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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第58話、ダンジョンマスター、もしもひどい言葉で口撃されたらかえっちゃう



タイムアタックに魂をかけるタイプでもないから。

能力使ってのゴリ押しは後回しにしよう。

取り敢えずは、そうまとめて。

リィアラさんと遭遇する可能性にもかけつつ図書館へと舞い戻ることにした。



『ユキアート』の魔王にはまだ出会っていないのは、街が勇者のテリトリーであるからしてまあ当然のことではあるのだけど。

ルールを破ってまでこちらから魔王に会いにいくほどでもないので、ならばあえての正面突破……リィアラさんに会えたのならば直接魔王のダンジョンに潜っても良いですかと聞いてみようか、なんて思っていて。



「ふむ。ダンジョン的表現で急がば涙をのんで回らず、といったところかの」

「いや、よくわかんないよチューさん。まぁ、その方が余計な気を回さなくてはいいかもだけどさ」


そんな二人の言葉を受けつつも。

やっぱりとても目立っている気がしなくもないパーティであることを自覚しつつ。

それでも特に問題なく再び図書館へやってくる。




「それじゃぁユウキ、フェアリ、よろしく頼む」

「うん。任されたよ」

「おぉ……って、え? 何が? っていうかフェアリさん通じ合ってる? それだけでわかるの!?」

「司書のお姉さんに会ってお話してくるんでしょう?」

「ふむ。主どのが参らねば意味がないと思うがの」

「いや、さすがに俺も行くよ。ただ直接的なやりとりは二人に任せようかなって」


司書のリィアラさんが正直近寄りがたいので交渉は二人に任せたいって言うのが一番だけど。

ある意味俺の能力が……ユウキやフェアリがどう見えているのか確認する意味合いもあったりした。



「あー、そう言う事かぁ。いやでもオレだってそういうのあんまり得意じゃないんだけど」

「ふふ。大丈夫さ。ご主人さまがいつものように後ろにいてくれるんだから」

「ほんとはフェアリちゃんこそ一番うしろにいてもらいたいんだけどねえ。お話はわたしやチューさんも得意じゃないししょうがないかぁ」

「なぬ? わしじゃって交渉くらいは……いや、ぐぬぬ。確かにそうかもしれぬの」


一方の、俺と同じく後方待機位組なシラユキが言うように。

これがダンジョンバトル、あるいは攻略であるのならばフェアリこそみんなで囲んで一歩一歩進みゆくのがセオリーではあるのだが。

こちらに反攻、戦う意思はないと示す意味合いもあるのだから、本気でポジショニングを気にする必要もなく。

……などと言いつつも、ぐぬぬっているチューさん自身もわかってはいそうだけれど。

チューさんは本来ふところマスコットにして守らねばならない存在、俺の感覚では生まれたてのようなもので。

同レベル帯の敵性になるかもしれない相手との交渉などもっての他である。

まぁ、その割には今の今まで人々との対話をチューさんに任せたこともあったような気もするが、それはそれ。

それだけリィアラさんが警戒すべき相手であるということにしておく。




「すみません。リィアラさんはいらっしゃいますか……ってあ、昨日ぶりですね」

「あら。『リングレイン』の……冒険者のみなさんではないですか。パーティ名は確か『ジエン・ド・レギオン』でしたか」


そんな益体もないことを考えているうちに、あまり得意じゃないと言いつつも手馴れた様子で司書さんたちが詰めているカウンターへと向かい、声をかけるユウキ。

来ると分かって待ち構えてくれていたのか、まさか昨日の今日で再び直接乗り込んでくるとは思いもよらなかった……なんて感情は隠しつつ落ち着きを装っているのか、それがいつもの素なのか。

僅かに肩が跳ね上がったものの、俺の知らない驚きな言葉が返ってくる。



っていうか何よ、いつの間に!?

パーティ名なんてあったんだ。

……いや、確かにギルドで探索者として登録する時にパーティ名がないといろいろ面倒だとは言われたけども、

ぱっとすぐには良い名前が浮かばずに後回しにしていたらこれである。

まぁ、俺がすぐに決めなかったのが悪いのだし、俺の名前もじって入っていることをおいても言うほどは悪くはない……のかな?



「本当はもっと長い名前だったけど、呼びづらいしやめたほうがいいって却下されたんだよね。残念だよ」


そんな風につらつらと考えていたら。

フェアリ(きっとその名前を付けたのも彼女なのだろう)が少しばかりの不満をもらしていた。


なんだろう。間にどんな言葉が入っていたのだろうか。

聞きたいような聞きたくないような。

もしも罵倒でもされていたのならばチューさんを巻き添えにして『かえって』しまいそうなので深くは聞かないことにして。



「ほほう。パーティ名についても気になる所ではありますが、みなさんお揃いで本日はどのようなご用件で?」

「あ、はい。今日はここの本と言うよりはリィアラさんに用事があってきました」

「今町ではやっている勇者と魔王の本の作者だって聞いたもので、是非にお話を伺おうと思ってね」

「まぁ、まぁまぁ! そういうことでしたらお話しましょう。ここでは何ですから……ええと、個室を今取りましたので。ささっ、どうぞみなさん、こちらへ!」


司書さん……リィアラさんが落ち着いている風であったのは一瞬のことだった。

どうやら先日テンションが上がり過ぎてしまったこと、上司の司書さんにこってり絞られたようで。

声だけでなく部屋までおさえていただけたらしく。


何やら司書さん用のデスクいて魔道具パソコンのようなものなのだろうかに触れたかと思うと。

そんな司書さんの先輩に睨まれ捕まる前にと、上階へと続く階段を指し示して。


気づけば先導しているはずなのにあっさり置き去りにしていく勢いで。

うきうきな勢いで赤絨毯の敷かれた階段を駆け上がっていくリィアラさんの背中が見えて……。



     (第59話につづく)








次回は、7月8日更新予定です。

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