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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第85話、ダンジョンマスター、死に戻ってかたまって、第二ホームを得る




そんな俺の気持ちを知ってか知らずか。

チューさんは、不意に何かを思い出したかのように頷いて見せて。


 

「ふむ。シラユキよ。そろそろ頃合じゃなかろうかの」

「はーい。それじゃあマスター、ちょっと頭、上げられる~?」

「なっ、なぬぅっ!?」

 

と言うか必死に自分を誤魔化してはいたけれど。

やはりこのあったかくてふわもふなものに後頭部が包まれていた理由はこれかぁっ。

俺は、そんな素っ頓狂な声を上げてしまいつつも、何とか首を上げることに成功する。

 

「ふふ。ごめんね~。はい、チューさん続き、お願い~」

「おぉ、任せておけい……ぬ? シラユキよ。その場を代わるのは吝かではないが、皆を呼んで来て欲しいのじゃが。というか、傍から見るとふところ下におるというのは、中々なご身分じゃのう」

「チューさんいつもしてることだもんねぇ。ふところに陣取るのも結構楽しいかも」

「……あっ、じゃあオレ、ジエン目が覚めたってみんな呼んでくるよ」

「ちょっ、まっ。その感じだとこの状況変わりばんこな交代制で続くってこと!?」

「これ、主どの。暴れるでない。復活したとは言え、主どのの言い分を信じれば一度死した身であるのじゃろう? 大人しくしておれ」

「いやいやっ!? 今更だけど近い近いっシラユキぃ!? もふもふじゃない手で頭撫でないでチューさんんっ!」


このままじゃぁ再び『復活蘇生リヴァ』を使う羽目になってしまううっ。

っていうか、後ろ手を引かれているみたいにこっちの様子を伺いながら物欲しそうにしてるなら止めてくれよぉユウキぃぃ!


思わずそう叫んだけれど、シラユキもチューさんも状況を変えてくれる気はサラサラないようで。

こうなったら『祝福息吹ブレスネス』カードの効力すら切れてしまうほどに尊死に戻りを繰り返してしまう前に。

『レッツェン(指定催眠)』のカードでも使って自らブラックアウトしてしまおうか、なんて思っていると。

続きチューさんの少し呆れたような、柔らかい声が後ろから降ってくる。



「うぬ。やはり主どのは自覚がなかったようだの。風の膜を作り出す術ですら大きに過ぎたように、復活の術が行使された際に発動した祝福を付与する術、じゃったか? 復活の術のみに効果が及ぶと思ったおったようじゃが、どうやらそれはその術だけにとどまらなかったのだよ」

「わたしたちも含めて、この辺り一体、祝福? されちゃったみたいだよ~? 雪玉になってみんなで滑ってきた先……森自体も祝福されちゃったみたいだったから、みんなで手分けしてこの辺りを調べようって話になったんだ」

「ぬぐっ。そ、そうかぁ。『ブレスネス』のカードもマイダンジョン以外で使うの初めてだったか。ってか森まで祝福されちゃったっていうのは? ちょっと詳しく」

「うむ。もともと獣や魔物たちが多く暮らす森であるからして、ダンジョンと成る素養があったのかもしれぬが……とにもかくにも、主どのの祝福の術によってほーむ? じゃったか? どうやら我らの陣地あつかいになっているようでの」

「そうそう、特にマスターが寝ていた辺りはそれまで住んでた子たちも近寄れなくなってるみたい」

「だから人様の陣地にお邪魔してるのに俺はこんな責め苦……じゃなかった。のうのうとしてられるわけだ」


どうやら相も変わらず荒ぶっている我が能力たち……特に使い勝手のいい『ブレスネス』は。

外の世界が祝福の意味を何やら勘違いしてしまったようで。

俺が一度『リヴァ』を使ってことで『ブレスネス』の効果が俺が倒れていた場所……この森に祝福を与えてしまったようだ。


それが、俺たちのホーム……言うなれば第二ホームになったことは果たしてここで暮らす者にとって良かったのか悪かったのか。

そんな意味合いも含めて、今ここにいるチューさんとシラユキ以外は、周りの様子を見に行ってくれていたらしい。


と言いますか、俺を現在進行形でサンドしつつまったりしているお二人は、いつになったら開放してくれるんですかね。

チューさんにしろシラユキにしろこんな風にぐいぐいくるようなタイプだったっけ?


……はっ。

もしかしてそれも『ブレスネス』が荒ぶった結果なのか!?

それとも『リヴァ』の薬発動前の見せたくなかったやらかしのせいだろうか。




「ねぇマスター! 今度はわたしをふところへ入れておいてよぉ」

「なんじゃ、それはわしの役目じゃぞ!」

「チューさんは毎回やってるでしょう。たまにはいいじゃない」

「良くないわぁ! ただでさえ最近主どのその機会を与えてくれぬようになっているのじゃぞ!」

「近い近い、色々近すぎるってええぇぇぇ……げふぅっ」



どうやら気づかないフリをし続けるのも限界のようだ。

文字通りもなにもなくペしゃんこにされる勢いで二人が口論しつつサンドイッチを強めてくるから。

何だかんだで一度死んで復活したことによる疲労があったこともあって(そう言うことにしておいて欲しい)。


あえなく、もう何度目かもわからなくなってきている。

格好よく言えば夢の世界へと旅立つ機会をいただいたのであった……。



     (第86話につづく)









次回は、12月9日更新予定です。

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