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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第42話、ダンジョンマスター、勘違いの振りか素か、本当から目を逸らす



そうして、ちょっと寄り道……じゃあないけれど。

俺たちは自身のダンジョンを置いておいて。

他の魔王が創ったとされるダンジョンにお邪魔することとなった。



チューさんのダンジョンコア同士のネットワーク的なものによると。

勇者や魔王がこの世界に根を張るようになって。

細かい誤差はあれど、一ヶ月くらいしか経ってないらしく。

今のところ少なくともこの大陸(ユーミールと言うらしい)において、踏破された魔王のダンジョンは存在しないらしい。


ただ、厳密に言えばダンジョンマスター、魔王のいないダンジョンはいくつもあって。

そちらを踏破した者は存在している、とのこと。


この大陸に散らばる国々は、そんな魔王のいないダンジョンを上手く利用して暮らしを立てているらしい。

そうなってくると、やはりダンジョンコアは壊さずそのまま維持していくのが、この世界での普通のようだ。


ダンジョンに、ダンジョンコアに優しい世界で良かったよ。

実は俺、ダンジョンに潜ること自体は好きだけど、必要以上にモンスターを退治したり、ダンジョンボスを倒したりするのはあまり肌に合わないんだよね。


かつての『異世界への寂蒔』には、いわゆるフロアボス的なものはいなかったし、一期一会というか、アイテムや武器防具だけでなく、『異世界への寂蒔』を攻略するために道中で出会ったモンスターたちをいかにして『仲間になりたそうにしている』状態にもっていって。

攻略のための同行者、パーティメンバーに引き入れられるかが醍醐味というか、楽しみのひとつであるからして。

他の魔王さま方のダンジョンはどうなのか、興味深いところがあるのは確かで。



今俺の手持ち、『モンスター(魔物魔精霊)』バッグの中で暮らしているのは。

名を持ち、喋ることのできるフェアリたちのように、高レベルで進化した子たちばかりじゃなかった。


フェアリたち名付き最上級進化中の六人は、『異世界への寂蒔』を無事踏破して、最下層まで共にいてくれた戦友だけれど。

それ以外にも、此度のダンジョンアタックは積みだなぁ状況に陥って。

それまでに得たアイテムなどを持ち帰るために、『セシード(脱出帰還)』のカードや本で帰還した際に、行動を共にしてくれた者たちも含まれている。


彼らを数えれば、所謂我が軍には数百を超える人員が過ごしているのは確かで。

魔王の軍らしくいつかお披露目、手を借りることもあるかもしれないことを考えても、他のダンジョンへと趣いてただいたずらに倒してしまうのではなく、スカウトするのもありかなぁ、なんて思っていた。




難しめなダンジョンにありがちな、雪と氷に囲まれている階層は。

今のところ『異世界への寂蒔』には存在しておらず。

そんな階層、世界に順応し暮らすモンスターたちを是非とも拝見し、あわよくばテイムする。

つまるところ、他のダンジョンの魔王と勇者のドンパチに顔を突っ込む気は実はさらさらなく。

いち冒険者、探索者としてまだ見ぬダンジョンを楽しみ、その流れでそこの勇者や魔王たちと偶然にも邂逅できればいいな、なんて思っていたわけだが。



問題は、そのまだ見ぬダンジョンへどのようなメンバー構成で望むか、ということだった。

結果的に、ユウキを招き入れることになったとはいえ、我がダンジョンは基本、俺自身とその仲間たちのものだということで。

改めてチューさんと相談して創り変え、一般の方は入れない(入れる部分はダミーで、真なる我がダンジョンとは異なる)から、お留守番の必要性はそれほどないのだが、フェアリを除くと未だこれといった出番をもらっていない名つきの意志ある仲間たちが、こぞって此度の進軍、その随伴にはわたくしめをば(誇張表現)、なんて言ってきたから。


あれ、やっぱり俺って少しばかり避けられたり嫌われたりしているわけじゃなかったのかと思い直して。

ならば全員で行こうじゃないかと。

ついでに、全員が揃ったところで、ジエン式矯正レベリングと言う名のドーピングを、念のためしておこうじゃないかと口にしたら。

やっぱり全員で向かうのはやめておきましょうと、あっさり俺以外のみんなの意見が一致してしまって。



そこまでくれば、空気が読めない、女心が理解できないことで有名なジエンさんも、何とはなしに理解しようと言うものである。

どうやら、みんながみんな、ズルをしてレベルアップするのはお気に召さないらしい。

効率を求める俺としては、どうせ強化をするのならばみんないっぺんにやった方がお得に思えるのだが。

チューさん曰く、みんなまとめてだなんて、論外の憤慨ものらしい。

そうは言いつつも、チューさんやユウキ以外は何度か体験しているわけだけど。


フェアリが言うには、できればもう味わいたくないような、ひとりの時ならば構わないような。

どうにも複雑な気分らしく。

確かに言われてみればレベルをいくら上げても我がダンジョンには適用されないし、見かけのレベルが上がったとしても、技術がついていかない……いわゆるプレイヤーレベルが上がるわけではないのは確かで。



そういう事なら理解したと。

道中はレベル上げ系アイテム以外でこっそりサポートすればいいかと。

それならばみんなで行けるだろうと進言すれば、みんなは渋々ながらも頷いてくれて。



渋々なのは。

効率厨な俺が隙をついて強制レベリングを勝手に行ってしまうと思われているからなのだろう。

……あるいは、やっぱり結局俺が嫌われているだけなのかもしれないけれど。



   (第43話につづく)








次回は、4月22日更新予定です。

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