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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
こぼれ話:エンドロールその後

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第189話、魔王、かつて並び立つものがいなかった気高き瀟洒とともに





 それは、『ジ・エンド・レギオン』が本格的に極ダンジョンの攻略を始める少し前の、マイダンジョン攻略中の出来事。



いつの間にやらマイダンジョン攻略がおざなりになってやいないかと。

久方ぶりに本腰入れて、下層を攻めていった時の話である。




珍しく、ふところマスコットにチューさんやアオイではなく。

『カムラ・ユニコーン』のエルヴァを連れて行った時の事であった。



 

マイダンジョン、『異世界への寂蒔』80階層より下の階は。

つくった側が言うのもなんだけれど、何が起こってもおかしくない状態になっていて。

 

あるいはエルヴァとともに。

時には騎獣となってもらって。

ダンジョンにおける移動がスムーズになることが何らかのスイッチになっていたのかもしれないが。

とにもかくにも、千回にも及ぼうかといったマイダンジョン探索において、今までになかった体験をすることとなったのである。



ちなみにと言うか、『獣型』のフォームであってもエルヴァをふところにしまっちゃった状態でのダンジョン攻略は。

いろいろな意味で厳しいところがあったので、その時のエルヴァはふところ外のマスコットでありながら、『ガルゲ・ボウ』などと同じく初期状態の装備扱いになっていたのは内緒である。



レベルも装備品も、テイムモンスターも先にあげた初期装備をのぞけばまっさらな状態から始まるマイダンジョンにおいて、テイム済みのモンスターや仲間たちと一緒にダンジョンに潜る事のできる裏技。


今の今までは、マイダンジョンに本格的に潜るためのお試し練習用でつくった、15階までのもの(ナイル君用に『リングレイン』につくったものと同じである)や。

他所さまのダンジョンでなければ、みんなと一緒に潜ることが叶わなくて。


確率はごくごく低いが、各々攻略していくうちに、途中でばったり会うくらいしか合流する術がなかったからこそ、その裏技を望むものが多そうだな、なんて思ったからこその開口令というか裏技だったわけで。



よくよく考えてみればそれもマイダンジョン攻略の時はひとりで一から挑戦したい、あわよくば新たな人員をスカウトして帰還したいといった腹積もり、俺の我が儘によるものだったから。

今回のエルヴァのように、ともにマイダンジョン挑戦をしたいと言うのならば。

初期装備扱いしてしまうのはあれだけれど、それもありかなあと思っていたわけだけど。




「……流石はご主人様です。わたくしこんな深くまでやってきたのは初めてです」

「いやあ、本当はもっと早くに帰還したかったんだけど、せっかく15階で手に入れた『セシード(内場脱出)』のカードなのに、バッグごと失ったのは厳しかったよなあ」



基本的にマイダンジョンで取得したアイテムは使うか識別するまでどんな効果を発揮するものなのか分からなくなっている。


しかし、『セシード』のカードやブックは、15階層に限り必ずどこかに存在していて。

今回ももれなくというか、未識別のカードもブックも一枚一冊だけ手に入れることができたので。

どちらかは『セシード』確定だろうと『リコーヴァ(収納保存)』のバックにしまっていて。



そこまでは順調すぎるくらいだったのだけど。

マイダンジョンは、こちらの取得アイテムを奪ったり転ばせて吹き飛ばしてぶちまけさせたりするモンスターもいて。


『リコーヴァ』ごと奪われたところまではまだ良かったというか、すぐに奪い返せば済む話だったのだが。

運が悪いのか、そう言う日、周回だったのか。

ちょうどそこに自爆するタイプのモンスターが現れ、『リコーヴァ』を奪っていったぬすっとモンスターごと爆発四散して消滅。


携帯食料などとともに、識別もできぬままに『セシード』をも失ってしまったわけで。

それが故に下層までやってこられたと言うのは皮肉と言えば皮肉なのだろう。




「エルヴァ。HPが減ってきているな。回復しよう」

「……はい。お願いいたします」


今回の攻略を初めてすぐの頃は。

自分に消費アイテムをお使いになられるだなんてもったいない事ですと遠慮していたエルヴァだったけれど。

さすがにそんな余裕もないくらいには疲労困憊なのだろう。


実際、探索に支障のあるような怪我などは治療済みで、運良く手に入れる識別する事のできた『リヴァ(復活蘇生)』の薬もあるので、動けないこともないのだろうが、何せここまでやって来るまで色々なことがあったのだ。


ふところマスコットとしてマイダンジョンの厳しさに慣れてきているチューさんはともかくとして。

ここまで辿りつけた功労者でもある、此度の周回で仲間にできたモンスター……魔物魔精霊たちを。

その経過結果様々あれど、ここまで共にある事ができなかった……一緒に帰還して我が軍に加わってもらうことができなかったと言う事実は。


そんな事の繰り返しであるからして、俺が基本一人で探索したいと思っている以上に。

エルヴァに精神的ダメージを与えてしまったことだろう。




「こんなこともあろうかと、マイダンジョン内ショップにて手に入れることのできた、異世界の携帯食料おべんとうシリーズ! 今回は、彩りでか野菜のハンバーグ弁当だ!」

「こ、これは……っ」

「一旦休憩しよう。幸い、このフロアには罠もなさそうだし」


メインの具が見えなくなるほどに盛られた角切りの野菜たち。

エルヴァならば、野菜をそのままハンバーグに突き刺してあるようなものの方が良いのではないか、などと言ったイメージが浮かんだけれど。


今はとにかく、エルヴァに必要なのは、ダンジョンを攻略するための活力だろうと。

エルヴァに用意したとっておき、と言えば聞こえはいいが。



思えばそれも。

エルヴァをお供にここまでやってきた事により、用意されたものなのかもしれない、なんて思えたのは確かで……。



     (第190話につづく)








次回は、11月16日更新予定です。

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