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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第167話、ダンジョンマスター、ゴリ押しで新たなダンジョン権限を奪い取らんとする


次回は、6月15日更新予定です。




ギルデッドがこの極ダンジョンのダンジョンマスターに等しい存在だとして。

それを撃破したのならば。

『嗜虐のカタコンベ』と呼ばれる極ダンジョンに囚われしダンジョンコアが開放されるかも、などと思ってはいたがそんな都合のいい事もなく。

未だ培養液めいた緑色の細長い筒、この極ダンジョン特有のギミックらしき所で眠り、浮かんだままのセイカさんらしき人物。


いい加減引っ張りすぎでしょうと。

はてさてどんなスキルアイテムを使って、詳しく描写する事憚られる彼女を見ずに開放しお話しようかと思っていると。


そこで思い出したのは。

上の階層にてこの極ダンジョンのマスター、ボス撃破をユウキたちが成し遂げたわけだからそのボーナス的なもの……撃破報酬の宝箱などが出現する様子がないとなると、いよいよもってダンジョンコアに対するマスター顕現うんぬんかんぬんが始まるはずであると言うことだった。



そんな訳でいい加減しびれを切らせたチューさんたちが助けに来てくれる事も期待しつつ。

取り敢えずのところはユウキの闇の回復魔法を参考に、『ミプデトナ(衝撃波動)』のカードにヴァレスローブを引っ掛けつつ、解放されたらすぐに装備をさせていただく準備をしていると。



案の定、ついさっきほんの刹那の間だけ目の当たりにしたばかりの緑色を湛えたクリスタルの成れの果てのようなものが震え出しているのが分かる。


まるで炎に飛び込む虫のように。

思わず吸い寄せられ近づいてしまっている自分をぎりぎりで抑えつつ。

培養液めいたものが溢れ出したそのタイミングでノールックなまま(建前)、『ミプデトナ』カード『風のローブ』つきを繰り出すことに成功していて。



正にそのタイミングであった。

ユウキの闇の回復魔法によって新しくも蠱惑的な装備を身に纏ったチューさんとピプルが追いつき駆けつけてきてくれたのは。



「おおっ、チューさんにピプルも来てくれたのか! とりあえずセイカさんを助け出した(ぐうの音も出ない他力)ところなんだけど、ぶっちゃけ俺には手を出せん! ここからは二人にお任せしてもいいだろうか」

「ふむ。そんなところだろうとは思っておったよ。まぁ、マスターの尻拭いはこれで初めてではないしの。任せておけい」

「正直なのはいいことだけど。せめてこっちを見て言って欲しい。これも訓練だよごしゅじん」

「ぐぬう。確かに。チューさんもピプルも良く似合ってる。守備力付随効果としては心ともないが、可愛いじゃないか」

「ほほ。らしいといえばらしいが、及第点かの。どれ、彼女がノノアの同級と言う娘かの。これはこれは。主どのが難儀しておったのも仕方ないの」

「ノノもそうだったけど、こっちのコアさんてはだかんぼがふつうなのかな。ごしゅじん、お洋服着せされてえらい」


それによって、ますますどこに視線を向けたらいいのか分からなくなってしまったが。

セイカさんの事は駆けつけて来てくれた二人に任せておけば安心だろう。


一方で、そんな二人に文字通り目も眩むほどの水中用装備を与えてくれた、今回のダンジョン攻略における功労者なユウキは。

そんな二人にお揃いな水着を着て欲しいとせがまれて逃げ出した……ではなく。

追いついてきたフェアリやヴェノン、ディーたちも流石に人面犬たちとの戦いで無傷とはいかず。

こちらを二人に任せて治療などを(今度は装備品まで一新しないように)している、とのことで。



「ふむ。やはりあの緑の水はコアクリスタルと同様の扱いのようじゃな。コアとして同じ場所に留まり続ける事はある意味常じゃからの。身体的には問題なさそうじゃが……」

「深く眠ることで外からの刺激から逃れてたのかな。ノノやダリっちもそうだったけど、コアとマスターってあまりこう、やりとりはしないものなの?」

「そうじゃのう。わしは主どの以外はあまり知らぬが……見ての通り主どのは稀有にすぎる存在ということじゃな。よし、ピプルよ。めざめの……心を癒すような瞳術はあるかの?」

「うん。最近ディにすいちゃんと教わったから。やってみる」


そんな事を考えている間に。

未だ意識は失ったままらしいセイカさんが少しでも楽になるようにお馴染みな膝枕スタイルでいるチューさん主導のもと、セイカさんとのお話し合いの前にとめざめの手助けを始めていて。



もう大丈夫かな、なんて思いつつ。

これで極ダンジョン、『嗜虐のカタコンベ』が攻略されたことと、セイカさんを確保したことを。

ノ・ノアにみんなに伝えなくてはならないと思い立ち実行に移そうとした時である。




『わわっ、くちゃいの起きてきたっ!?』


まずはキヌガイアにてトロールの軍団との乱戦が始まろうとしている偵察組に、なんて思っていた暇もあらばこそ。

上の階層から聴こえてくる鼻の良すぎるヴェノンの、そんな声。


すぐさまそちらへ遊びにすぎていた視線を向けると。

ユウキにより一撃のもと倒されたはずのギルデッドが、再生を始めようとしているではないか。

これはもしかしなくとも、早くこの極ダンジョンの権限を奪うなりしなければ、マスターが復活すると言う事なのだろう。


故にこそ、チューさんとピプルに早くセイカさんを起こして話をつけてくれ、などとは。

ここまで何もしていない見ていない(大嘘)俺にはできようもなく。


そこまで考えて。

ノ・ノアの時がそうであったように。

ダンジョンコアではなく、ダンジョンそのものの権限についてはコアの人をお話しなくても、許可を得ずとも。

『ディセメ(識別解析)』(『ブレスネス(祝福息吹)』つき)の荒ぶるパワーでゴリ押しすれば奪い取ってしまう事も可能であると言う事を思い出したから。


まあ、今更ではあるし。

これは後出しでもいいかと。

早速、とばかりに『ディセメ』のカードを、濃い緑のつるつるとした地面へとさくっと差し込んで。


ギルデッドさんの再生を封じるためにと。

こっそりちゃっかりこの『嗜虐のカタコンベ』と呼ばれた極ダンジョンの権限を奪ってしまうことにして……。



   (第168話につづく)







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