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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第80話、魔王、さいごに俺の傍に居れば良いムーブしていたことを反省する





リィアラさんとしては俺たちを体よく厄介払いしたい気持ちもあったのだろうが。

最近音沙汰のなくなっているという友人コアの存在が気にかかっているのも確かなのだろう。


リィアラさんのように、連絡を取れるような同年代コアの存在がいないことに地味に凹んでいたチューさんも、

気を取り直して新たなるダンジョンへ向かうことを推薦されたことに対して何故かドヤ顔浮かべつつ口を開く。




「ほほう。それはとっても素敵な提案じゃの。だかいいのかのう? 聞いた感じ歯ごたえがありそうなダンジョンじゃし、ひとたびうちの主どのにそのような許可を与えたのなら、楽しみ尽くした上に攻略されてしまうかもしれぬぞ?」


 

しかしよくよく考えてみたら。

それは、本来ならば魔王とダンジョンコアな俺たちではなく。

その友人コアさんのダンジョン担当である勇者さんに与えられるべき権利であるのだろう。

 

しかもそれを、うまいこといけば攻略、踏破してしまうかもしれないよそ者に与えてしまうのは大丈夫なのかと。  

俺の気持ちを代弁してくれたチューさん。

するとリィアラさんは、何やらきょとんとしてみせて。


 

「え? だってジエンさん、魔王や勇者を倒したりコアを破壊したりとか、そのようなつもりはないのでしょう?」

「うん? いや、まあ。ダンジョン内でのボスバトルにはそれほど優先順位が高くないのは確かだけどさ。うちのダンジョンはボス倒さなくても攻略できるし。まあ、ダンジョンの攻略条件がボスや魔王を倒さなくちゃいけないってのなら少し考えるけども」


そもそも、マイダンジョンである『異世界への寂蒔』は探索メイン、階層踏破が目的で。

出現するモンスターと戦うとしても、レベル上げ目的やアイテム奪取、あるいはテイム目的が主で。

別に必ずしも戦わなくてはいけないわけでもなく。


敢えて上げるのならば開幕(階段を下りてすぐ)モンスターパレードに巻き込まれて仕方がなく、といったものが多かった。


『ユキアート』のダンジョン、『リリー』だってどこの階層に飛ばされるかわからないスリルを楽しむ感じで。

元よりリザヴェートさんとミゾーレさん専用の物語の舞台のようなものだったので。

攻略踏破すると言うよりも、それらを見て楽しむ感覚の方が強かったのは確かで。



どうやらお次のダンジョンはトラップメインのピラミッド型のようであったけれど。

モンスターや魔王、一周回って探索者(勇者)と争うようなことがメインであるのならば吝かではないというか。

それならばそれで仕方がない、という部分は確かにあって。



「ええっ!? そ、そうなのですかっ!? それじゃあ私、友を売るコアでなしになってしまうじゃないですかぁっ」

「あぁ、そう言うことなら攻略せずに体験だけで済ますよ? 罠メインのダンジョン体験も、嫌いじゃないし」

「ほんとですかぁ!? 頼みますよう。いきなり魔王さんに変身して私の友達に襲いかかったりしないでくださいね!」

「なに、そのあたりは任せておけ。たとい主どの本性があらわになったとしても、受け止められるだけの頼もしい家族がおるでの」

「いやまあ、確かにあの時のジエンすごかったけど。っていうかその家族の中にオレも入ってるよね?」

「もちろんじゃぁ」

「ふふ。ご主人さまを受け止めるのはぼくひとりでも、とは思うことはあるけれど。やっぱりみんなで同じ時間を共有できるのは楽しいよね」

「……うーむ」



そんな、いつものメンバーなみんなのやり取りを聞いていると。

やっぱりそこはかとなく不安な空気(俺的に)が漂ってくるんですけど。

 

俺の誤魔化し半分なおぼろげな記憶では、魔王化? するとイケイケな俺様キャラになって。

ダンジョンのお宝、アイテムを欲しがったり、とにかくレベルアップをしたくなってしまって。

ドーピングレベルアップアイテムを使いたがって。

出現する野生のモンスターですらお構いなしに進化させようと画策し、持っている経験値をたくさんにしたり。

かと思えば、少しでも気に入ってしまったら、野生のモンスターであろうがNPC(コアも含む)だろうが、

勇者や魔王だろうがお構いなしにスカウト、テイムしようとしてしまう感じで。


……うむ。

不安だ、だなんてやっぱり自分を誤魔化しているだけなのかもしれないね。

そりゃぁリィアラさんが、今もちょっと前も切羽詰まった、お怒りなリアクションにもなりますよ。

むしろ家族(そう言われて凄く凄い嬉しい)なみんな、魔王に甘くて優しすぎるだろうとしみじみ思いつつ。


今度、そんな魔王化……ダンジョンに酔っ払ってしまったのならば。

フェアリの触手な正拳突きなどで気絶させてやってくださいお願いしますと固く誓ったりなんかして。



 

「あっ、それで思い出しましたよっ。リーズさんに謝罪を……もう一度『ユキアート』へ留まるよう、念を押しておいてくださいよねっ」

「ああ、ミゾーレさんのパーティーメンバーの。ヒーラーの娘だよね。一応しっかりお話合いはして、ここへ残るって言ってくれていたはずだけれど」

「お話し合い、かぁ。……ま、まあリーズさんにとってはミゾーレさんと一緒にいる方が幸せそうだったもんね」

「それでもですっ。妙な魔法スキルにかかったりしていないか、せめて確認だけでもお願いしますよぉ!」

「リィアラは心配性じゃのう。まぁ、いつの間にやら術をかけておる主どのじゃし? 気持ちはわからなくもないがの」

「うっ。バレてーら。何て言いますか申し訳ない。謝罪でも土下座でも菓子折りでもなんでもいたしますよ」

 

雪合戦の時に俺が一番やらかしてしまったリーズさん。

売り言葉に買い言葉じゃぁないけれど。

魔王化……ダンジョンに酔っ払っていた俺は、『責任を取ってくださいまし』、といった言葉に対して『応よ! 任せておけぃ!』などと返してしまったようで。

 

一度発してしまったものは飲み込めぬと。

ちゃんと責任取らねばと迎えに行く腹積もりではあったのだが。

 

申し訳なくも、気をやっているうちに家族なみんながアフターフォローと説得に動いてくれていたらしく。



その結果。

前言撤回しまくりな調子に乗っている主にはよく言って聞かせつつ。

改めて然と謝罪に訪れます、といった形に落ち着いた、とのことで……。



   (第81話につづく)








次回は、11月9日更新予定です。

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