泉が近いせいなのかホーム内は暑めと言えば暑めであっただろう。

白もこの毛皮を着ているシラユキはもちろんのこと、全身鎧なディーがそう言うのも仕方がないのかもしれない。


とはいえ、皆を呼び出していったついでに着替えていたのか、元々下に着ていたのか。

ディーは躊躇なく本体かと思われていた鎧の中の人は、生脚魅惑なホットパンツにラフなシャツ姿で。

インナーと考えれば不自然ではないけれど、これからダンジョン攻略に向かうんですけど、とはツッコむべきではないのだろう。



一方で大人のお姉さんめいた呟きを漏らすチューさんは。

ユウキが胸元にてやっとこさ抱えられるくらいには大きくなっているテンジクネズミモードであった。


アイテムボックス的空間の余裕がなければ、もう懐には入れないんじゃあないのかなとは思ったけど。

基本というか本当は人型になれるからして、進化前の『獣型』の姿はある程度大きさを変えられるらしい。


ある意味で幻のようなものであったのは、今のもふもふな姿だったんだろうなあと。

ただただモフモフしていれば良かった昔は、もう戻っては来ないんだなあとしみじみしつつも。

ユウキの発したいかにも男友達同士の軽口に……なんとかぎりぎり見えなくもないセリフの違和感について考えていた。



……いや、違和感がないことこそが答え、なのだろう。

今の今までは自分のことばかりでその姿、立ち振る舞いだけでなくユウキという人物そのものを。

あるいは他の子たちのように、しっかり見ていなかったんだなあと思い知らされる。



『Wind of Trial』に出てくるヒロインによく似た少女。

似ていたからこそ、俺のこの世界へ来たことによる願い……妄想が反映されてしまったのかと。

申し訳ない気持ちにもなったけれど。


それにしてもユウキは、桜色の髪がキレイな勇者、剣士の少女として余りにも自然だった。

このような女の子ばかりのパーティーで、俺のようにテンパりすぎて気絶するほどでなくとも、戸惑ったり遠慮したりしてもいいはずなのに。

いつも蚊帳の外というか、一般的なマナーとして皆の輪から弾かれるのは俺ばかりで。


その事に対してはまあ当然だろうと思って……違和感のない見た目に騙されていたけれど。

ユウキの言い分が正しいものであるのならば、よくよく考えてみればユウキもこちら側にいるはずであるのに。


そうはなっていない、と言うことは……。





「なんだよ、ジエン。やっぱり通常モードなジエンじゃないんじゃないか? どうかしたか、そんなじまじまじと見てきて?」

「……いや。そう言えば見たところ装備内の普段着、私服? みんなお揃いなんだなあって、可愛いじゃんか。チューさんのチョイス?」

「ほほ。そうじゃろうそうじゃろう」


出るとこでてしまう見た目に反して結構守備力も高そうだ。

基本の守備力が6として、付加点が3から6といったところか。


「かわっ!? ……そうですかっ。似合っていますでしょうか!」

「おお、健康的で実にいいね! 咄嗟に動けそう。ダンスとかにも映えそうよね」

「相変わらずジエンはジエンだなぁ。まぁでもかわいいよね、動きやすいし」


思わず誤魔化すようにしてそんな事を言ったけど。

チューさんが用意してくれたお揃いの部屋着……じゃなかった、ホーム着を身に纏うことによる忌避感的なものはないらしい。

ユウキは、自身の違和感のなさに気づいていないようにも思える。

あるいは、気づいていないフリをしているだけなのかもしれないけれど。



そうであるのならば参りました、するしかないなぁと。

今は棚に上げて。

ちょうどそのタイミングで他のみんなもそろい踏みしたところで。


改めて新たなダンジョンの発見からの手始めな偵察、お試しで潜るためのメンバー選びなどのお話し合いをすることにしたのだった……。



    (第90話につづく)









次回は、1月2日更新予定です。

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