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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第82話、ダンジョンマスター、使ったことのないカードを見切り発車で使ってみる




『リングレイン』の時とは違って。

勇者や魔王、コアさんにまで見送られての出立となって。



お次に向かうダンジョンの名は、『デザビア』砂漠内にあるという『アリオアリ』。

同名のオアシスのある街、その周りに複数存在していると言うピラミッドが入口となるらしい。



氷雪のダンジョンに続いて、『異世界への寂蒔』では見ない、砂漠の中のダンジョン。

いや、ピラミッドの中のようなダンジョンはうちにもあったか。

まぁとにかく、そこまでの道のりも含めて楽しみであるのは確かで。

俺たちは、『ユキアート』が麓となる山、『ユーミール』のてっぺんを目指して、一路馬車を走らせていた。



当初は、ぐるっと山を迂回して砂漠地帯のある反対側へ向かう予定だったけれど。

まっすぐ山を突っ切った方が早いと言うことと、未踏の部分も多い山だから、そのどこかに新たなダンジョンだあってもおかしくないと言った、リィアラさんのアドバイスが決定的で。



例えダンジョンがあったとしても。

十中八九、野良ダンジョンであろうといったチューさんのツッコミにも。

それなら誰かの許可を取らなくてもダンジョンに潜れるじゃぁないかと、前向き思考で早速山登りと相成った訳だが。




ある程度予想していた通り、すぐに雪と風と氷山度合いがきつくなってきて。

すぐに馬車をひいての行軍が難しくなってくる。


普段からふところが定位置なチューさんはともかくとして。


みんなして『獣型』モードの時はふわもこもふもふなはずなのに。

寒いのが嫌だったり、雪と氷ばかりで道を歩くのが億劫というか。

自らの足で歩かなくてもいい『モンスター(魔物魔精霊)』バッグの世界の中でぬくぬくしていればいいじゃない、と言う事になって。



最早ホワイトアウトに近い道行きを、好き好んで参加しているのは。

元よりバッグの中に入ったことのないユウキと。

その名の通り雪と氷の世界が好きなシラユキのみとなって。





「うぅ、毛皮装備二枚も着込んでるのに寒いっ」

「そうだねぇ。やっぱり『ユキアート』の街は暖かかったってことだよね~」

「ぬう。であるのならばふところへ入るが良いぞ。ちと狭いがまぁ快適じゃよ」

「いやぁ。さすがにちょっと狭すぎじゃない?」



一応、『プレサーヴ(収納保存)』バッグとは別に、探索者用のアイテムストレージがあって。

最近ちょっともふもふに過ぎるチューさんでも、そのストレージを利用してふところにうまいこと収まっている(ように見える)といったからくりがあるから。


実は見た目以上にスペースはあったりするわけだけど。

それじゃあオレも、だなんて言われたら困ってしまうのでそんなやりとりはそのままスルーすることにして。




「本来は矢避け石避けに使うんだけど、『ヴァル・シール(風防障壁)』のカードを使おうか。雪風ならばしっかり防げるはず」


今使わなくちゃ使う機会もそんなにないから。

なんていいわけしつつ、みんなのおしゃべりの聞き役に徹していると。


「あ、冷たい風が止んだ」

「ええー、せっかくひゃっこいのにー」


少し不満げなシラユキの言葉が返ってくる。

俺はそんな、いつでももっふもっふなシラユキを撫ぜ宥めつつも。

一応マイダンジョン以外では初めて使うカードなのでどんな様子かよくよく確認してみる。



『ヴァル・シール』は、いきなり手前味噌で解説したように、矢などを始めとした遠距離攻撃をある程度防いでくれるもので。

強力な殲滅魔法やドラゴンブレスくらいになると、そう長くはもたないだろうが。


『異世界への寂蒔』では、多種多様な遠距離攻撃の中にフレンドリーファイアも含まれていて。

モンスターパレードなどに巻き込まれた時に、敵方だけ攻撃できるように使うのが主ではあった。


逆に、同じ状況で敵性に遠距離攻撃を扱う場合、味方だけダメージを受けずに。

さらに同士打ちを誘発して敵性のレベルアップを誘発させ、経験値ウハウハになったところを狙う、といった使い方もある。



そんな解説をしつつ改めて風の透ける防壁の向こうを観察するも。

今のところはマイダンジョン内で使った感じと変わらないように思える。


とはいえ、シラユキがちょっと暑くなってきたんだけどーとぼやくように。

雪風は届かなくなってきているので、とりあえずのところはイメージ通りに発動できているのだろう。



「でもこれ、ゆっくりしてると積もり積もって前見えなくなりそうじゃない?」

「あぁ、流石にワイパー的な機能はないからなあ。でもほんとに寒くなくなったな」

「ふむ? 空気穴ぐらいはあるんじゃろ? 窒息とかせんじゃろな」

「もうあっつい! はやっ。脱いじゃうよ。脱いじゃうからね!」

「っ、よし!? 急ごう! 進めば空気も入れ替わるっしょ!」



もしかしなくとも今までシラユキの自前だと思っていたのは装備品のもふもふだったのだろうか。

そうであるのあらばいつか夢幻で見たスク水スタイルがあらわになってしまうのかと。


それはいただけけませんなと。

(寒々しい光景が広がってしまう、と言う意味で)

さっさと空気を入れ替えるためにと山登りを再開することにして……。



    (第83話につづく)









次回は、11月21日更新予定です。

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