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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
こぼれ話:エンドロールその後

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200/207

第200話、魔王、新たなる上級ダンジョン誕生を見届ける




間もなく視界が晴れた時には。

二人のディーどころか、ディーにとても良く似た少女たちが隊列を組むようにして、そこに控えていた。



いや、よくよく見ると一人一人本物のディーと比べると異なる特徴を持っていた。

髪がディーより長かったり短かったり、髪型がそもそも違ったり、髪色が違ったり。

その瞳の色が異なっていたり、オッドアイになっていたり。

肌が雪のように白かったり、ダークエルフのように日焼けしていたり。

背が低かったり高かったり、ディーよりお姉さんだったり、妹っぽかったり。

ディーよりもっと着込んでいたり、シラユキレベルで大胆な露出装備だったり。

少年のようであったり、チューさんもかくやのダイナマイトボディであったり。

それは正しく、圧巻な光景で。




「うっひょおおぉぉ!? エルフの美少女騎士ハーレムだあああぁぁブヒイィィィっ!!」

「オクタ……?」

「ぶひいぃぃっ!?」


ホームへ火をつけた時よりも、凍えたトフィーさんの声が俺たちを震わせたけれど。



「トフィーさん! 私たちは森の消化に出ます! あなたは、そのオークのお方を抑えとどめおいてください!」

「ブヒィ! そんなことはさっ」

「オクタ! どうやら少しお灸を据える必要があるようだね! ディー様、申し訳ありません! お力をお借り致します!」

「では、姉妹たちよ、参りましょう!」

「「「了解です! お姉さま!!」」」

「「「ブヒイィイィィッ!!」



ディーのそんな掛け声とともに、結界の外へと飛び出していく十数人のディーの分け身、姉妹たち。

同じように圧倒されたか、それとも他の何かか。

歓喜にもつかない雄叫びがオークたちから上がったが。


それも束の間、あっという間にディーたちは向かってくるオークたちを蹴散らし、薙払い、打倒しつつ消火活動に入っていく。

すぐさま俺もその後に続いて。

そこもダンジョンの範囲内ではある、深い森の中へと入り込んでいく。



しかし、相手もさるもの。

どうやらオクタさんは、『憤怒のデザートフィールド』と呼ばれるダンジョン内にある『ドルチェ』と呼ばれる大森林へと襲撃をかけるか、あるいはその運営の権限を奪い取りに来ていたようで。

『モンスタパレード』レベルのオーク種の皆さんが森の木々に紛れ犇めき火をつけるといった、単純ではあるが、自然型……自然の中に作られたダンジョンにとってみれば大きな脅威であろう工作を行っていた。



「うん、成り行きだし取り返しがつかなくなる前に動くとしよう。『これから『紫陽水通フェアレイン』(バリバリ初登場)のブックを使う。ディーたちは火が消えるまでオークたちを留め、倒していってくれ』


どうも、レベルかあるいは親密度的なものがあるのか。

ここで視認できていたのはディーだけみたいだったので。

自身に『万能得ヴァルーノ』の薬を使いつつ念じそう言うと。

やっぱり分け身、姉妹のディーたちには俺が見えていなかったようで。


先程とは明らかに違って聞こえる黄色な声が、散開していたディーの姉妹たちから上がる。

一体何事かと仰け反り、よくよく伺うと、それも『祝福息吹ブレスネス』の影響力なのか。

そのタイミングで『透明透過ルシドレオ』にて透明になっていたからなのか、どうやらディーの姉妹のみんなは、ディーから分身したというよりも、ディーの一族、家族が召喚魔法によって呼び出された、と言う事になっているようで。

何やらみんながみんな、ディーのマスターである俺のことが大変気になっているらしい。



あんまりグイグイ来るとそれは俺が気絶しちゃうからやめてほしい……じゃなかった。

今はそれどころではないので、後々その辺りのことは詳しく聞いてみる事にしつつ。

フロア全体に断続的に雨を降らすといった、中々使う機会のない堂々初出な環境型のブックを使う事に決めたわけだけど。



「主殿。そうであるのならばひとつ提案があります。その水を生み出す、雨を降らすお力を私たちに付与する事はできますでしょうか」

「おお、うん。それは……カードもあるし何とかなると思う。元々これは【ウルガヴ】属性の存在が、乾いてしまって水を求めている時に使うものだからな」


その逆も然りで、【カムラル】属性に愛されし者達のような、水が苦手なものにデバフを与える事もできる。

よって、カードであるのならばみんなに貼り付け、【ウルガヴ】属性を付与することは十分可能なわけだが。



「それでしたら、早速その力を私と妹たちに賜りたく。この地を脅かす火を、わたくしたちがもれなく押し返し還す事にいたしましょう」

「何か効率のいい方法がありそうだね。それじゃあ早速『フェアレイン』のカードっと」


何せ普段ほとんど使う事のない倉庫の肥やしである紫、青、白などのとりどりの花が描かれたカード。

トランプゲームでも始めるみたいにぱっと十数枚(17枚)取り出すと。

ご希望通りにさくさくっとディーたちに『フェアレイン』の力を付与していって。



「……主殿の、マスターのお言葉で表現するのならば、私たちは1ターンで三回攻撃ができる種。近距離攻撃、遠距離攻撃、魔法で三回であると思われがちですが、実を言いますとこれまではほとんど披露する機会のなかった三回目は、厳密に言えば魔法ではないのです。現在ではこの私めも随分様変わりしてしまいましたが、『ピア・ドリーマー』と呼ばれる種族、その固有の力のことを忘れたことはございません。どうぞ主殿、そこでお見守りください。これから、二つとない時を、披露させていただきます」

「……お、おお?」



そんな、口上めいた台詞の後、ディーが取り出したるは宴会の演奏に使っていた銀の横笛……とは似て非なるもの。

『ディセメ(識別解析)』を使わずを使わずとも分かるほどの凄まじい魔力を内包したそれは。

きっと間違いなく、うちの『SHOP』にものっていた、世界を滅ぼすのも救うのも使い手次第といった謳い文句が踊る『魔性楽器』で。



よくよく見るとそんな強大な魔法具を、他の姉妹たちも手にしていた。

もちろん、それぞれがそれぞれにあった煌びやかに映える楽器たち。



「それでは、はじめましょうか」

「「「「「「はい、お姉さま!!」」」」」」


そんな一言と返す言葉たちを皮切りに。



「演目は、『雨降る通り道』……」


そして。

そんな厳かに響くディーの言の葉とともに、一世一代の演奏会が始まって……。









その、俺が耳にする限り最高なダンジョンBGMは。

極ダンジョン、『憤懣のデザートフィールド』、その内の『ドルチェ』と呼ばれる大森林に劇的な変化をもたらした。

鬱蒼、とまではいってなかった大森林には、けっして火事にはならない虹の掛かり続ける雨が降り、そこにある植物、大地を潤し、大きな成長を促す常に霧がかったような、深い深い緑多き上級ダンジョンへと変わっていって。


来るもの、探索者を拒むようなこと無いかわりに。

一度潜り込んだのならば、音楽、ダンジョンBGM溢れる、オーク種とエルフ種の歓待にあって。

中々脱出すること、叶わなくなるようで。


そんな上級、難易度の高い極ダンジョン誕生に関わった、とっても恥ずかしがり屋な元ハイエルフの存在があったことを。


ディーの名がつく、鎧脱がずとも身も心も美しい姉妹たちがいたことを。

ここに記しておくことにしよう……。




     (第201話につづく)









次回は、2月1日更新予定です。

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