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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第164話、魔王、勇者の新たなる力の覚醒に恐々とする




案の定、勇者の苛烈なる一撃を受けても尚。

じわじわと再生、元に戻ろうとする襤褸を纏ったデュラハンと、『嗜虐ノカタコンベ』のダンジョンマスターにして魔王のギルデッド。


それでも、魔王特攻があるらしい英雄の剣によるユウキの一撃は。

すぐさま復活、と言う訳にはいかないようで。


ユウキ以外のメンバーもそのうちに合流してくることだろうし。

ユウキが回復魔法を使いたいと言うのならば今のうちにお願いしておこうと。

特に疑問に思う事なく、何やら魔力を高め始めるユウキに対しされるがまま受け入れる体勢になっていたチューさんとピプルであったが。

 


よくよく考えたのならば。

普段からマイダンジョンにて、合流できればパーティー組んで探索していたわけなのだから、すぐに気づけた事だろう。


『ジ・エンド・レギオン』においてのヒーラー、回復役は。

魔王的スキルさえ使ってしまえばなんでもござれな魔王を除くと、【カムラル】の星の人、などとも呼ばれる元リカバースライムのフェアリに。

当人がその背中に乗っている方が違和感がないようにも思える、聖女然とした元ユニコーンのエルヴァがメインで。

その他ディーやアオイ、シラユキなど簡単な治癒魔法を扱えるものがいないでもなかったが。

ここまでこのような機会がなかった、と言うのもあるだろうが。

今の今までユウキが回復魔法を使うことなどなかった、ということに。




それ以前に、後々に発覚したことではあるが。

どうやらそんなユウキの回復魔法は、この世界で覚えた魔法ではなかったらしい。

ここに来るまですっかり忘れ去りかけていたと言うよりも。

前世界に存在していたけれど、それはあくまでも想像の域から出ない魔法で。

ユウキ自身がそれを使えるなどとは微塵にも思っていなかったようだが。

 

そんな前世界のトラウマらしきものを刺激された事で。

徐々に忘れてしまっていたらしいその記憶の歪みが生まれたのかもしれなかった。



それは、この世界の魔法属性に当てはめるのならば、【エクゼリオ】属性の魔法。

名をつけるのならば、【ダーネル・エクゼリオ】。

エクゼリオ】と【ガイゼル】に愛されし『勇者』の名を冠する者の初歩にして十八番の魔法で。

 

その効果は単純明快。

闇のエネルギーをきっかけにして、自らの生命力を対象に分け与えることができる。

基本的には、闇に類する眷属……アンデッドやゴースト等に効果を発揮するもので。


本来ならば、『ジ・エンド・レギオン』であるのならば。

ディーやヴェノン、チューさんなど【エクゼリオ】属性の割合(その人を構成する魔力と言う意味で)が強い魔物魔精霊専用な、回復魔法のはずであったが。

 

相反属性、例えば【セザール】属性の割合が強い、フェアリやエルヴァであったとしても。

フェアリのリカバーを受ければダメージを受けてしまうディーのようにはならないらしい。


それもこれも、そんなフェアリやユウキが。

エクゼリオ】と【ピアドリーム】が主属性であるダンジョンコアなチューさんによって作られしマイダンジョン所属だからなのだろう。 


ちなみにと言うか、ギルデッドが他の極ダンジョンの気配をチューさんたちから感じ取っていたのも。

そんなダンジョン陣営ごとの魔力の構成、色のようなものが見えていたから、なのだろう。



「おお、これはなかなかだの」

「まさに、やみ勇者ですな」

「むうううっ!」


そんな事を言っている間に。

ほぼほぼ闇色の視界を塞がれ。

チューさんが感心してピプルが息をのみ、気合いの声を上げ続けるユウキを見守っていると。



ほとんど無意識ながらも、一刻も早く二人の傷を癒したかったが故の行動は。

あまりに力が入りすぎてしまった事で、想像も予測も希望も遥かに超える結果を生む事になる。




初めは視界一杯にあったけぶる闇。

しかしそれが、二人の細かな傷口に吸い込まれるようにどんどんと消えていって。

それでも構わずこれでもかと注がれていく闇。


それにより思い出されるは。

基本的に魔王化している時にしか行えなかった、現在禁止されているドーピングレベルアップめいた光景。


もしかしなくても、これってまずいのではと。

出歯亀している場合じゃないと、駆け戻りかけたその瞬間であった。




「ぬう? なんじゃぁっ!?」

「魔力が集まってく、これはこのままだと……あっ」


ついには傷口から【エクゼリオ】の魔力が溢れ出したかと思うと。

あっという間にチューさんとピプルを闇が覆い隠し抱え包みこんでいく。

 

なんとはなしに、あるいは同じく現在禁止されている『ブレスネス(祝福息吹)』の視覚効果を思い起こされて。

キラキラ効果音の代わりに、何やらビリビリと不穏な音までしていて。



「むむっ、この感覚は……」

「あったかい。卵の中にもどったよう。卵生じゃないけど」


そう、それは正に孵化であった。

新たな、俺の度肝を抜くどころか意識を飛ばしてしまうであろう。

チューさんとピプルの誕生へんしんでもあって……。



     (第165話につづく)








次回は、5月25日更新予定です。

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