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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第70話、魔王、よそ様のコアと邂逅するも、やっぱりちょっと近づき難く




「主どの、こっちじゃ! これまた随分と原始的なギミックじゃて」

「そうは言っても見やすくていいでしょう? もちろん、向こうからは見えないし……ああ、声はちょっと聞きにくいかもですね」



呪われた普通つるはしが、心持ち長めではあったけど何とか壊れた事に安堵しているうちに。

聴こえてくるチューさんと、続き聞こえてきたのは、よくよくここ最近で聞いたことのある声。


ダンジョンコアタックを始めるにあたって、勇者と魔王のやりとりを物語にしているのに。

こっそりでも付いてくる気配のなかったリィアラさんの姿があった。




「あれ、もしかしなくてもリィアラさんがここのダンジョンのコアだったのか?」

「ええ、実はそうなのです! 証拠に、ほら」

「……ふむ。ダンジョンコアであるからの、壊された壁を直すのもお茶の子さいさいというわけか」

「全く何の労もないってわけじゃないですけどね。しかし何ですかぁあの規格外な武器は! ダンジョン破壊どころか消滅させるものなんて初めて経験しましたよ」

「あぁ、あれは見ての通りじゃよ。ダンジョンの隠し部屋や隠れた宝を探し出すために使うものらしい。

このように、主どのには同志リィアラどのを害するつもりはこれっぽっちもないでな」

「それは、もちろんさ。俺はやらなくてはいいのならばダンジョンボスやコアとは敵対しない主義だからね。安心してくれていい」

「あっさりコアルーム、中枢に侵入されてはいそうですかとは言えませんって言いたかったんですけど、

『リングレイン』のダンジョンコア……今はチューさんてしたっけ。そのマスターであるジエンさんは、何だか言葉と行動がちぐはぐなんですよねえ。守り手であるマスターがここにいない私にはこれといって戦う術があるわけではないのですが、どうしてジエンさんはチューさんの背中にお隠れに?」

「あぁ、それこそ戦う意思などないって言う証左さ」

「こまったことにうちの主どのは、あまり慣れていない、見目麗しい女性、若い娘が近くにいることが苦手での。そんなわけじゃからとりあえずのところはコア同士で友誼を深めようではないか」


思わず、おおぃっ!? ってツッコミそうになったけれど。

改めて俯瞰してみればどうあがいてもそのようにしか見えなかったから。

ぐうの音も出ないぜ、とばかりにちゃっかりチューさんの背中を押し出したりしていて。



「まぁ、お二人がそうおっしゃるのでしたらそう言うことにしておきましょうか。それで、わざわざキングの駒とも言えるチューさん自らどうしてこちらに?」

「そうじゃのう。コア同士情勢はどんなものか話をしてみたかった、というのもあるんじゃがな」


何でもダンジョンコアな二人は元はと言えば魔のつく精霊のような存在で。

この世界や俺の故郷とも違う世界の学園的なところで日々過ごしていた者同士らしい。

学年が違っていたらしくあまり触れ合う機会はなかった、とのことだけれど。

先輩であるらしいチューさんに対しては、リィアラさん的にはそれでも全く知らなかった、ってことはないようで。



「街の方に乗り込んできた時は正直びっくりしましたけど。お二人がここへ来たのはそれだけが目的じゃないのでしょう?」

「ああ、他のダンジョンに潜って挑戦してみたかったのもるんだが、魔王と勇者、特に勇者の状況が気になってさ。……どうやらこっちの勇者と魔王さん方もうちと一緒で、本当の意味でいがみ合っているわけじゃないようだけども」

「そう言うことばかり出しゃばりおって。本来ならばバチバチやってなんぼなんじゃがのう」


もう、チューさんってば。

一緒ににいる時間が長いせいか、最早すっかりふところマスコットならぬふところから飛び出して明け透けなくなっているようだね。

チューさんの言葉じゃないけれど、やっぱりそういった長い時間……家族のような感じだと、全然平気なんだよなぁ。



「ほほう。初めて会った時ににもしかしたらと思いましたが、どうやらジエンさんはかなり特異な魔王さまのようですねぇ。まぁ、あの男役をやっていただけそうな勇者さま、ユウキさんでしたか。彼女を目の当たりにしてしまえば、いがみ合っている場合ではない。護らねばという気持ちが湧き上がってしまうのは仕方がないことですよねっ」



思わず、反射的にザッツライトと頷きそうになりつつも。

俺の心の安寧のためにと、ユウキは男役ではなく男だけれどと言葉を返すも。

聞こえなかったのか、都合の悪いところは聞きたくないのか、あっさりスルーされて文字通り火がついてしまったのか、本来守護されるべき魔王さまがいない状態で大ピンチかと思ったら、攻め込んできた魔王とそのコアにその気が全くなかったから安心した部分もあったのかもしれない。


リィアラさんは、改めて『ユキアート』の勇者と魔王、ダンジョンについて現愛進行形で健全にバチバチやりあっている映像を交えつつ。

より一層、少しばかり早口になって説明してくれて……。



    (第71話につづく)








次回は、9月10日更新予定です。

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