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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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146/192

第146話、魔王、朧げな前世界の記憶に対し、少しばかり懐疑的に




 『ジ・エンド・レギオン』の長として、ダンジョンでの行動云々を頼もしき仲間たちにまがりなりにも指示した……後方主面で、応援、見ていただけとも言うが。

無事に攻略、生還してきたみんなを労うことは、最早使命である、とも言えたが。



よくよく見れば、三人とも流石に無傷とはいかなかったようで。

いくつか怪我をしているし、赤黒い血の染みた腐肉なのかどうかもよく分からなくなっているものによって汚れて……いたけれど。


じわりじわりと綺麗になっていっているのは。

ひと仕事終えたはずの『ヴァルーノ(万能得)』のキラキラが未だ残っていて。

そのそもな、本来の効果を発揮し、三人の戦いの跡を、浄化していっているからなのだろう。



それぞれが自分自身で回復治療する術を持っていただろうけれど。

フェアリのぼやきではないが、あまり出番のないリカバー……じゃなかった『リコーヴァ(治癒回復)』のブックを。

勢いのままに抱きつき飛び込んできたピプルの、色んな意味で凄まじい衝撃に歯を食いしばって耐えつつ開いて見せる。



なんの躊躇いもなく慈悲もなくそんなピプルに続こうとするヴェノンと。

それに追随せんとするディーに成長を感じたそのタイミングで。

『リコーヴァ』のエフェクト……静謐な水の流れを表すものが、三人だけでなく。

地味に結構ダメージを受けていた俺やアオイを包み込んでいくが……。


どうにも間に合わなかったというか、再びふところに舞い戻っていたアオイを離脱させるくらいしかできなくて。




「がっはぁ!?」


―――クリティカルヒット、三連コンボ!



「あー! ピプちゃんいちばんやり、ずーるいー!」

「くっ、私としたことがなんとはしたないことをッ!」

「うう、その隙にふところ取られちゃたよ~」

「ふふふ。よはまんぞくじゃ」



何やら『ディセメ(識別解析)』によるツッコミがあった気もするけれど。

正にその通りとしか言いようがないくらいだったので。

そのままとっても良い心地でブラックアウトしてしまうことに、何も問題はないようにも思えて……。







              ※      ※      ※





 「……はっ」


ダンジョン攻略失敗……したわけではなかったけれど。

マイダンジョンから何やかやあったりして帰還した時のようにホームのベッドにて目覚める俺。

 


その真相は、油断するとすぐにブラックアウトしてしまう俺を、ディーあたりが背負って……

あるいはこんなこともあろうかとアオイに渡しておいた『セシード(内場脱出)』カードを使って取り急ぎ第三ホームの最下層へ戻ってきたといったところだろうか。

 


「……あっ、あるじ起きた。起きたらノノアと顔を合わせて今後のお話しあいをしてほしいって」

「おお、分かった。ピプルも看ていてくれてありがとう」

「ふるふる。だってそもそもわたしが一番に勢い込んで抱きついたから」

「うーむ。いい加減みんなとの触れ合いにも慣れてきたとは思うんだが、中々治らんなあ。うん、そうしたらピプル、特訓だ。もちろん、チューさんやアオイがふところにいない時に不意をついてもいいからどーんと来てもらえるかな」

「うん、そういうことなら了解した。それじゃあさっそく」

「ひゅうおおぅっ!? くっ……よ、よし。大丈夫だ。このままじゃんじゃん行こうじゃないか」



それもこれもみんなが可愛いに過ぎて、魅力的だからなのか。

もうほとんど覚えていない前世の時、こんなにもひどかったのだろうか。

いや、そもそもがこうして人と触れ合う機会すらなかったように思える。



……などと、少々情けない来歴を自分の中でまとめつつ。

ピプルを(勿論、一つ目に見えるオッドアイの謎生物、獣型に変身してもらって)ふところにしまっちゃう勢いでノ・ノアの本体……大樹のごときダンジョンコアがあったフロアへとやってくる。




恐らくは、寝こけてしまっていた俺を交代交代で見てくれていたのだろう。

各々が、マイダンジョン内、あるいは『モンスター(魔物魔精霊)』バッグの内なる世界などで過ごしている中で。

現在ノ・ノアのコアルームにいたのは、同じくコアであるチューさんとダリア。

そして、我が軍にて唯一の勇者であるユウキで。



「あ、ジエン起きた。今回は早かったね……って、なな何してるのっ!?」

「何って、ピプルと少し特訓をね」

「ふむ。まだ慣れていないノノアの手前であるし、今日の特訓はこれくらいにしておこう」


そう言いつつもよくよく考えてみたらピプルが獣型であると判断しているのは俺だけのようで。

実際は人型のままであるからして、まさか本当にふところマスコットチャレンジするわけにもいかず。

片手方肩を使ってピプルを抱き上げる形になってしまっていて。



さすがに、みんなの前ではピプルも恥ずかしかったらしい。

そんないいわけめいたことを俺とともに口にしつつ。

まるでここで一番えらいなのはわたし、とばかりにとてしゅたっとピプルが降り立って……。



   (第147話につづく)








次回は、1月19日更新予定です。

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