表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/191

第64話、ダンジョンマスター、よそ様のダンジョンのワープ仕様に驚愕する




去り際のリザヴェートさんのセリフ。

まぁ、俺が『リングレイン』近くにあったダンジョンの魔王で勇者がユウキであったことは。

あけっぴろげにしているつもりもなかったけれど、取り立ててどうしても隠したいってわけでもなかったので。

リィアラさんも含めて、ある程度は気取られている可能性も考慮はしていたけど。




「……もしかしなくても、バレてる?」

「司書さんが分かっているのなら、その可能性もあるだろうね」

「マスターがいつもとちがうおかしな行動してたからじゃないの?」

「今トレンドの無能系追放キャラムーブしてただけなんだけど……まぁ、バレるよなぁ。こっちだって気づけたんだしな」

「ぬおっ。主どのちょまっ、待つのじゃあっ」


ひそひそと、そんなやりとりをしつつも。

『ユキアート』ダンジョンの一大イベントが始まったので。

女性だけの勇者パーティー、リザヴェートさんたちを見失わぬようにと、いつものように取り急ぎチューさんをふところにしまっちゃって。


『リリー』ダンジョン攻略に挑む他の参加者の面々に続きつつ。

何だかけっこう久しぶりな、だけど待望の新しきダンジョン攻略へと一歩踏み出していく……。






勇者パーティーに話しかけられたことにより。

目立ちに目立って調子に乗ってんじゃねぇぞ。

……そんな風にいかにも絡んできそうな『雷獣の一撃』の皆さん。

しかし、リィアラさん的にお話には不必要だと思われたのか、そんなテンプレ、レッテルなど失礼なほどに。

あるいは、Aランクパーティーの格というものがあるのか、同じタイミングでダンジョンに入ったことで、初めは視線が向いてはいたけど、それも単純に他の街の探索者がいかほどのものかといった興味以上のものではなく。

そういった暗黙のルールがあるのか、すぐにダンジョン攻略に集中しようとばかりに離れて行くのが見えて。



俺は歴戦のいぶし銀な皆さんに改めて失礼な事を考えていてすみませんと頭を下げつつ。

感心して見習わねばと、一階層へと降り立ち、『雷獣の一撃』の皆さんのように、他のパーティーとバッティングしないようにと。

加えて勇者のパーティーの動向をマイマップで確認しつつ、取り敢えず移動しながらみんなに声をかける。




「本当なら、未明のダンジョンだし、その行き止まりのすべて、モンスターを調べ尽くすのもありかなぁって思ってたけど、どうやら勇者さまはスピード攻略をしたいらしい。最低限のマッピングだけして、追いかけよう。シラユキは偵察がてらで先行、ユウキはその後に。チューさんはいつものポジションで。しんがりはフェアリね」

「りょうかーい、マスター!」

「わ、ちょ、ちょっと待って。シラユキさんっ」

「ふふ。いつもの後方カメラ、語り部ポジションだね」

「何をいうておる。おぬしはむしろ守られる回復士立場じゃろうが」

「そう言うチューさんは、相変わらずおんぶにだっこポジションで羨ましいなぁ」

「くっ、はっきりいうでない! ……しかしっ。ええい、ままよっ。主どの、せっかくの新しきダンジョンじゃ。きょうだいも何処かで見ておるかもしれぬ。自分の足で歩くぞい」


もふもふ、バタバタしてこそばゆかったので。

俺は言われるがままにチューさんをふところから開放する。


その際、チューさんが気にするから言わないけれど、思ってた以上に身が軽くなって。

確かに基本抱えっぱなしじゃぁ増えるものも増えるよなぁ、なんてしみじみ思いつつ。

たたっと地に足をついて駆け出していくチューさんをフェアリとともに追いかけていく……。





とはいえ、テンジクネズミらしく、手足の短いチューさんにとってのダンジョンの道行きは。

そう時間かからず苦難なものになると思われた。


そう、ここは氷……雪国のダンジョン、『リリー』。

一階層は、ワンフロアに近い、少しばかり肌寒さを感じる程度だったけれど。


複数あった下層への階段。

俺たちは当然、リザヴェートさんたちの後について行って。

導かれるがままに降り立ったその先は。

一面の氷と雪の世界で。

壁や天井はそのほとんどが氷でできており。

地面は、地に足をつけてチューさんが歩いたら、背中まで埋まってしまうくらいには雪が積もっていたが。



……でも、それより何よりも。




「33Fだと? むちゃくちゃだろ!? ……他のパーティーはさすがに来てない、か」


うちというか、マイダンジョンだと、落とし穴の罠で数字の離れた階層へ移動することはあるが。

1Fから33Fへ一気に移動だなんて、まずあり得なかった。


それまでにあったはずのお宝や、まだ見ぬ出会いを逃してしまったといった、絶望感に襲われたりはしないのだろうか。


とはいえ他のパーティーが来ていない事を考えると、『ユキアート』ダンジョンの探索者にとってみれば、当たり前の事なのかもしれない。


故にこの展開を誰も教えてはくれなかったし、この最上級ダンジョンな『リリー』の攻略を、今の今まで勇者パーティーばかりが行っていたというのも。

 こんな、階層をつける意味がなくなってしまうような仕様だったからなのだと、今更ながらに気づかされて……。



    (第65話につづく)








次回は、8月9日更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ