第206話、ダンジョンマスター、ダンジョンの住人たち、その来歴に興味を持つ
ダンジョンコアとダンジョンマスターの共同作業。
所謂ところのダンジョンクリエイトから始まってダンジョンに関わるアイテムスキルの開発、取得。
そして、自身のダンジョン陣営に、ダンジョンの陣営として加わってもらう者達をスカウトする、と言うものがある。
俺たちというか、俺の場合そんなダンジョンモンスターのスカウトはチューさんに任せっきりであったので。
チューさんがどんな風にどうやってスカウトしているのか、よくよく聞いてはいなかったわけだけど。
どうやらチューさんは色々な異世界を俯瞰して見ていて。
有望そうな子たちをピックアップ、タイミングをはかってお声がけしてオーケーをいただけたら我らが陣営に誘う、といったことをしていたらしい。
原始的なやり方であるのならば、ダンジョンモンスターのスカウトと言ったら、フィールドに出向いてスカウティングと言う名のバトルをこなしてその結果、なわけだけど。
チューさんってば、とっても進んでいるというか、先にも述べた通り、その手はこの世界だけに留まらず色々な世界に伸びていて。
直接会って、お話してスカウトしていったようで。
チューさんが言うには。
そうやってスカウトしていった子たちは、初めから決まっていて。
チューさんとしては、始まりの手ほどきとして、個々顔合わせしてお喋りしただけ、との事だったけれど。
これは、そんなチューさんがほぼほぼ最初の頃にスカウトしにいっていた……
今いるダンジョンの極まった世界よりも過酷だったかもしれない世界に生まれた、『ウルガヴ(ノーマル)スライム』とダンジョンマスコットとしての双璧をなす、愛すべき妹ちゃんな『フライングムスター』のヴェノンの話である。
『慚愧のドォーミク』と呼ばれる極ダンジョン。
地上世界(一階層)においてアクマなどと呼ばれていた種族が多く住んでいる。
その地は、人間種の町、『キヌガイア』や、天使種が多く住むという『カムラルシア』と敵対し、時折攻勢を仕掛ける事はあるものの、俺たちが天上世界(二階層)へやってきてからは目立った動きを見せてはいなかったわけだが。
俺自身その種族の名前のイメージと役柄ゆえにけっこう勘違いしていた部分もあったようで。
一見すると『キヌガイア』の街にも似た、だけどアクマ種に合わせた要塞堅固な街、『ドォーミク』。
そこは、他の極ダンジョンに負けないほどの、ダンジョン狂い(愛)があった。
まず手始めに驚かされたのは。
探索者とそれを迎え撃つダンジョン関係者、所謂ところの勇者と魔王の垣根がなく。
根こそぎ突破らわれていたということだろう。
アクマ種が支配する『ドォーミク』を含めた周りの地は。
消えては生まれてを繰り返す、大小様々なダンジョンが複数存在していて。
各々が好き勝手ダンジョンづくりに勤しんだり、ダンジョン探索に力を入れたりしているようで。
そんな彼らの強さ実力は。
それこそ十人十色で。
他国と交易、取引したり、侵攻している者たちが少なからずいる中。
基本はダンジョンを攻略してはその権限を獲得し、運営、防衛しつつも。
時には奪われまた取り返すために探索する、とのことで。
これもダンジョン愛なんだなぁ、などと思いつつも。
一階層、地上世界にいた時にまれにエンジェルやアクマがやってきていたけれど。
厳密に言えばこの天上世界で暮らすアクマ種やエンジェル種の方たちとは別種別個体であるようだ。
運営、神さまがいるとするのならば。
ダンジョンのルールに反した者を牽制、注意、排除するために使わされた者達。
アクマ種やエンジェル種に扮しているのは、それこそ運営からの刺客に、そう言うイメージがあったからなんだろう。
現れるその度に返り討ちにしてしまっていた割に、お咎めがないというか、追加の追撃がなかったのは。
あくまでダンジョンのルールに反した者の前に現れるから、という意味合いがあった一方で。
ダンジョン攻略にはそう言った刺激、醍醐味が必須というか、時折アンタッチャブルが顔を覗かせるものだからわくどきで楽しいのだ、と言う部分も確かにあって。
それはともかくとして。
先に述べた通り、『慚愧のドォーミク』と呼ばれる極ダンジョンは大小さまざま複数存在しているからこそ。
その内の一つが完全攻略されたとしても、ダンジョンコアそのものに影響はないらしい。
ノ・ノアたちの同級生であるという『慚愧のドォーミク』のダンジョンコアである『ラウナ』さんは。
自身が担う極ダンジョンのあれこれを、無数に存在する魔王たち各々に任せて。
その運営が留まる事なく続くように、『盛淑のカムラルシア』と呼ばれる極ダンジョン……
エンジェル種が多く住む学園ダンジョン都市に身を置いているようで。
ノ・ノアからも、ラウナちゃんはしっかりしているから大丈夫。
学園都市なダンジョン来訪の際に無事を確認できたと聞いてはいたが。
自分が担当しているダンジョンから離れてしまっているチューさんを棚に上げつつそんな方法もあるんだなぁと感心しつつも。
最早当たり前のようにやって来たのは、『慚愧のドォーミク』の極ダンジョンで最も長く運営しているという年季に入ったダンジョンで。
「わぁ! すっごくダンジョンっぽいダンジョンだよね! のん、とっても楽しいよ~!」
「うん! のんちゃんとダンジョンの冒険、ひさしぶりだからかなー!」
「って、二人とも先行するのはいいけど、あんまりふらふらしないでってば」
巡り合わせか、必然か。
此度のダンジョン探索において前衛をつとめるのは。
うちの勇者のユウキに加えて、思えばマイダンジョンにおいて序盤(1階から3階くらいまで)で見かけたのならばうまいこと勧誘、テイムしていかにレベルアップしてもらって、頼もしき戦力となるかが重要になってくる、ダンジョンでお馴染みなコンビ……
そのプリティさでダンジョン界隈のマスコット枠におさまるであろう元『フライングムスター』のヴェノンと。
元『ウルガウ・スライム』のアオイで……。
(第207につづく)




