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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第40話、魔王、次なる侵略の地(ダンジョン)はどこが良いかと吟味する




何故だかヴェノンと同じようにびくっと跳ね上がって。

台所のシンクからたたっと飛んで降りたったかと思うと、。

チューさんはもそりもそりと俺の方に近づいてくる。

 

 

「れべるあっぷ……わしも一度受けた例のあれじゃな? なんならわしひとりが引き受けてもよいぞ。ユウキにはちと刺激が強かろう」

「ええ? ちょっと待ってよ。そんなこと言ってひとりだけ強くなろうとしてない?」

「そ~だそうだぁ。独り占めはだめだよぅ」

「なぬっ、ひとりじめなんぞ……って、わしはユウキのために言っておるのじゃぞっ。お主の大切なもの、失っても良いのかっ?」

「た、大切なもの? な、なんだよ。そう言われるとそこはかとなく怖さが出てくるんだけど」

 

かと思ったら、すぐにヴェノンも戻ってきて。

今度は三人で顔を突き合わせて何やら話し合いを始めてしまう。




みんなで一斉にパワーレベリングなアイテムたち。

使うのならば、無駄にならないようにみんなで一緒にやるべきで。

チューさんひとりでレベルアップしてもらっても、もったいないなぁと思ってしまうのは確かで。



だけど、そんな俺の言い分など全くもって聞いてはもらえず。

わいわいきゃあきゃあ、まさに黄色い声をあげて、やっぱり俺を置いて何だか盛り上がっている三人。

その時確かに俺は、ヤロウが容易に踏み込んではならない空気というか、空間が生まれたのを感じ取っていて。

 




「……わりぃ。ジエン、オレにはまだ早いと思うんだ。覚悟が足りないっていうかさ、またの機会にってことじゃ駄目かな」

「? 別にそんなことはないと思うが……あぁ、まぁ、せっかく他人のダンジョンに遊びに行くのにそのダンジョンを楽しめなくなるくらい強化するのもあれか。それじゃあ、今回はやめとこうか」



どちらかと言うと、安全にそのフロアを攻略できるようになるまで鍛えてから進む派だけど。

これから向かうであろうダンジョンがどういったもので、どのくらいの難度なのか、調べてからも遅くはないんだろう。

 


事実、本気の全霊をもって攻略しにいくわけでもないしな。

他の魔王さんのダンジョンって、どんな感じなんだろうって、物見遊山的な意味合いの方が大きいし。

いざとなったら、強制的にダンジョンから脱出する本やカードを使えばいいだけだしね。

 

そう言う事なら仕方ないと。

ある意味みんながまっとうに正々堂々とダンジョンを楽しみたいんだなぁってことを知って、うれしくなったりもしていたけど。



「ダンジョン? ジエンのダンジョンじゃないところに行くのか?」

「あ、うん。あれ? 言ってなかったっけか?」

「聞いてはおらなんだな」

「そうだったっけか。……うん。そうかも。ほら、ユウキは元の姿に戻りたいって願いと、帰りたいって願いがあるんだろう? 我がダンジョンは攻略しても、攻略することとその過程(で拾ったり見つけたりするもの)に意味があって。そういったダンジョンクリア報酬……ご褒美的なものはもらえないけれど。他のダンジョンはそうじゃないかもしれないだろ? 他の魔王のダンジョンがどんなものなのかお手並み拝見というか、挑戦してみるのもありかなってさ」

「そっか。勇者と魔王ってオレたちだけじゃないんだもんな。魔王……ダンジョンもそうだけど、他の勇者に会ってみるのもありかもな」


願いを叶えた勇者は、実際にいるのか。

そもそもが、正しくダンジョンを攻略して、魔王を倒して願いを叶えてもらえるのか。


それだとただのやられ役でしかない魔王側の立場にしてみれば、そのような話聞いたことないし。

ここへ来るためのお約束な神様的存在に会ってもいないのだ(あくまでも俺の場合だけど)。

ダンジョンを楽しみつつ、他の勇者と会って話を聞いてみるのはやっぱりアリじゃないかなと思える。



「ふぅん。ごしゅじんさまのだんじょんと、べつのとこにいくの? のんもついていってもいい? どこにいくの?」

「ああ、勿論さ。とはいえ、この国以外だったらどのあたりがおすすめかなぁ」

「え? オレに聞くのか? いや、確かに他にもあるってのは知っているけどさぁ。いかんせんこの国から出たことなくてさ」


てっきり、勇者的なパワーで他の勇者のいるところが分かるのかなと思いきや、そんなことはないらしい。

まぁ、魔王らしい俺にもそんな都合のいい力など備わって……あ、いや。そうか。

どこまでの範囲を網羅してくれるかは分からないけれど、『リアボア(透視里眼)』のカードか同じ効果付きの腕輪を使ってみればいいのか。


……なんて、これから冒険、旅を楽しみにいくのに野暮なことを口にしかけたその時だった。



「ほほ、なんじゃ。そんなことも分からんのか。ここはチュートリアルの化身であるわしがチュートリアル的に解説してやろうではないか」


わしが元より何であるのか忘れたわけではあるまいの、とでも言わんばかりに。

得意げに、丸テーブルの上へと降り立ち、何だか嬉しそうに語りだすチューさんがそこにいて……。



   (第41話につづく)








次回は、4月13日更新予定です。

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