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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
こぼれ話:エンドロールその後

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207/207

第207話、ダンジョンマスター、トラップを強制的に発動させる術を垣間見る




今回、俺たち『ジ・エンド・レギオン』が挑戦するのは『慚愧のドォーミク』と呼ばれる極ダンジョン。


先に述べた通り、前衛にはユウキ、アオイ、ヴェノンの三人で。

後衛にはチューさん、フェアリ、ピプル。

いつものように、俺はそんなみなさんに囲まれる形でとっても楽しげな前衛三人の背中を眺めていた。




ダンジョン探索中に魔王化してしまわないように、と言った心情もきっと働いているのだろうが。

そんな俺には正しくぽよんぽよんと生来の幸運力を駆使してトラップのないところばかり跳ね飛んでいるアオイと。

トラップのなんて関係ないよ~とばかりにあっちへふらふらこっちへふらふらと飛び回っているヴェノンの、所謂ところの『獣型』な姿が見えていて。



「さすがにあますことなく凝視するくらいなら平気になってきたと言っていいの? これもわたしのおかげ」

「ふふ。そっか、ご主人さまにはまだぼくらがこっちへ来たばかりの頃の姿が見えているんだね」

「ふむ。懐かしいのう。すかうとしたのはいいものの、もののけ、『獣型』からはじめてくれと言われた時はどう言う事かと思うとったが、しかと意味があったわけじゃな」


この俺がダンジョン探索中に不意に気絶してしまう事を防ぐための訓練のリーダーをつとめるピプルだけでなく。

ついにはフェアリやチューさんにまで、麗しき少女たちの姿がプリティーなマスコット的モンスターにカモフラージュするかのように見えてしまっていることに、完全に気づかれてしまっているようで。

特にフェアリには、慈愛に満ちた優しげな空色瞳に見つめられてしまって。


辛抱たまらなくなった俺は、それでも殿というか、チューさんの守りをピプルとフェアリにお願いしつつ。

誤魔化すように前衛三人のすぐ後ろまでとっついていて。




「ユウキ、二人を追いかけるのはいいけどユウキこそ気をつけて。アオイの後についていけばまぁトラップにかかることはないんだろうけど」

「ああ、うん。アオイちゃんの超幸運だよね。確かに最近アオイちゃんってば金色ラメがかかってきてめでたい感じするもんなあ」

「えへへ。ボクはレベルアップがはやいからね。そのうちすぐに飛べるようになるよー」

「ほんと!? だったらのんと一緒に飛んでお散歩できるね!」

「常に飛行状態を維持しなければならない空中ダンジョンか。確かにそれは中々に面白い事になるかもしれないな」

「……まったく、ジエンってばブレないなぁ。それなら飛行魔法をスーイちゃんに教わらないと……っ! 早速敵さん方のお出ましみたいだな」



そんなやりとりをしていたからかのか。

恐らくはひどく縦長の四分の一フロアの、霞む視界の向こう側から五、六体はいるだろうアクマ種、『グレーターデーモン』の上位らしくモンスターたちが、その大きな黒い皮膜つきの翼をばっさばっさとはためかせて、トラップ対策なのか少し宙に浮いている状態で近づいて来るのが分かる。

 



「よし、先手必勝。開幕十八番『(デ・イフラ)幻惑混乱』の瞳術をくらうがいい」


ヴェノンやアオイが戦闘状態に移行し、俺が何命令指示するよりも早く、ピプルが『デ・イフラ』と同じ効果を持つ瞳術を繰り出す。

それは、フロア内にいる視界に入った敵性のみに効果を与えるもので。

スーイ的に言えばそれは目には見えない風、あるいはデバフ関連の魔法に類するもので。

 

十全に効果を発揮するかどうかは相手の耐性次第ではあるが。

グレーターデーモンたちは強い風を受けたかのように中空にてたたらを踏んでいるのが遠目でも分かって。



「よし、効いてる! 今のうちだっ!」

「ボクも! やっつけてさらにレベルアップするぞー!」

「……っ!」


当然のように前衛の三人で競い合うように突っ込んでいくものだと思っていたけれど。

ユウキとアオイに遅れて何かを躊躇しているかのように辺りをきょろきょろと見回しているようにも見えるヴェノン。

 


「幻の……光?」

「む? ヴェノンもそうじゃがフェアリよ、どうかしたのかの?」

「っ、まさかお味方にはきかぬはずの幻惑混乱の影響を? ぶれすねすといかずともわたしの瞳術、レベルアップしてる?」

「……はっ。ええと、ううん。なんて言うか故郷の話をしていたからなのかな。昔のことを少し思い出していたんだ」



フェアリやヴェノン、シラユキの故郷、あるいはこのダンジョンに塗れた世界と比べても過酷であったと言う世界。

少しばかり興味が出てきたので此度のダンジョン攻略の後に許されたのならば聞いてみようか、なんて思ったからなのだろうか。

そんな機会は、思いのほか早く訪れることとなる。



それは正にグレーターデーモンたちとアオイとユウキの前衛二人がぶつかりあったその瞬間であった。

アオイとその生まれ持った幸運により、ユウキはそんなアオイにならって動いていたから。

トラップを踏み抜くような事はまずないだろうと思っていたけれど。


それを知ってか知らずか、あるいはそこに罠があると言う事を承知していなかった可能性もあるが。

とにもかくにもグレーターデーモンの一人が、強く地面を踏み抜いたことでかちりと反応、作動したのは。


どうやら魔導機械が根幹にあるらしい、魔法陣が浮かび上がるタイプの大仰なもので……。




     (第208話につづく)









次回は、3月22日更新予定です。

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