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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第68話、魔王、自身の能力の言うこと聞かなさを今更思い知らされる




(あれ? 『ドゥヴェルダ(分裂模倣)』のカードを使ったつもりだったけど、『ランシオン(幻影変化)』の効果出ちゃった?)

(ふむ? あの声は主どのが一番にテイムした……スライムのアオイではないか?)

(ぴぎーっ! にゃむにゃむ……おぉ、こころのなかならしゃべれます! あるじにおねえちゃん、ここはアオにおまかせくださ~い!)



それは、『ヴェロシアップ(倍速行動)』のカード発動中の中で起こった夢か幻か。

あるいはダンジョン外で力を使って予想通りにいった試しのないからこその奇跡だったのか。

チューさんが言うように、あるいはフェアリよりも早く、マイダンジョンにてテイム第一号でもあるスライムのアオイの声が、それこそはぐれがちなはがねのボディをもった俺の分身体から聴こえてくる。



(どうするのじゃ? ここはアオイに任せておくのかの?)

(実際のところ、チューさんにはどう見えてる? 声の通りスライムなアオイがそこにいるわけじゃないだろう?)


とはいえ、タイミングがうまくはまっただけでそんなアオイ? も『ヴェロシアップ(倍速行動)』の効力が及んでいるわけではないので、取り敢えずのところチューさんとこれからどうすべきかを話し合うことにする。



(うむ。で・いふら? じゃったかの。幻影の力は上手く働いておるように見えるぞ。仁王立ちしている主どのの姿がな)

(うーん。それなら大丈夫、なのかな。とにもかくにも俺自身がその場にいなければいいわけだしな)

(まったく、主どのときたら。未だなれぬというのは一体全体どういうことなのか……)



呆れたように、念話でぶつぶつ言っているチューさんのお墨付きをもらった? ところで。

幻なのか、本物を召喚、呼び出してしまったのかは分からなかったけれど。

改めて俺の代わりをつとめてくれるアオイにこの場を頼むとダイレクトに託けた後。

そんなアオイとともにこの場に残ってくれる頼もしき仲間たちに声をかけた。



(フェアリ、ユウキ、シラユキ。我が軍の頼もしすぎる精鋭たちよ! ちょっとダンジョンコアの見学に行ってくるから何とかこの場をつないでおいてくれたまえ!)

「……了解、だよ」

「? フェア姉どうかした?」

「ううん、なんでも」

「雪合戦、かぁ。そういえばやったことないや」



チューさんやアオイと念話テレパスができるのならば他のみんなもと思ったら。

チューさん曰くユウキとシラユキはあと少しだけ、念話が通じるようになるためのなつき度的ポイントが足りないらしい。

反応してくれたフェアリは、一瞬だけ見えていないはずのこちらの方へ視線を向けるも、『デ・イフラ(幻惑混乱)』等を使ってのこの場からの脱出作戦に気づいたらしく。

そのまま何事もなかったかのように作戦会議の輪に戻ってくれて。



(しかし、これではみなの活躍は見られぬのでは?)

(あぁ、それは大丈夫。今ちょっとアオイとつないでみたら、仲間に使った場合のみ可能な『デ・イフラ』の視覚共有はできるっぽいから)

(なんと、それはつまり恥ずかしがりでヘタレな主どのがコアさがしにかこつけて一時退避する意味がないではないか)

(はぅわっ……!?)


し、しまったぁぁぁ!

これってつまりのぞきみたいなものじゃないかぁ!


さいごの部分でのツメの甘さにそんな風に頭を抱えていたから。

その時の俺は、そもそもなそれ以前の問題、迫り来るかもしれない危機に、気づくことはないのであった……。






              ※      ※      ※






「それで? 同じコア同士居場所がある程度はわかるって言ってたけども、近くにはいそうかい?」

「うむ。ちぃと待っておれ。少しばかり集中する」


代わりをお願いしたとはいえ、それほど時間はかけられぬと。

早速とばかりにチューさんにそう聞いてみる。


『ルシドレオ(透過透明)』がかかった者同士は、お互いをシルエットのごとくに認識できるというのは前述しただろうか。

先程からのストレスが続いているのか、結局それこそが俺の本望であるのか。

もふもふなテンジクネズミが鼻をぴすぴすさせて仲間を探しているようにはどうあっても見えないシルエットがそこにはあった。



とにもかくにもマントとコートを脱いで隠し覆いたくなる衝動に駆られ行動に移しかけた頃に、ようやっとチューさんのコア的索敵は終わったらしい。

ばっといろいろ見えちゃいそうな勢いでばっと立ち上がり聞いとくれ、とばかりに顔を寄せてくる。



「ダンジョンそのものと、コアは匂いがかぶるでのう。わしのような同族でなければわからんじゃろ。……主どの? なんじゃ、まだ腰が引けておるのかの? ほら、ここじゃ。この壁。あの、ダンジョンごと滅しかねないアレをひとつ頼むぞい」

「いやいや、『ディネン(掘削破道)』のカードのこと? 壊せるのは破壊可能なギミックだけだけだけども」


オープンワールドなクラフト系のゲームじゃぁあるまいし、何でもかんでも掘り進めるわけじゃないんですよ。

……ないよね?

っというか俺、今までマイダンジョン以外で『ディネン』のカード使ったことあったっけか。

さっきの『ドゥヴェルダ』のカードのこともあるしなぁ。



その時の俺は。

そんな、チューさんの言葉通りに。

うっかりお手軽にカードやブックをお外で使い倒してしまって。

周りに多大な迷惑をかけてしまうかもしれない、そんな不安に襲われたりしていて……。



    (第69話につづく)








次回は、8月31日更新予定です。

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