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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第29話、ダンジョンマスター、触覚から攻めるが良いと感づかれる



そんなわけで、場面変わって。

ぐるりと城壁とお堀に囲まれた、街に入ればどこからでも見えるくらいには大きい、『リングレイン』城の裏手へと早速やってまいりました。

当初は、一人でこっそり潜入ということで、陽が沈んでからの腹積もりではあったけれど。



みんなに『ルシドレオ(透過透明)』のカードを使用した結果。

俺視点だと、まったくもって見えなくなるわけではないらしく、輪郭だけを残して透明な美少女とマスコットふたりがそこにいるのが何とか分かる感じだったので。

少しでも見やすいように昼間に侵入することにしたわけだけど。




「お、おい。ちゃんとそこにいるんだよな? 何だか不安だから手でもつながね?」

「おっ、おう。ユウキが構わないのなら構わんよ。いざという時、くっついていた方が緊急回避、脱出もしやすいし」


問題があるとすれば、そうやってなんとなく姿が見えるのも、俺だけだということか。

『ルシドレオ』のカードをみんなに使ってすぐ、両手肩にたぶんきっと、チューさんとフェアリが捕まったり乗っかったりしてるはずなのに、

違うような気がしなくもない感触があって、どうにも戸惑いを隠せない中、ユウキまでそんな事を言ってくるものだからたまらない。

こっちとしては大歓迎だけれども。

何故だかもう繋げる場所がなさそうなんですけどどういうこと? って悩み込んでいると……。



「ふむ。しょうがないのう。ならばわしは主どのの頭の上を借りるとしようか」

「……ふふ。確かにそれも、捨てがたいね」


いやいや、いくらなんでもそりゃ無理でしょうよとリアクションする前に。

ぼふんと音がして、ふわふわふさふさ、ぬくぬくの感覚が、突如頭の上に出現する。

どうも、頭の上に腹ばいになってしがみついちゃっているらしい。


ふところ以外にチューさんがよくいる場所だな。

……なんで俺、慌ててたんだろう?

なんて思っていると、より一層慌ててしまうような、ひゃっこい手のひらが触れる感覚。



「お、おっと。あった、結構がさがさしてんな。でっけぇし」

「そう言うユウキはやばいな。赤ちゃんかよ」

「うっせ、元々そんな大きくないし、ジエンが無駄にでっかいだけだろ」


お互い、あまりにあまりな気恥ずかしさに。

そんなやりとりをして誤魔化そうとしてしまう始末。

今更になって、やっぱり一人で来ればよかった、何て後悔しだしたけれど。



「……ご主人の力を疑う余地などないんだけれど、これだけ……匂いもしないくらいに強力なんだ。効力が切れないうちに急いだ方がいいんじゃないかな」

「お、おぉうっ。そうだな、よっし。それじゃあお次は『レビデル(中空浮揚)』の本っ!」


その瞬間、腕に捕まられ胸元に抱きつかれる感覚がしたものだから、さぁ大変。

っていうか、何だか甘い香り、めっちゃするんですけど!

あれか、見た目がオレンジのゼリーみたいだからなのかっ。


……などと、テンパりつつ文字通り急かされせっつかれた俺は、お堀の向こう……塔のような建物のひとつにバルコニーを発見し、そこへ向かって飛んでいくことにする。

馴染みのダンジョンは見下ろし型であるからして、上へ向かって飛んでいくこのスキル……本はほとんど使ったことがなかったわけで。



「うわ、ちょっ。急すぎるって!」

「がはぁっ!?」


パニックに陥りつつ急に飛び上がった結果。

置いていかれそうになったユウキが追いすがり捕まえるように同じくして逆の腕を抱いてくるからたまらない。

何この両手に花状態! 昇天してまうわ!

思わず吐血する勢いのリアクションをとってしまうのは仕方のないことだっただろう。



「……ふむ。目ではないところで訴えつづければいいわけじゃな」


そんな中、何だか意味深長なチューさんの呟き。

だけどその時俺は、三方向からの攻勢にたじたじで、『レビデル』の本維持するのが精一杯で。


そんな言葉も左から右であったのが結局のところ、目下最大の問題ではあって……。



   (第30話につづく)








次回は、3月5日更新予定です。

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