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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第148話、魔王、魔眼の使い手におんぶにだっこ




俺の心配やら何やらをよそに。

当たり前のように、ただただ普通にノ・ノアを受け入れているユウキ。


それは、ラマヤンさんから解放された後、ひどく不安定な状態であっただろうノ・ノアを献身的に励ましていたこともそうだが。

危うかったノ・ノアのその様子を目の当たりにしていたからこそ、なのだろう。


そんなユウキはとってもかっこよくて。

ユウキのことに対してのツッコミは野暮であると思い知らされた俺は。

気を取り直すように、改めてノ・ノアにお伺いを立てる。




「はてさて。ノ・ノアが我が軍の一員となったわけだし、マイダンジョンを体験してもらって身体を馴らした後の話になるんだが。これからは、まだ見ぬ極ダンジョン攻略に付き合ってもらう予定でいる。また、ダンジョン攻略とは別に日々の生活のサポートはもちろんとして、各々メンバー一人一人に願い、あるいはやってみたいことしてみたいことを聞いて回っている。……ああ、ダンジョン攻略に付き合ってもらうと言ったが、もちろんノ・ノアがダンジョンから離れてゆっくり過ごしたいと言うのならばそれでも構わないよ」

「マスター、それは」



そこで、ダリアが口を開きかけたけれど。

ユウキを抱きしめたままのノ・ノアの表情がきりっと変わったことに気づいたようで。



「主様は、そうやってちゃんとコアの話も聞いてくれるんですね。……それならはい! 私にもお願い事があります! この天上大陸には私の同期、私を含めると7人のダンジョンコアが存在しているのですが、主様には是非にでも各地に訪れていただいて、今私がこうしているように、話を聞いて、話しかけてもらいたいです!」



そのためのお手伝いはなんでもしますから。

そんな二度目な言葉は、いっそうの力がこもっていた。


ノ・ノアがダンジョンコアとして在った極ダンジョン、『虚栄のフィルマウンテン』は。

攻略、踏破……最下層、コアルームへ辿り着くことすら難しいものだったのだろう。

それは、他の極ダンジョンもそう変わらないはずで。


故にこそ、それぞれのダンジョンコアのみなさんは、帰りたくても帰れない……

死にたくても死ねない苦しみに囚われ縛られている状況なのかもしれない。


ノ・ノアは前ダンジョンマスターであるラマヤンさんと価値観が合わず、縛られ続けていて。

心擦り切れるほどに傷ついたのにも関わらず、他の人のことを心配している。


……いや、ノ・ノアは他のダンジョン最奥に囚われしダンジョンコアたちを助け出して欲しいと口にしたわけではない。

それはあくまでもノ・ノア自身の希望であって。

他の極ダンジョンコアの中には、ダンジョンコアとしてダンジョン最下層に鎮座し続けていることを望んでいる人もいるかもしれない、ということなのだろう。


なんという主人公気質。

未だにスキンシップを続けているユウキにも負けてはいないんだろう。

羨ましい……じゃなかった、そんなノ・ノアにも感動しつつも、ならば良し、とばかりに俺はそれに答えることにする。



「みんなみんなダンジョンマスター(俺)に優しいんだよなあ。ちょうどと言うか、極ダンジョンはあるだけ攻略するつもりだったからな。ダンジョンを楽しみ尽くしていけば、必然的にそれぞれのダンジョンコアと会うことになるだろうから、ノ・ノアの願いももれなく叶うことになるだろうひゃっ」

「うわ、びっくりした」

「ごしゅじん、何だかいつもよりかっこつけてる」

「だっ、だからっていきなり背後から抱きつかんといて!」

「ふふふ。しまらんのう」


たぶん恐らくは、大変距離の近いノ・ノアを。

これまでの頑張りを受けて避けはしないだろうと。

もしユウキのようにスキンシップ過剰になってしまったらブラックアウト確定な俺に先んじてワクチンのごとくダメージを与えてくれたのだろうと。

何故かチカチカする視界に目を回しつつ、そんなやりとりをピプルとしていると。


案の定、ユウキを解放してすぐ目の前まで、感極まった様子でやってきていたノ・ノアが。

そんな情けない俺を見て笑ってくれたので、よしとしておこうというか、ピプル様様なところは確かにあって。



「……マスターへのお願い事、少し早まったかもしれないデス」

「そうですねっ、しみじみそう思いましたよダリア先輩!」


そんな、ダリアとノ・ノアのやりとりは。

結局のところくらくらと意識飛んでいってしまいそうだぁと。

聞こえないフリをしている俺がそこにいて……。



      (第149話につづく)








次回は、2月2日更新予定です。

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