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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第49話、魔王、俯瞰して見ることができれば緊張も萎縮もなく



結局、新しい装備は。

着替える所があったら、と言う事になって。

(マイダンジョン内であるのならば装備の付替えは一ターンで可能なのだが、まぁ仕方がないだろう)


ダンジョン情報と、とりあえず今日の宿を探し求めて向かったのは。

冒険、探索者ギルドの名を冠する、酒場や宿もついた比較的大きな建物だった。

 


まずは手始めに、奇跡的に空いていた部屋をとり、早速着替えてくると向かっていったユウキを待つ間に、ダンジョンについての聞き込みをすることになっていたわけだが。




「いらっしゃいませ、冒険探索ギルドへようこそ! ご要件をお伺いいたします!」


それなりに連なっていた受付待ちで並ぶことしばし。

もこもこの下に守り門番の礼服を着込むことにしたらしいユウキが戻ってきたところで、ちょうど順番となり、冒険……探索者のための仕事クエストが貼ってあるらしい掲示板を眺めていた、フェアリとシラユキを呼び戻すと、みんな揃って話を聞くことにする。



「探索って言うのは、ダンジョンのことでいいんだよな。ここのダンジョンを探索するためにはどうすればいい? 何せこの街に来たばかりでね。登録などは必要かい? できればこの街のダンジョンについても詳しく聞きたいんだが」

「はいっ、ダンジョンの探索ですね! 探索するためにはギルドへの登録が必要になります。あら、冒険探索ギルドのカードをお持ちですね。拝見、確認いたしますので少々お借りしても?」



こんなこともあろうかと。

取っておいて良かったギルドカード。

チューさんたちも欲しがったこともあり、今俺の手元には5枚のカードがある。

そのうちのひとつは、今ここにはいない、モンスターバッグ内にて待機しているヴェノンを始めとしたみんな用にと取っておいたものだが、果たしてこれで代用はきくのだろうか。


今出てきてもらっているシラユキ個別のものが必要であるのならば、せっかくだからここでも登録しておこうと。

問いかけつつカードを提示すると。

はきはき、きびきびした様子で、何やら魔道具らしきものでチェックが行われて。



「はいっ。『リングレイン』の探索者様ですね。ランクはE……と。このランクですと、初心者用のダンジョンのみご利用になれますが、よろしいですか?」

「ほう、初心者用とな。それはすなわち、この『ユキアート』には複数のダンジョンが存在している、と」

「はい、その通りです。初心者用、中級者用、上級者用ときまして、最難関のものに勇者様専用のものがございます」

「おぉ、それはすごい。それじゃぁ初心者用のダンジョンへ早速向かいたいんだけど。……あ、その前にここのダンジョンについて調べておきたいな。何かそのような施設はないかな?」

「はい。登録確認はすみましたので、いつでも向かっていただいて大丈夫ですよ。このギルドの裏手に回っていただければ、図書館がありますので、その入口で冒険者カードをご提示頂ければ、夕方5時までダンジョン情報も含めた書籍の閲覧が可能になっております」

「ありがとう。それじゃぁ失礼しますね」

「ちなみに、ダンジョン関連の本は二階にあるはずですよ。その後ダンジョンへ向かうのであれば、お手数ですがまたこちらへいらしていただけると助かります」

「了解した。重ね重ね感謝します。それじゃぁみんな、行こうか」



快活で丁寧だけれど簡潔な感じで。

あくまで業務としての真面目なスタンス。


『リングレイン』の町の、俺にとってみれば親しみやすすぎて逃げ出したくなる受付嬢さんと真逆な感じだったからなのか、ゲーム上でのやりとりのような感覚でいれたから、特段問題らしい問題もなく、そんなやりとりをしてみんなとともに図書館へと向かうことにしたわけだけど。




「マスターがほかの女の人と面と向かってまともに会話しているのはじめて見たよ。何だかわたしたちに対する時とぜんぜん違うんだね」

「マジで? いやまぁ、うん。言うてこっちをしっかり見てもらってる感じじゃなかったから逆に良かったのかも」

「そうだったかな? ご主人さまばかりみていたぼくにはよくわからなかったけど。あ、でもご主人さまの無機質なものを見ているような、それでいて相手をしっかり見ていないような感じ、そんなにきらいじゃないよ」

「む、フェアリにはバレてたか。相手のがうつったのもあるけど、実は面と向かっているように見えてまともには見ていなかったのです」

「ふぅむ、なるほどのぅ。そういえば主どのは出会った時からわしに対してはそんなことはなかったが、この世界にやってくる魔王たちは、何やら上から、俯瞰して見てくる者が多いと聞いているが、照れ隠しだったのかのう?」

「いやいや、それって知らない女の人が苦手な俺だけだと思うけども、それって多分そのまんまゲームの世界にやってきたつもりでいたからなんじゃないかな。失礼な話だけれども、あの受付嬢さん、正にゲームとか創作物の登場人物……『NPC』な感じがしたし」

「ふーん。だからさっきのジエン、何だか違和感があったのか。よそ行きっていうかさ。今のジエンの方がいいな」

「おぉう。うん、まぁ。ゲームっていうかダンジョンに潜ることにはめちゃくちゃハマってたけど、それ以外の町とかでのやりとりとかって結構おざなりだったからな。チューさんに初めて会った時に素だったのは、どう見てもチューさんがゲームの中の世界の人物(NPC)に見えなかったからなのかもね」



どうしてみんなして俺の顔ばかり見てたのかな、恥ずかしいぜ。

なんて思いつつそんな言い訳じみた言葉が出てきてしまう。


とはいえ、何だかんだ言いつつもこの世界がゲームではないと気づけたのは、チューさんをはじめとするみんながつくりものだなんて到底思えなかったのもあるだろう。



ますます、自分の心に安く楽をするためにドーピングレベルアップは控えるべきだなぁ、なんて思わされる。

やっぱり結局、俺自身がみんなを守るために強くなって、そのための準備も欠かさないようにしようと自分に言い聞かせつつ。


照れ隠しに気を取り直して。

この『ユキアート』の町のダンジョン情報があるという、図書館へと改めて向かうのだった……。



    (第50話につづく)








次回は、5月25日更新予定です。

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